プラネタリー・バウンダリー

緑色の領域は安全なマージン内にある人間活動を表し、黄色の領域は安全な領域を超えてもよいし、超えないかもしれない人間活動を表し、赤い領域は安全な領域を超えた人間活動を表し、赤い疑問符のついた灰色の領域は安全領域がまだ決定されていない人間活動を表す。

プラネタリー・バウンダリーは、人類の活動がある閾値または転換点を通過してしまった後には取り返しがつかない「不可逆的かつ急激な環境変化」の危険性があるものを定義する地球システムにおけるフレームワークの中心的概念である。「地球の限界」[1]、あるいは「惑星限界」[2]とも呼ばれる。

ストックホルム・レジリエンス・センターのヨハン・ロックストロームオーストラリア国立大学ウィルステファンが主導する地球システムと環境科学者のグループは、持続可能な開発のための前提条件として、あらゆるレベルでの政府や、国際機関市民社会、科学界および民間部門を含む国際社会のための「人類のために安全動作領域」を定義するように設計されたフレームワークとして「プラネタリー・バウンダリー」を提案した。研究成果は2009年9月24日にネイチャー誌に掲載された[3]。このフレームワークは、産業革命以来、人間の活動が徐々に地球環境の変動の主な要因となってきたことを示す科学的研究に基づく。地球のとっての安全域や程度を示す「限界値」を有する9つの地球システムを定義した。しかし、これら地球システムのいくつは既に人類の活動により危険な限界値を超えており、それ以外も差し迫った危険にある[4]

背景編集

9つの限界点編集

閾値と限界点

プラネタリー・バウンダリー[5]
地球システムでのプロセス 制御値[6] 限界値 現在値 限界値超えたか? 産業革命以前の値

value

コメント
1. 気候変動 大気中の二酸化炭素濃度(ppm)[7]
350
400
はい
280
[8]
産業革命以来(1750年以降)の増加量(W / m2)
1.0
1.5
はい
0
[9]
2. 生物多様性の欠損 絶滅率(年当たりの数)
10
> 100
はい
0.1–1
[10]
3. Biogeochemical (a) 人為的に大気中から除去された窒素の量(年間あたり百万トン単位)
35
121
はい
0
[11]
(b) 人為的に海洋に入るリンの量(年間あたり百万トン単位)
11
8.5–9.5
いいえ
−1
[12]
4. 海洋酸性化 表層海水中のアラレ石の全球平均飽和状態(オメガ単位)
2.75
2.90
いいえ
3.44
[13]
5. 土地利用の変化 農地に変換された地表面(パーセント)
15
11.7
いいえ
low
[14]
6.淡水 グローバルな淡水利用(km3/yr)
4000
2600
いいえ
415
[15]
7. オゾンホール 成層圏オゾン濃度(Dobson units)
276
283
いいえ
290
[16]
8. 大気エアロゾル粒子 大気中の全体的な 粒子状物質 の濃度、
未だに定量化できていない
[17]
9. 化学物質による汚染 有害物質、合成樹脂内分泌攪乱物質、重金属、放射能汚染の環境中の濃度
未だに定量化できていない
[18]

海洋酸性化編集

 
産業革命(1700年代)から現在(1990年代)までの海面pHの変化の推定。 ΔpHは標準pH単位である[19]

海洋酸性度は産業革命以来30%も増加している。 人間の活動で輩出された二酸化炭素の約4分の1が海洋に溶解し、炭酸が生成される。この酸はサンゴ、甲殻類およびプランクトンが殻、骨格を構築する能力を阻害する。こうした生態系の主要な種が一次的に絶滅することによって引き起こされる一連の二次的な絶滅により(カスケード効果)により、魚資源に深刻な影響を与えるおそれがある。この限界点は大気中の二酸化炭素濃度増加が基礎となる制御変数でもあるため、気候変動の限界点と相互に強く関連してる[20]。海洋化学者Peter Brewerは、「海洋の酸性化はpHの単純な変化以外の影響を有しており、これらには境界も必要である」と考えている[21]


