MDR-CD900ST
MDR-CD900STは、ソニー・ミュージックソリューションズが販売しているヘッドフォン。日本ではモニター・ヘッドフォンのデファクトスタンダードとして知られている[1]。1989年に法人に限定して販売が開始され、1995年からは家庭用にも販売されている。希望小売価格は税込で19,800円である[2]。
本機はソニーが1985年に発売したヘッドフォン MDR-CD900[3] を元に、ソニーとソニー・ミュージックスタジオの共同開発によって誕生した[4]。CBS・ソニーのスタジオで使用するために開発されたモデルであり、当初は非売品で MDR-CD900CBS というモデル名であったが、1989年に国内のスタジオ向に発売された際、MDR-CD900ST にモデル名が変更された[4]。
MDR-CD900 と MDR-CD900ST の外見上の主な相違点は、MDR-CD900 はハウジングが光沢仕上げ、折り畳み機構を備え、カールコード、プラグが3.5mmミニプラグと標準プラグを切り替えられる2ウェイ仕様のフォーンプラグである一方、 MDR-CD900ST はハウジングがつや消し仕上げ、折り畳み機構がなく、ストレートコード、標準フォーンプラグとなっている[5]。MDR-CD900 はアモルファス・ダイヤモンド振動板を採用しているが、MDR-CD900ST は振動板素材に関する記載が特にない。音作りは藤木電器より監修を受けている[6]。
海外では同系統の機種である MDR-V6(1985年発売)と MDR-7506(1991年発売)がモニターヘッドフォンとして有名である。どちらも折り畳み可能で、カールコード、2ウェイ仕様のプラグである。MDR-7506 はソニーから業務用ルートで国内でも販売されている。
2019年8月23日にはMDR-CD900STからの一部設計の継承を行ったハイレゾモニターヘッドフォンであるMDR-M1STが発売された。性能の向上に伴い、希望小売価格は税込で34,650円に設定されており、MDR-CD900STと比較して倍近く高価になっている[7][8]。
仕様
編集いずれもメーカー公称の値。
型番 | MDR-CD900ST |
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方式 | ダイナミック型 |
ドライバー口径 | 40 mm |
最大入力 | 1000 mW |
インピーダンス | 63 Ω |
音圧感度 | 106 dB/mW |
再生周波数帯域 | 5 - 30000 Hz |
質量 | 約200 g (コードの重さは含まず) |
歴史
編集脚注
編集- ^ 高橋敦 (2012年12月12日). “【第27回】ソニーの定番モニター「MDR-CD900ST」の音はイマも通用するか?”. 音元出版. 2015年9月20日閲覧。
- ^ Inc, Sony Marketing (Japan). “MDR-CD900ST | ヘッドホン | ソニー”. ソニー製品情報・ソニーストア. 2023年11月6日閲覧。
- ^ https://www.sony.jp/headphone/special/park/kiseki/history/
- ^ a b http://www.smci.jp/files/2/headphones/pdf/DiGiRECO_2012AUG_VOL.135.pdf (開発者の投野耕治へのインタビュー)
- ^ ハウジングがつや消し仕上げで、折り畳み機構がなく、ストレートコードである点はMDR-CD900 の下位機種として発売されていた MDR-CD700 に準じている(同機種は2ウェイプラグだった)。
- ^ “ヘッドフォンのプロが語る、ヘッドフォンの過去〜未来。その1.モニター・ヘッドフォンの標準機 MDR-CD900ST誕生秘話 | DiGiRECO”. digireco.com. 2022年10月26日閲覧。
- ^ Inc, Sony Marketing (Japan). “MDR-M1ST | ヘッドホン | ソニー”. ソニー製品情報・ソニーストア. 2023年11月6日閲覧。
- ^ a b ““数十年” 使えるヘッドホン誕生! 約3万円で買える基準機、ソニー「MDR-M1ST」レビュー (1/5)”. Phile-web. 2023年11月6日閲覧。
- ^ 『ソニーとソニー・ミュージックスタジオが共同開発、インナーイヤーモニター 『MDR-EX800ST』 発売』(プレスリリース)ソニー・ミュージックコミュニケーションズ、2010年9月21日。オリジナルの2015年9月20日時点におけるアーカイブ 。2015年9月20日閲覧。
- ^ “モニターヘッドホン [MDR-CD900ST]”. 日本デザイン振興会 (2014年10月1日). 2015年9月20日閲覧。