竜生九子
竜生九子(りゅうせいきゅうし)とは、中国の伝説上の生物で、竜が生んだ九匹の子を指す。それぞれ姿形も性格も異なっている。各々の性格に合わせた場所で各々の活躍を見せるが、親である竜になることはできなかったという。これを「竜生九子不成竜」と言う。また、兄弟でも性格が違うことを指してこの言葉を用いることもある。
竜生九子という言葉は古くからあったが、生んだ子がどのようなものだったのかはずっと語られなかった。明の時代になりさまざまな書物に記載されるようになったが、記載されている書物によって名前・順序が異なる。
リスト
編集『升庵外集』の説
編集『升庵外集』(楊慎, 1488–1559)と『天禄識余』の説によれば、次の9匹。
- 贔屓(ひき)
- 形状は亀に似ている。重きを負うことを好む。
- 螭吻(ちふん)
- 形状は魚または鯨に似ている。遠きを望むことを好む。
- 蒲牢(ほろう)
- 形状は竜に似ている。吼えることを好む。
- 狴犴(へいかん)
- 形状は虎に似ている。力を好む。または悪人を裁くを好む。
- 饕餮(とうてつ)
- 形状は獣に似ている。飲食を好む。
- 𧈢𧏡(はか)
- 形状は魚に似ている。水を好む。
- 睚眦(がいさい)
- 形状は竜に似ている。殺すことを好む。
- 狻猊(さんげい)
- 形状は獅子に似ている。煙や火を好む。
- 椒図(椒圖、しょうず)
- 形状は貝にも蛙にも似ている。閉じることを好む。
『懐麓堂集』の説
編集- 囚牛(しゅうぎゅう)
- 形状は黄色い竜に似ている。音楽を好む。
- 睚眦(がいさい)
- 嘲風(ちょうふう)
- 形状は鳳凰に似ている。険しいところを好む。
- 蒲牢(ほろう)
- 狻猊(さんげい)
- 覇下(はか)/贔屓(ひき)
- 狴犴(へいかん)
- 負屓(ふき)
- 形状は竜または蛇に似ている。文章の読み書きを好む。
- 螭吻(ちふん)/鴟吻(しふん)/鴟尾(しび)
その他の説
編集中には麒麟、螭首、朝天吼、貔貅を竜の子にした説もある[要出典]。
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嘲風
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蒲牢
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贔屓
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負屓
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螭吻
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覇下
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狻猊
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椒図
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饕餮
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螭首
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麒麟
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朝天吼
フィクションへの登場
編集- 探偵学園Q - 連載版の最後の事件「棲龍館殺人事件」は『升庵外集』の説による竜生九子に題を取った九つの館(それぞれの館に九子の名前が冠してあり、その名にちなんだ装飾や仕掛けがある)が舞台。ちなみに、DDSの旧校舎もその内の一つである。
- RE-INCARNATION - 西田大輔、脚本・演出による舞台劇のシリーズ。竜生九子を名乗るキャラクターが登場する。
- 君は冥土様。 - ヒロイン・雪がかつて所属していた暗殺集団の名前として「竜生九子」が登場する。