デファクトスタンダード
解説編集
ISO、DIN、JISなどの標準化機関等が定めた規格ではなく、市場における競争や広く採用された「結果として事実上標準化した基準」を指す。デファクトスタンダードに対して、国際標準化機関等により定められた標準をデジュリ(デジューレ、デジュール、デジュア)スタンダード(英語: de jure standard)と呼ぶ。
インターネットの通信規格であるTCP/IPや、接続規格の多いコンピュータ関連分野で使われ始めた言葉だが、現在ではこれらの分野に限らず各種商品やサービスに広く使われるようになった。
電気製品など、商品開発サイクルの短い分野では、決定まで何年もかかる標準よりも、その時点での市場で一般的な規格である、デファクトスタンダードの重みが大きい。また、このようなデファクトスタンダードが後の国際規格の土台となる場合もある。
当然ながら、デファクトスタンダードは市場の状況により変化するため、これを獲得した企業は大きな利益を手にすることができる。そのためデファクトスタンダードの積極的な採用がかえって市場の独占を推し進め、結果として製品の価格を引き上げてしまったり、競争の鈍化を招く恐れがある。一部企業によるデファクトスタンダードは、ベンダーロックインにつながることもある。
また、デファクトスタンダードを目指す複数の規格の対立により、消費者が製品やサービス同士の連携で不便を強いられる問題(規格争い、顧客囲い込み)も生じている。
デファクトスタンダードの例編集
規格の対立の例編集
「規格争い」も参照
- デジタルコンパクトカセットとミニディスク - デジタルオーディオ機器の規格
- GSとXG - MIDI音源の規格(GMの上位互換)
- WindowsとClassic Mac OS / macOS、LinuxとBSD(Unix系) - パソコン用OS
- OpenDocumentとMicrosoft Office Open XML - オフィススイートのファイルフォーマット
- ZIPとスーパーディスクとMO - 大容量フロッピーディスク
- CFメモリーカードとSDHCメモリーカードとメモリースティック PRO Duo - 小型大容量メモリーカード
- microSDカードとminiSDカードとメモリースティック PRO DuoとMMCmobile - 携帯機器用メモリーカード
ビデオ用メディアにおける規格争い編集
「ビデオ戦争」も参照
関連項目編集
- プロプライエタリ・ソフトウェア
- 世界標準
- 国際標準化機構(ISO)
- 日本工業規格(JIS)
- IPC (エレクトロニクス)
- デ・ファクト - デ・ジュリ
- アラビア数字
- 不文律