1789年アメリカ合衆国大統領選挙(1789ねんアメリカがっしゅうこくだいとうりょうせんきょ、英語: United States presidential election, 1789)は、1789年1月7日および2月4日に行われたアメリカ合衆国の大統領および副大統領の選挙(第1回)である。
1789年アメリカ合衆国大統領選挙
United States presidential election, 1789
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州別選挙人分布図 ワシントン
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1776年に独立した合衆国は、1781年に発効した連合規約によって国家運営を行っていた。しかし、連合規約は13州の主権を尊重していたことから各州間の利害調整を果たすことができず、連合規約に代わるより中央集権的な新しい国家憲章を求める意見が高まった。
その結果、1787年に開催されたフィラデルフィア憲法制定会議において中央政府の権限を強化した合衆国憲法を制定し、翌1788年施行した。
合衆国憲法は大統領は元首であり、中央政府の代表として選挙で選出することを規定したため、1788年から1789年にかけて大統領選挙を実施することを決定した。
建国当時は政党は存在せず、合衆国憲法批准を支持した連邦党と批准に反対した反行政党のグループに分類されたが、両グループともジョージ・ワシントンを大統領に支援することで一致した。
- 選挙人選出 :1789年1月7日
- 正副大統領選出:1789年2月4日
- 連合会議は1788年9月13日、1月第1水曜日までに各州で選挙人を選出し、2月第1水曜日に選挙人による正副大統領選挙投票の実施を決定した[2]。
- ニューハンプシャー州とマサチューセッツ州は、それぞれ12月15日と12月18日に、下院議員選挙と同時に選挙人選出の一般投票が行われた。これらの州では、投票結果に基づいて州議会が1月7日に選挙人を選出した。
- デラウェア州、メリーランド州、ペンシルベニア州およびバージニア州は、1月7日の一般投票で選挙人を選出した。
- コネチカット州、ジョージア州、サウスカロライナ州およびニュージャージー州は、州議会が1月7日に選挙人を選出した。
- ニューヨーク州は1月7日までに選挙人選出の選挙法が成立できなかったため、選挙人を選出できなかった。
- ノースカロライナ州とロードアイランド州は合衆国憲法に未批准のため大統領選挙に参加しなかった
- 最多得票者を大統領に、次点得票者を副大統領に選出する[注 1]。
- 4州が州議会による選出。6州が一般投票を実施して選出[2]。なお、大統領候補に投票するのではなく、選挙人に投票する。
- 同一候補者に2票投じることはできず、2票のうち少なくとも1票は選挙人と異なる州の出身者に投票しなければならない[注 1]。
- 正副大統領選出:選挙人
- 選挙人選出 :各州法の規定に基づく
- 正副大統領選出:満35歳以上の出生または憲法成立時の合衆国市民、および合衆国の在住期間が14年経過した者[注 2]
- 選挙人選出 :各州法の規定に基づく
ジョージ・ワシントンは選挙人(69人)の全会一致で初代大統領に選出された。また、得票数2位のジョン・アダムズが副大統領に就任した。なお、メリーランド州選出選挙人が2名、バージニア州選出選挙人が1名が棄権した[3][4]。また、バージニア州で選挙人1名が登録不備で選挙人投票期日までに選出されず、ニューヨーク州も憲法規約に批准したものの州議会の意見の相違から選挙人選出法が期日までに成立できなかったため、選挙人団を選出されなかった。
州
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親政府グループ
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反行政党
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総計
|
選挙人
|
得票数
|
得票率
|
選挙人
|
得票数
|
得票率
|
選挙人
|
投票総数
|
コネチカット州
|
7 |
- |
-
|
0 |
- |
-
|
7 |
-
|
デラウェア州[5]
|
3 |
685 |
100.0%
|
0 |
0 |
0.00%
|
3 |
685
|
ジョージア州
|
4 |
- |
-
|
1 |
- |
-
|
5 |
-
|
メリーランド州[6][7]
|
8 |
5,539 |
71.63%
|
0 |
2,193 |
28.37%
|
8
|
7,732
|
マサチューセッツ州[8]
|
10 |
17,740 |
100.0%
|
0 |
0 |
0.00%
|
10
|
17,740
|
ニューハンプシャー州[9]
|
5 |
5,909 |
100.0%
|
0 |
0 |
0.00%
|
5
|
5,909
|
ニュージャージー州
|
6 |
- |
-
|
0 |
- |
-
|
6
|
-
|
ニューヨーク州
|
0 |
- |
-
|
0 |
- |
-
|
0
|
-
|
ペンシルバニア州[10]
|
10 |
6,711 |
90.90%
|
0 |
672 |
9.10%
|
10
|
7,383
|
サウスカロライナ州
|
7 |
- |
-
|
0 |
- |
-
|
7
|
-
|
バージニア州[11]
|
8 |
3,040 |
70.16%
|
3 |
1,293 |
29.84%
|
11 |
4,333
|
総計
|
68 |
39,624 |
90.50%
|
4 |
4,158 |
9.50%
|
72
|
43,782
|
出典:Our Campaigns - US President National Vote[注 6]
|
州
|
ワシントン
|
アダムズ
|
ジェイ
|
ハリソン
|
ラトリッジ
|
ハンコック
|
クリントン
|
ハンティントン
|
ミルトン
|
アームストロング
|
リンカーン
|
テルフェア
|
投票計
|
欠員
|
棄権
|
定数
|
コネチカット州
|
7
|
5
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
2
|
0
|
0
|
0
|
