IT勉強会
概要
編集IT業を中心に、ハッカソンなどの手法が取り入れられ日本においてIT勉強会という形で発達した。参加者は一般の社会人の方から学生、よくWeb上で名前を見掛けるような技術者の方まで多様であり[3]、企業の枠組みを超え、互いに情報交流と勉強ができるのが特徴である[4]。 学会などと比べより身近に学術的でない人とも参加しやすい利点がある[5]。
IT勉強会の特徴
編集IT勉強会の独自文化として下記が挙げられる。
- 1人5分程度のライトニングトークセッションがある。
- 勉強会の内容をハッシュタグをつけてSNSで実況する。
- 懇親会にて料理、ドリンクが主催者より提供され、参加者は食事をしながら勉強会の感想等を話し合う。
- 発表者はスライドをSlideShareやSpeaker Deckにアップロードする。
- 勉強会の感想をブログに投稿する。内容によってはコメントがつき話題になることがある。
スライドやブログをアップロードすることで参加者以外でも発表内容を確認でき、またSNSで広く共有されることにより、知見や成果が早く共有化されるという特徴がある[6]。このような共有化の文化はITエンジニア特有のものとする意見もある[7]。
日本におけるIT勉強会
編集日本におけるIT勉強会は企業の枠組みを超え勉強できる環境を作ることが特徴であり、多くの場合ボランティアにおいて企業の会議室などが会場として貸し出される[8]。また、コワーキングスペースや共創スペースが利用されることもある。そこでは、企業の最新アプリの紹介、プログラミングの事例紹介などが行われる。このような傾向は多くの場合異業種には見られず、IT業界の中でもベンチャー企業が中心になって行われていた。 しかし、メイカーズムーブメントの流れを受け、ハードウェア分野の勉強会やIoTやビッグデータでの異業種連携の流れが出てきている。[9]
オープンイノベーションとして役割
編集IT勉強会は技術者にとって自己啓発、社外人脈の構築、新しい価値の創造につながり、オープンイノベーションの一種であるという考え方も指摘されている[10]。また、企業がオープンイノベーションへの参加として、オープンソースソフトウェアコミュニティなどの参加もありうるが、企業組織をオープンイノベーションに適応させる取り組みの一歩として、自社の会議室を会場として勉強会・コミュニティに提供することで社外の人材との交流も方法の一つである[11]。
地方と都市
編集多くのIT勉強会は東京を中心とした都市圏で開かれており、ハッカソンなどでは地域課題の解決といいつつ多くは都市部である。このため、各地点をイノベーションハブとして、TwitterのハッシュタグやWEBテレビ電話で中継する試みもある。[12]
コロナ後
編集2020年、新型コロナウイルス蔓延後は、イベントのオンライン化が進んでおり地域、場所を問わず参加できる傾向に変わりつつある。[13][14] 日本では、connpass、TECH PLAY、peatixなどとZoomなどが組合させて使用されることが多いが、日本とは違い、シリコンバレーを含めた英語圏などではMeetupやeventbriteが一般的によく使用される。[15][16][17][18][19]
IT勉強会への他業界の参画
編集2020年以降、IoTやオープンイノベーション、デジタルトランスフォーメーションが進展するにつれ、IT勉強会が異業界の融合型となってきており、NTTグループとトヨタ自動車が機械学習でのコネクテッドカーの発表をする[20]。中外製薬がヘルスケア分野のAI(人工知能)、データ活用やデジタルトランスフォーメーションのイベントを開催[21]。日産自動車とDeNAが共同で開発したMaaSなどの発表が行われている[22]。
他のイベントとの差異
編集類似のものとしては、フューチャーセンターや異業種交流会などがある。フューチャーセンターは対話とイノベーションを目的とし[23]、参加する人をIT業種を中心としないことからIT勉強会とは異なっている。また、異業種交流会は、交流と人脈作り[24]を目的とし勉強を目的としないことから、IT勉強会とは異なっている。
脚注
編集- ^ 勉強会主催者・参加者が知らないと泣きを見る48のサービス&テクニック
- ^ オラクルエンジニア通信 - 技術資料、マニュアル、セミナー
- ^ 第1回 IT勉強会はサークルと同じくらい魅力的!
- ^ IT 勉強会スタンプラリー”で行く、全国コミュニティ探訪 第6回
- ^ 吉岡弘隆「全国技術系勉強会マップ-技術者のライブセッションに参加しよう!- : 1.技術系勉強会が熱い」『情報処理』第52巻第4号、情報処理学会、2011年4月、400-406頁、CRID 1050001337900554624、ISSN 04478053。
- ^ 湯村翼「アカデミック以外の場において発表される成果や知見の活用について」『研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC)』2015-EC-37、第3号、2015年8月。ISSN 2188-8914。 NCID AA12049625 。
- ^ 木下雄策 (14 March 2016). "月10回ほど勉強会に参加し続けて感じた、ITエンジニア文化のここがすごい!". TECH+. マイナビ. 2024年5月3日閲覧。
- ^ IT勉強会を開催するボクらの理由
- ^ ビッグデータ、異業種連携に新指針 公取委 【イブニングスクープ】
- ^ オープンイノベーション時代における勉強会の価値
- ^ クラウドが普及した市場で、生き残るエンジニアと組織(atmarkit)
- ^ みんなのPython勉強会リモート中継 in GEEKLAB.NAGANO #20
- ^ コロナ後もオンラインイベント定着へ Peatixが調査結果公開、満足度も高い傾向に
- ^ コロナ後もオンラインイベントはどこまで定着するのか?
- ^ Silicon Valley Builder (SVB)
- ^ Silicon Valley Health 2.0
- ^ Silicon Valley Robotics
- ^ Data, Cloud and AI in Silicon Valley
- ^ eventbrite
- ^ トヨタとNTTグループが「コネクティッドカーICT基盤」実証実験の成果を語る!|TECH PLAY Magazine [テックプレイマガジン]
- ^ 中外製薬、ヘルスケア×デジタルのイベントを開催:日経バイオテクONLINE
- ^ NISSAN×DeNA 車は「モノ<プロダクト>」か「コト<サービス>」か、当事者たちから見える風景を語る|TECH PLAY Magazine [テックプレイマガジン]
- ^ 新たな「つながる場」、フューチャーセンター
- ^ 社外の人脈作り 「異業種交流会」より「資格学校」がよい理由