窒素は、食物連鎖の上で重要な役割を果たしています。

生物の窒素の排泄編集

ヒトがタンパク質などから取り入れた窒素のうち、過剰分が尿の中に尿素の形で排泄される(尿には尿素が含まれており、成人は尿素を 1日 30 g ほど排泄する。)。生体内では、尿素回路によりアンモニアから尿素が産生される。

最も簡単な窒素化合物はアンモニアであるが、人体に有害なため、安全な尿素として蓄えられ水溶液として排泄される。ただし水溶性であるから水と共に捨てなければならず、濃縮にも一定のエネルギーを要する。

水の確保が重要な問題となる生活ではこの点で尿酸にしたほうが有利である。これは尿酸は尿素に比べ濃縮が可能であり、体内に一時的に保持するにあたって水分をあまり必要としないためである。また、硬い殻を持つから生まれる際に、代謝に伴って生じた窒素化合物を体外へ排出することが出来ない。硬い(閉鎖卵)を有する卵生の動物では、尿を殻の外に排泄できないため、アンモニアでは有害であり、尿素では浸透圧が高くなりすぎ、水にわずかしか溶けない尿酸の形で排泄することにより有害性と浸透圧の両方の問題を解決している。

窒素の排泄は、硬骨魚類ではアンモニア哺乳類両生類軟骨魚類では尿素、鳥類爬虫類では尿酸のかたちで行われる[1][2]。なお、軟骨魚類は、浸透圧調節のため、尿素やトリメチルアミンオキサイドを体内に蓄積している[3]

人工的な窒素固定編集

20世紀に入ると、ハーバー・ボッシュ法が発明され、窒素と水素からアンモニアが合成されるようになった。またオストワルト法によりアンモニアから硝酸が人工的に作られ、肥料として用いられるようになった。これらの化学手法が工業化されることで、現在の生体窒素の半分が工業的に固定化された窒素を利用している。言い換えると、我々の体内にあるタンパク質のうち、半分はどこかの工場でハーバー・ボッシュ法を経たものが、窒素循環により巡ってきたものである。

全世界のアンモニアの年間生産量(2010年)は1.6億tで、そのうち8割が肥料用であると言われている[4]。生物による窒素固定は1.8億t、等の自然放電による生成と排気ガスのNOxで0.4億tと言われている。

脚注編集

  1. ^ にょうそ【尿素】の意味 - 国語辞書 goo辞書
  2. ^ 有馬四郎「兩棲類の發生初期の代謝終産物について : I.蛙尿の化學成分について」 動物学雑誌 61(9), 1952-09-15, pp275-277 NAID 110003360889
  3. ^ 石橋賢一「大学院特論講義:水電解質研究の進歩」『明治薬科大学研究紀要 』38号、2009年05月31日、pp21-28 窒素循環 - J-GLOBAL
  4. ^ アンモニアエコノミーと 水素エネルギー利用. 第12回 日本水素エネルギー産業会議. 平成21年6月10日. 同志社大学大学院工学研究科. 伊藤靖彦

関連項目編集