鬱陵郡

韓国・慶尚北道に属する郡の一つ

鬱陵郡(ウルルンぐん)は、大韓民国慶尚北道の郡。陸地(本土)から約150キロ東方の日本海に浮かぶ鬱陵島と付属島嶼(竹嶼観音島)からなる。日本との領有権争いがある竹島を郡域に含む。面積72.518平方キロ、人口9,252人。鬱陵邑・北面・西面の1邑2面で構成される。

慶尚北道 鬱陵郡
郡旗
位置
地図
各種表記
ハングル: 울릉군
漢字: 鬱陵郡
片仮名転写: ウルルングン
ローマ字転写 (RR): Ulleung-gun
統計(2023年
面積: 73.34 km2
総人口: 9,077[1]
男子人口: 5,033 人
女子人口: 4,044 人
人口密度: 123.77 人/km2
世帯数: 5,605 世帯
行政
国: 大韓民国の旗 大韓民国
上位自治体: 慶尚北道
下位行政区画: 1邑、2面
行政区域分類コード: 37430
鬱陵郡の木: タブノキ
鬱陵郡の花: ツバキ
鬱陵郡の鳥: カラスバト
自治体公式サイト: 鬱陵郡
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歴史

  • 512年 - 新羅による于山国征伐(鬱陵島が初めて文献に登場)。
  • 930年 - 芋陵島住民、高麗に朝貢。
  • 1018年 - 女真族の度重なる侵入により荒廃。
  • 1379年 - 倭寇が武陵島住民を本土に追う。
  • 1417年 - 李氏朝鮮住民を島に帰還させる。
  • 1614年 - 対馬藩主へ鬱陵島に倭人の往来を禁止すると通告。
  • 1693年 - 鬱陵島で朝鮮人と日本漁夫の衝突、朝鮮と日本の外交紛争発生(安竜福1次渡日)。
  • 1696年 - 安竜福2次渡日。日本伯耆州太守と談判し、鬱陵島が朝鮮領土であることを認定(日本人の出漁、伐採禁止)。
  • 1882年 - 鬱陵島開拓令頒布、島長を任命。
  • 1883年 - 鬱陵島へ移住開始(54人)。
  • 1895年 - 専任島長を任命。
  • 1900年 - 鬱陵島・竹嶼・石島を含む領域を鬱島郡に改称し、江原道に編入。(2面)
    • 南面・北面が成立。
  • 1906年 - 江原道から慶尚南道に移管。(3面)
    • 南面・北面のそれぞれ一部をもって西面を設置。
  • 1914年 - 慶尚南道から慶尚北道に移管[2]。(3面)
  • 1915年 - 郡制を廃止し済州島とともに道に変更、鬱島郡庁を鬱陵島庁、郡守を島司に改称。(3面)
  • 1949年 - 韓国政府樹立後、鬱陵郡として返還[3]。(3面)
  • 1974年 - 鬱陵島スパイ事件
  • 1979年 - 南面が鬱陵邑に昇格[4]。(1邑2面)
  • 2000年 - 鬱陵邑に独島里を新設。(1邑2面)

地理

中央に鬱陵峰がそびえている。北部は羅里盆地となっていて周辺には海水浴場が多くある。朝鮮半島の古文献でも知られる「三峯」(鬱陵島最高峰である聖人峯(標高984m)を中心とした西・南・東の三面に連なる山脈)が在り、赤青白で彩られた鬱陵郡旗に象徴的に描かれている。

気候

日本海に位置しているため、冬の降水量が多く、韓国で最も降雪量が多い地域である。沿岸部では40㎝程、内陸部では1m近い積雪を記録することがあり、1962年1月31日に内陸部にある気象台で観測された積雪293.6cmは韓国で最も多い記録である。