0
|
14
|
0
|
0
|
7
|
デラウェア州
|
3
|
0
|
3
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
6
|
0
|
0
|
3
|
ジョージア州
|
5
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
2
|
1
|
1
|
1
|
10
|
0
|
0
|
5
|
メリーランド州
|
6
|
0
|
0
|
6
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
6
|
0
|
2
|
8
|
マサチューセッツ州
|
10
|
10
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
20
|
0
|
0
|
10
|
ニューハンプシャー州
|
5
|
5
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
10
|
0
|
0
|
5
|
ニュージャージー州
|
6
|
1
|
5
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
12
|
0
|
0
|
6
|
ニューヨーク州
|
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
8
|
-
|
8
|
ペンシルバニア州
|
10
|
8
|
0
|
0
|
0
|
2
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
20
|
0
|
0
|
10
|
サウスカロライナ州
|
7
|
0
|
0
|
0
|
6
|
1
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
14
|
0
|
0
|
7
|
バージニア州
|
10
|
5
|
1
|
0
|
0
|
1
|
3
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
20
|
1
|
1
|
12
|
総計
|
69
|
34
|
9
|
6
|
6
|
4
|
3
|
2
|
2
|
1
|
1
|
1
|
138
|
9
|
3
|
81
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出典:1789-Counting The Votes.com, The Papers of George Washington
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- ^ a b アメリカ合衆国憲法第2条第3節の規定に基づく。
- ^ アメリカ合衆国憲法第2条第5節の規定に基づく。
- ^ 州議会で2名選出し、一般投票(8選挙区)の上位2名から州議会が選挙人8名を選出。
- ^ 絶対多数の選挙人候補者が不在の場合、上位2名から州議会が選挙人に選出。
- ^ 東部(選挙人3)・西部(選挙人5)の2選挙区が設置された。
- ^ 人口の1.3%足らずが投票した。1790年の国勢調査ではアメリカ合衆国の人口は300万人、うち240万人が自由人、60万人が奴隷であった。また、選挙人を一般投票で選んだ州は、その州によって有権者の財産に関する幅広い制限を設けていた。
- ^ “National General Election VEP Turnout Rates, 1789-Present”. United States Election Project. CQプレス. 2024年4月14日閲覧。
- ^ a b Stephens, Frank Fletcher. The transitional period, 1788-1789, in the government of the United States, University of Missouri Press, 1909, pp. 67-74.
- ^ “A New Nation Votes”. elections.lib.tufts.edu. 2020年12月31日閲覧。
- ^ “The Electoral College Count for the Presidential Election of 1789”. Washington Papers. University of Virginia. 28 October 2022閲覧。
- ^ “Delaware 1789 Electoral College”. A New Nation Vote. Tufts Archival Research Center. 2024年4月14日閲覧。
- ^ “Maryland 1789 Electoral College, Eastern Shore”. A New Nation Vote. Tufts Archival Research Center. 2024年4月14日閲覧。
- ^ “Maryland 1789 Electoral College, Western Shore”. A New Nation Vote. Tufts Archival Research Center. 2024年4月14日閲覧。
- ^ “Massachusetts 1789 Electoral College”. A New Nation Vote. Tufts Archival Research Center. 2024年4月14日閲覧。
- ^ “New Hampshire 1789 Electoral College, Ballot 2”. A New Nation Vote. Tufts Archival Research Center. 2024年4月14日閲覧。
- ^ “Pennsylvania 1789 Electoral College”. A New Nation Vote. Tufts Archival Research Center. 2024年4月14日閲覧。
- ^ “Virginia 1789 Electoral College”. A New Nation Vote. Tufts Archival Research Center. 2024年4月14日閲覧。