気候変動編集

 
黒い線は、1880-2008年の大気中の二酸化炭素濃度を示す。 赤色のバーは平均気温より高いの温度を示し、青色のバーは未満の温度を示しています。 年毎の気温変動は、エルニーニョ現象ラニーニャ現象、大規模な火山噴火などの自然現象に起因する。.[22]

生物多様性の損失編集

Biogeochemical編集

窒素の循環編集

 
窒素の循環

リンの循環編集


土地利用変化編集

 
欧州の土地利用地図。人間の土地利用は、耕作農地(黄色)と牧草地(ライトグリーン)が含まれる

地球上では、森林、湿地、その他の植生の種類が農業やその他の土地利用に変わり、淡水、炭素やその他のサイクルに影響を与え、生物多様性を低下させている。

グローバルな淡水利用編集

 
Overexploitation of groundwater from an aquifer can result in a peak water curve.[23]

成層圏オゾン層の破壊編集

 
During 21–30 September 2006 the average area of the Antarctic ozone hole was the largest ever observed
 
中国南部およびベトナムを覆うスモッグ

大気エアロゾルの負荷編集

化学物質による汚染編集

境界間の相互作用編集

関連項目編集

引用編集

  1. ^ 環境省 (2018年6月5日). 環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書. 環境省. 
  2. ^ 国連環境計画編 青山益夫訳 (2015). 『GEO5 地球環境概観 第5次報告書 上巻』. 一般社団法人 環境報告研. pp. 207-208,5,23,103,111,119,128,206. https://www.hokokuken.com/geo5.html. 
  3. ^ Rockström, Johan m. fl. (2009). “=Planetary Boundaries: Specials,”. Nature. 
  4. ^ Editorial, Nature 2009
  5. ^ Steffen, Rockström & Costanza 2011.
  6. ^ Rockström, Steffen & 26 others 2009; Stockholm Resilience Centre 2009.
  7. ^ Recent Mauna Loa CO2 Earth System Research Laboratory, NOAA Research.
  8. ^ Allen 2009; Heffernan 2009; Morris 2010; Pearce 2010, pp. 34–45, "Climate change".
  9. ^ Allen 2009.
  10. ^ Samper 2009; Daily 2010; Faith & others 2010; Friends of Europe 2010; Pearce 2010, p. 33, "Biodiversity".
  11. ^ Schlesinger 2009; Pearce 2009; UNEP 2010, pp. 28–29; Howarth 2010; Pearce 2010, pp. 33–34, "Nitrogen and phosphorus cycles".
  12. ^ Schlesinger 2009; Carpenter & Bennett 2011; Townsend & Porder 2011; Ragnarsdottir, Sverdrup & Koca 2011; UNEP 2011; Ulrich, Malley & Voora 2009; Vaccari 2010.
  13. ^ Brewer 2009; UNEP 2010, pp. 36–37; Doney 2010; Pearce 2010, p. 32, "Acid oceans".
  14. ^ Bass 2009; Euliss & others 2010; Foley 2009; Lambin 2010; Pearce 2010, p. 34, "Land use".
  15. ^ Molden 2009; Falkenmark & Rockström 2010; Timmermans & others 2011; Gleick 2010; Pearce 2010, pp.32–33, "Fresh water".
  16. ^ Molina 2009; Fahey 2010; Pearce 2010, p. 32, "Ozone depletion".
  17. ^ Pearce 2010, p. 35, "Aerosol loading".
  18. ^ Handoh & Kawai 2011; Handoh & Kawai 2014; Pearce 2010, p. 35, "Chemical pollution".
  19. ^ Gruber, Sarmiento & Stocker 1996.
  20. ^ Stockholm Resilience Centre 2009.
  21. ^ Brewer 2009
  22. ^ USGCRP 2009.
  23. ^ Palaniappan & Gleick 2008.