公益社団法人農業農村工学会英語: The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering、略称:JSIDRE)は、東京都港区新橋に本拠を置く日本の工学系学会である。1907年(明治40年)に発足した耕地整理研究会を前身とし、1929年(昭和4年)に「農業土木学会」として設立された。2007年に現在の「農業農村工学会」に改称した。

のうぎょうのうそんこうがっかい
公益社団法人農業農村工学会
英語名称 The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
略称 JSIDRE
法人格 公益社団法人
法人番号 8010405010362 ウィキデータを編集
専門分野 工学
設立 1929年5月
前身 社団法人農業土木学会
事務局 日本の旗 日本
105-0004
東京都港区新橋5-34-4
会員数 10,600人、賛助会員124社[1]
刊行物 『農業農村工学会誌』(機関誌)など
ウェブサイト http://www.jsidre.or.jp/
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農業農村工学(農業土木)の進歩と研究者・技術者の資質向上を図り、学術・技術の振興と社会の発展に寄与することを目的とする[2]。個人会員約1万人のうち、研究者が1割、技術者が9割の構成であり、技術者会員が非常に多いことが特色である[1]

農業農村工学

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学会名に掲げる「農業農村工学」を、「農業の生産性向上と農村の生活環境の整備、農業農村にかかわる中小都市も含めた地域全体の持続的発展」を達成するために「循環を基調とした社会を構築し、水・土などの地域資源を,人と自然の調和,環境への配慮を重視して合理的に管理する科学技術」と定義している[2]。学会として「農業農村工学に係わる技術者の倫理規程」(旧称「農業土木技術者の倫理規程」)を定め、公表している[3]

沿革

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特記のないかぎり公式ウェブサイト掲載の「農業農村工学会のあゆみ」[4]にもとづく。
  • 1907年(明治40年)6月29日 - 耕地整理担当技術者を集め耕地整理研究会が発足[5][6]、発足から一年半後を経て研究会報第1号を発行し、昭和4年3月の第89号(最終号)まで続刊[7]
  • 1929年(昭和4年)5月 - 農業土木学会設立[8]。耕地整理研究会を引継ぎ、会員数約2,500名。初代学会長は田中貞次が務めた[9]。12月、学会機関誌『農業土木研究』創刊[10][11]
  • 1930年(昭和5年)4月12日 - 第1回日本農学会開催、第7部会となる[11]
  • 1931年(昭和6年)12月 ー 『農業土木ハンドブック』初版を刊行[11]
  • 1960年(昭和35年) - 論文集として『農業土木研究別冊』を創刊[12]
  • 1965年(昭和40年) ‐ 月刊の学会誌『農業土木研究』を『農業土木学会誌』に改題[13]。年2回の別冊は『農業土木学会論文集』と改題[14]
  • 1967年(昭和42年) - 農業土木会館が東京都港区新橋に完成。
  • 1970年(昭和45年) - 2月4日、社団法人として認可[1]上野英三郎の功績を讃えて「上野賞」を創設[15]
  • 1982年(昭和57年) - 学会英文誌『Journal of Irrigation Engineering and Rural Planning』を創刊[16]。年2回刊。
  • 1996年(平成8年) - 学会英文誌を『Rural and Environmental Engineering (REE)』に改題[17]
  • 2002年(平成14年) - 「農業土木技術者の倫理規程」を策定し、『農業土木学会誌』の巻頭で公表[18]
  • 2003年(平成15年) - 国際英文ジャーナル『Paddy and Water Environment』を韓国台湾と協力して創刊[19]、季刊(年4回)。
  • 2006年(平成18年) - 『農業土木学会誌』を『水土の知 : 農業土木学会誌』にリニューアル。
  • 2007年(平成19年) - 名称を「社団法人農業土木学会」から「社団法人農業農村工学会」に変更、6月29日文部科学大臣認可。あわせて学会誌名を『水土の知 : 農業農村工学会誌』に、論文集を『農業農村工学会論文集』に改題。
  • 2012年(平成24年)4月1日 - 公益社団法人として登記。

