荒川水管橋
荒川水管橋(あらかわすいかんきょう)は、埼玉県内の荒川と、その南側に並行する和田吉野川に架かる水管橋である。全長は1100 mあまりで、日本最長の水管橋として知られる[3][4]。
荒川水管橋 | |
---|---|
基本情報 | |
国 | 日本 |
所在地 | 埼玉県鴻巣市 - 熊谷市 |
交差物件 | 荒川、和田吉野川 |
用途 | 水管橋 |
管理者 | 埼玉県企業局 |
施工者 |
上部工:住友金属工業、栗本鐵工所 下部工:島田建設、浦和土建工業、島村組、伊田組[1] |
竣工 | 1984年5月31日 |
座標 | 北緯36度4分52.6秒 東経139度26分21.3秒 / 北緯36.081278度 東経139.439250度 |
構造諸元 | |
形式 | ローゼ補剛形式 |
材料 | 鋼材 |
全長 | 1100.95 m |
幅 | 直径1.2 m×2本[1] |
桁下高 | 13 m[1] |
最大支間長 | 104.132 m[2] |
地図 | |
関連項目 | |
橋の一覧 - 各国の橋 - 橋の形式 |
概要
編集埼玉県広域第二水道用水供給事業の一環として[5]1982年(昭和57年)9月に着工され[6]、1984年(昭和59年)5月31日[7][注釈 1]、埼玉県北足立郡吹上町大芦(現 鴻巣市)と大里郡大里町小八林(現 熊谷市)の間に完成、同年7月より通水を開始した[9]。総事業費は39億160万円であった[6]。荒川河口からおよそ68 kmの地点に架設されている[10]。ローゼ補剛形式14連で、全長は1100.95 m。送水管自身が橋桁を兼ねた構造である。直径1.2 mの送水管は白、アーチ部材は赤く塗装されている。橋の施設管理者は埼玉県(企業局)である[10]。1985年(昭和60年)には、厚生省・日本水道新聞社の企画による近代水道百選に選定された[8]。また同年、全日本建設技術協会より経済的かつ美観上優れていると評価され「全建賞」を受賞した[6]。
利根川の利根大堰で取水された河川水は行田浄水場で浄水処理される。こうして作られた水道水は埼玉県企業局による県営水道として埼玉県内各地に供給され、比企・入間地方をはじめとする県西部へは本橋を介して左岸側(吹上)から右岸側(吉見)に送水される。
水道専用の橋であり、通常は人が渡ることはできないが、2016年10月に本橋のキャットウォーク(メンテナンス用通路)を歩いて渡ることができる見学会が初めて開催された[11]。以降、例年春と秋に見学会が開催される[12]。
周辺
編集付近の荒川堤防は、秋には約1,000万本のコスモスが咲き乱れる[8][4]。上流約500 mの地点には埼玉県道66号行田東松山線の大芦橋があり、本橋と大芦橋の間の和田吉野川には、特徴的な橋脚を持つ吉見橋が架かる[13]。
荒川を渡る送水施設には、ほかに深谷市の荒川第二水管橋がある。深谷市と熊谷市の境付近には、荒川の下をくぐり農業用水を運んでいた江南サイフォンの遺構が残る[8]。
その他
編集埼玉県企業局が発行する荒川水管橋の橋カードが、橋の見学者に配布されている[14]。橋カードにはメンテナンス用通路から眺めた本橋の写真のほか、橋に関するデータが記されている[1]。
風景
編集-
左岸下流側より望む
-
荒川水管橋とコスモス
隣の橋
編集脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b c d “5月20日(日)水管橋を歩いて水道を学ぼう! 荒川水管橋見学会(にち10おでかけリサーチ)”. TBSラジオ 安住紳一郎の日曜天国 (2018年5月20日). 2020年1月26日閲覧。
- ^ 吉原忠 & 栗原哲男 (1984, pp. 50–53)
- ^ a b “[ぐるっと東日本 旅するみつける]埼玉・鴻巣、熊谷 荒川水管橋:見学会だけのレア体験”. 毎日新聞 朝刊(首都圏面) (毎日新聞社). (2023年7月4日) 2023年7月4日閲覧。
- ^ a b “鴻巣の日本一 【日本一】水管橋の長さ(1,100.95 m)”. 鴻巣市役所 (2016年3月1日). 2020年1月23日閲覧。
- ^ 吉原忠 & 栗原哲男 (1984, p. 49)
- ^ a b c d 『埼玉新聞』昭和60年6月30日10頁
- ^ 荒川水管橋の銘板 有限会社フカダソフト「気まぐれ旅写真館」(2020年1月27日閲覧)
- ^ a b c d “荒川水管橋 〜日本一長い水管橋〜” (PDF). 国土交通省 荒川上流河川事務所. 2020年1月26日閲覧。
- ^ 吉原忠 & 栗原哲男 (1984, p. 58)
- ^ a b 荒川上流河川維持管理計画【国土交通大臣管理区間編】 (PDF) (国土交通省関東地方整備局、2017年11月)p.107 2020年2月11日閲覧
- ^ “埼玉県荒川水管橋 初の見学会に700人”. 日本水道新聞. (2016年12月1日) 2020年1月26日閲覧。
- ^ "日本一長い水管橋を歩いてみよう!荒川水管橋見学会の開催" (Press release). 埼玉県企業局. 30 September 2019. 2020年1月26日閲覧。
- ^ “【橋りょう】大芦橋〔鴻巣市・熊谷市〕”. 埼玉県県土整備部 (2018年2月15日). 2020年1月26日閲覧。
- ^ “水管橋カードを作成しました”. 埼玉県 (2019年4月18日). 2020年1月26日閲覧。
参考文献・資料
編集- 吉原忠、栗原哲男「荒川水管橋の設計と施工」『橋梁』第20巻第12号、橋梁編纂委員会、1984年12月、49-58頁、ISSN 0287-0991。
- “荒川水管橋が全建賞を受賞”. 『埼玉新聞』 (埼玉新聞社): p. 10. (1985年6月30日)
関連項目
編集- 日本一の一覧
- 橋の一覧 (長さ順)
- 鹿浜橋 - 荒川を横断する水道橋の役割を持ちあわせている
- 金石水管橋 - 同上
外部リンク
編集- 荒川水管橋 有限会社フカダソフト「気まぐれ旅写真館」
- 彩の国デジタルアーカイブ - 荒川水管橋の写真が収録されている(写真検索で「荒川水管橋」の検索結果を参照)。