  • 最高気温極値34.6℃(1994年8月4日)
  • 最低気温極値-13.6℃(1981年2月26日)
  • 過去最深積雪293.6cm(1962年1月31日)
鬱陵郡(鬱陵島気象観測所)の気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
最高気温記録 °C°F 14.9
(58.8)
19.2
(66.6)
21.8
(71.2)
26.1
(79)
30.8
(87.4)
32.2
(90)
34.6
(94.3)
34.6
(94.3)
32.4
(90.3)
27.2
(81)
23.2
(73.8)
17.9
(64.2)
34.6
(94.3)
平均最高気温 °C°F 4.4
(39.9)
5.6
(42.1)
9.6
(49.3)
15.1
(59.2)
19.7
(67.5)
22.5
(72.5)
25.5
(77.9)
26.9
(80.4)
23.2
(73.8)
18.8
(65.8)
13.2
(55.8)
7.2
(45)
16.0
(60.8)
日平均気温 °C°F 1.7
(35.1)
2.5
(36.5)
5.8
(42.4)
11.1
(52)
15.8
(60.4)
19.1
(66.4)
22.7
(72.9)
23.8
(74.8)
20.0
(68)
15.4
(59.7)
9.9
(49.8)
4.3
(39.7)
12.7
(54.9)
平均最低気温 °C°F −0.5
(31.1)
0.0
(32)
2.9
(37.2)
7.8
(46)
12.5
(54.5)
16.5
(61.7)
20.5
(68.9)
21.7
(71.1)
17.7
(63.9)
13.0
(55.4)
7.4
(45.3)
1.9
(35.4)
10.1
(50.2)
最低気温記録 °C°F −11.6
(11.1)
−13.6
(7.5)
−9.9
(14.2)
−2.7
(27.1)
3.8
(38.8)
7.0
(44.6)
12.5
(54.5)
14.7
(58.5)
8.9
(48)
0.7
(33.3)
−5.9
(21.4)
−9.6
(14.7)
−13.6
(7.5)
降水量 mm (inch) 117.4
(4.622)
91.3
(3.594)
76.4
(3.008)
97.8
(3.85)
108.5
(4.272)
116.8
(4.598)
175.0
(6.89)
176.7
(6.957)
173.6
(6.835)
100.9
(3.972)
116.9
(4.602)
129.3
(5.091)
1,480.6
(58.291)
平均降水日数 (≥0.1 mm) 18.8 14.5 12.0 9.0 8.6 8.6 12.0 11.6 10.6 9.3 13.1 18.2 146.3
平均降雪日数 17.7 13.2 7.4 1.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 3.4 13.1 55.9
湿度 68.6 68.4 67.5 67.2 70.2 79.6 84.7 83.4 79.3 71.4 67.6 67.3 72.9
平均月間日照時間 102.0 118.1 180.5 216.5 238.5 185.5 165.1 176.6 163.7 178.8 132.0 104.1 1,961.4
出典:韓国気象庁 (平均値:1991年-2020年、極値:1938年-現在)[5][6]

行政

 
行政区域図

行政区画

下位行政区画は1邑2面。

邑・面 法定里
鬱陵邑朝鮮語版 道洞里、苧洞里、沙洞里、独島里
北面朝鮮語版 天府里、羅里、玄圃里
西面朝鮮語版 南陽里、南西里、台霞里

警察

消防

経済

近海でサンマスケソウダラ(明太)・イカなどが取れ、主に漁業で生計を立てる。土地は痩せており、麦やトウモロコシ程度しか採れない。浦項港などとの間に旅客船の便があり、本土からの観光客は年に20万人程度である。陸地(韓国本土)との交通が不便で、スーパーマーケットや商店がなく、漁業協同組合が販売チェーン店を運営する。

独島博物館

1995年、光復50周年を迎えて独島博物館設置が決まり、鬱陵邑が土地を提供し三星(サムスン)文化財団が建設した施設にイ・チョンハク初代館長が30年余りの間国内外で収集した資料を中心に独島義勇守備隊同志会の資料などを加えて、1997年8月8日韓国内唯一の領土博物館として開館した。敷地面積2,441坪、施設延べ床面積484坪で、地下1階地上2階建て。1998年8月8日開館1周年を記念して独島博物館標石や野外独島博物院が造成された。

教育

国内姉妹都市

脚注

  1. ^ 주민등록 인구통계 - 행정안전부”. 行政安全部. 2024年1月3日閲覧。
  2. ^ 朝鮮総督府令第111号(1913年12月29日
  3. ^ 法律第32号 지방자치법(1949年7月4日)第145項
  4. ^ 大統領令第9409호 미금읍등53개읍설치에관한규정(1979年4月7日
  5. ^ 우리나라 기후평년값(1991~2020) 울릉도(115)”. 韓国気象庁. 2021年3月25日閲覧。
  6. ^ 순위값 - 구역별조회 울릉도(115)”. 韓国気象庁. 2021年10月2日閲覧。

外部リンク