出版物

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以下の定期刊行物がある。

  • 農業農村工学会誌 (毎月発行)[20][21]
  • 農業農村工学会論文集 (年2回発行)[22][23]
  • Paddy and Water Environment (2003年創刊の国際英文学術誌。International Society of Paddy and Water Environment Engineeringを母体とし[24]Springer-Verlag社より発行[19][25][26]

脚注・出典

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  1. ^ a b c 事業の概要”. 公益社団法人農業農村工学会 (2022年12月). 2023年6月21日閲覧。
  2. ^ a b 学会について”. 公益社団法人農業農村工学会. 2023年6月18日閲覧。
  3. ^ 農業農村工学に係わる技術者の倫理規程”. 公益社団法人農業農村工学会 (2009年3月12日). 2023年6月18日閲覧。 “平成14年2月19日制定/平成21年3月12日一部改正”
  4. ^ 農業農村工学会のあゆみ.
  5. ^ 牧 隆泰 1959, p. 238.
  6. ^ 田中貞次「農業土木学の発達と学会設立に至るまで」『農業土木研究』第27巻第5号、農業土木学会、1959年12月、276-278頁、doi:10.11408/jjsidre1929.27.276 
  7. ^ 牧 隆泰 1959, p. 239.
  8. ^ 牧 隆泰 1959, p. 240-241.
  9. ^ 歴代会長|農業農村工学会とは”. 公益社団法人農業農村工学会 (2024年). 2023年6月18日閲覧。
  10. ^ 『農業土木研究』。NCID AN00201214.
  11. ^ a b c 牧 隆泰 1959, p. 241.
  12. ^ 『農業土木研究別冊』。NCID AN00201156.
  13. ^ 『農業土木学会誌』。NCID AN0020119X, ISSN 1884-7188.
  14. ^ 『農業土木学会論文集』。NCID AN00201203, ISSN 1884-7234.
  15. ^ 農業農村工学会と忠犬ハチ公”. 公益社団法人農業農村工学会 (2009年3月12日). 2023年6月18日閲覧。 “農業農村工学会では、〔上野英三郎〕先生のご遺徳を偲び、門下生や会員から募金を行い、学会賞の一つに「上野賞」を設け、昭和46年度から農業土木事業の発展に尽くした事業に授与しています。”
  16. ^ Journal of Irrigation Engineering and Rural Planning. NCID AA10459273, ISSN 1884-720X.
  17. ^ Rural and Environmental Engineering (REE). NCID AA11106268, ISSN 1884-717X.
  18. ^ 広瀬慎一「農業土木技術者の倫理規程の解説」『農業土木学会誌』第71巻第2号、農業土木学会、2003年2月、237-262頁、doi:10.11408/jjsidre1965.71.2_99ISSN 1884-7188 
  19. ^ a b 増本隆夫「PWE(Paddy and Water Environment)誌のこれまでと今後の抱負」(pdf)『農業農村工学会大会講演会講演要旨集』(平成28年度)、公益社団法人農業農村工学会、2016年、5-6頁。  ※pdf配布元は農業農村工学会「農業農村工学会講演要旨検索システム」。
  20. ^ 農業農村工学会誌”. 公益社団法人農業農村工学会 (2023年). 2023年6月18日閲覧。
  21. ^ 『水土の知 : 農業農村工学会誌』。NCID AA12221567, ISSN 1884-7196.
  22. ^ 農業農村工学会論文集”. 公益社団法人農業農村工学会 (2023年). 2023年6月18日閲覧。
  23. ^ 『農業農村工学会論文集』。NCID AA12240517, ISSN 1884-7242.
  24. ^ Major Events” (英語). International Society of Paddy and Water Environment Engineering (PAWEES) (2018年). 2023年6月24日閲覧。
  25. ^ Paddy and Water Environment”. 公益社団法人農業農村工学会 (2023年). 2023年6月18日閲覧。
  26. ^ Paddy and Water Environment (PWE). NCID AA11882257, ISSN 1611-2490.

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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