魚病学
魚病学とは、魚介類の感染症などを研究する学問である[1][2]。
日本においては昭和48年以降、獣医師の学ぶ内容として義務化されており[3]、獣医師国家試験の出題科目となっている[4]。
自然環境に生息する魚やカニ・エビ・貝の他、養殖魚介類、観賞魚などに蔓延する感染症や寄生虫などを研究する学問である[3]。
歴史
編集紀元前のエジプト、中国に魚の病気についての記述を見ることができる。19世紀末にヨーロッパで微生物の研究からマス類やウナギの細菌病についての研究を中心に行われ、1950年代からウイルス病の研究が始まった[5]。
日本
編集古い物では、1902年に生物学者・農商務省員の松原新之助が著した「魚病の研究」がある[6]。
1950年代に細菌病の研究が、1970年代にウイルス病の研究が行われるようになった[5]。
魚病について
編集→詳細は「Category:魚病」および「魚病と寄生虫」を参照
分類としては、原因となる生物のサイズから、ウイルス(10‐300 nm)、細菌(0.5‐5 µm)、真菌(5 µm‐)、寄生虫に分類される[5]。
ブリには、ブリ連鎖球菌症、ブリウイルス性腹水症、類結節症[7]、ビブリオ病、ノカルジア症などが見られる[3]。
ウナギには、ウナギ口部乳頭腫症、鰭赤病(アエロモナス菌感染症、運動性エロモナス症)、パラコロ病(エドワージエラ菌感染症)、カラムナリス病(フレキシバクター菌感染症)、赤点病などが見られる[3]。
コイ類には、コイウイルス属のコイヘルペスウイルス感染症、コイ春ウイルス病などがある。
また、ヒラメラブドウイルス病はヒラメ、クロダイ、メバルなど。ノカルジア症は、ブリ、カンパチ、ヒラメ、ハマチなど、種を超えて感染するものがある。
出典
編集- ^ “東京大学 魚病学研究室”. 東京大学 fishparasite.fs.a.u-tokyo.ac.jp. 2023年1月30日閲覧。
- ^ “コース: 魚病学の基礎”. 北海道大学、repun-app.fish.hokudai.ac.jp. 2023年1月30日閲覧。
- ^ a b c d 江草周三「わが国における魚病の研究と教育」『日本獣医師会雑誌』第37巻第7号、日本獣医師会、1984年、473-476頁、CRID 1390282679688846208、doi:10.12935/jvma1951.37.473、ISSN 04466454。「「獣医学と魚病」に関するシンポジウム記録-1-わが国における魚病の研究と教育(資料)」
- ^ 獣医師国家試験出題基準(平成26年改正) サイト:農林水産省
- ^ a b c 季報第116号魚介類の病気をしらべる 令和4年3月 著:京都府農林水産技術センター海洋センター サイト:京都市
- ^ 大島泰雄(1994):水産増・養殖技術発達史 緑書房
- ^ ぶり属魚類由来類結節症菌(Photobacterium damselae subsp. piscicida)の薬剤耐性及びプラスミド型 サイト:農林水産省
関連項目
編集- ヒトへ影響を与えるもの
- シガテラ - 生物濃縮で毒素がたまった結果起きるヒトの食中毒。
- スコンブロイド食中毒(ヒスタミン食中毒) - ヒトが鮮度の悪い魚を食べた際に起きる食中毒。
- ヒト種に寄生する寄生虫一覧 ‐人畜共通寄生虫症のアニサキスなど人畜共通寄生虫症となるものもある。
外部リンク
編集- 対象水産動物別の対象疾病早見表 【甲殻類】 - 農林水産省