RD-0110
RD-0110は液体酸素とケロシンを推進剤として使用するガス発生器サイクルのロケットエンジンである。RD-0110エンジンはソユーズ、ソユーズU、ソユーズU2、ソユーズFG、ソユーズ 2.1aの3段目であるブロックIに使用された[5]。RD-0110キマフトマティキ設計局によって開発された[6]。
原開発国 | ソビエト連邦 |
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初飛行 | 1965年10月5日 |
設計者 | KBKhA |
開発企業 | ヴォロネジ機械工場[1] |
目的 | 上段用 |
搭載 | モルニヤ-Mとソユーズ |
前身 | RD-0108 |
現況 | 現役 |
液体燃料エンジン | |
推進薬 | 液化酸素 / RG-1 |
混合比 | 2.2[2] |
サイクル | ガス発生器サイクル |
構成 | |
燃焼室 | 4 |
性能 | |
推力 (vac.) | 298キロニュートン (67,000 lbf) |
推力重量比 | 74.36[3] |
燃焼室圧力 | 6.8メガパスカル (990 psi) |
Isp (vac.) | 326 秒 |
燃焼時間 | 250 秒間 |
寸法 | |
全長 | 1,575ミリメートル (62.0 in) |
直径 | 2,240ミリメートル (88 in) |
乾燥重量 | 408.5キログラム (901 lb) |
使用 | |
モルニヤ-M ブロック-Iと大部分のソユーズ ブロック-I | |
リファレンス | |
出典 | [4] |
2011年8月24日に打ち上げられたプログレスM-12M補給船はRD-0110エンジンの故障が原因で打ち上げに失敗した[7]。
歴史
編集OKB-154のS.A. コズベルグは無人のモルニヤ ブロック-Iのためのエンジンを開発することになった。そのためRD-0107が1960年から 1961年にかけて同様にOKB-154によって設計されたSS-8 Sasin ICBMのエンジンであるRD-0106 (GRAU Index: 8D715)を基に開発された。同様にボストーク ブロック-E RD-0105/RD-0109の開発経験も役立った。[4][11][12][13] エンジンは1960年10月10日に初飛行して最後のモルニヤの飛行は1967年10月22日だった[4][14]。
有人仕様のボスホートブロック-Iのエンジンでは有人仕様の3K基準を満たすことが必要だった。1963年にOKB-154は新型のエンジンを開発した。GRAU index 8D715Pとしても知られるRD-0108はRD-0107と同じ特性と性能を備えるものの、有人仕様の基準を満たす。[15] このエンジンはThis engine had its first flight on November 16, 1963年11月16日に初飛行して1976年6月29日に最終飛行した[4][16]
モルニヤ-M ブロック-IのためにOKB-154は信頼性を向上するために改良計画を実施した。この計画でRD-0110が誕生した。受領試験の間にとりわけ始動時の高周波数の燃焼不安定が観測された。しかし、燃焼室内の長手方向にフェルト製の筋を追加する事で解決した[3] RD-0110の開発は1963年に9か月かけて実施され、1964年に初飛行した[9] 同様にソユーズの3段目ではすべての形式に2.1bのRD-0124が登場するまで使用された。1350回以上飛行して累計336,500秒間燃焼して依然として毎年多数が飛行する[9]。
設計
編集RD-0110はKbKhAがちょうどロケットエンジンの設計に参入した時期に開発された。多くの調査の後、単純と信頼性が設計の主な目的だった。この理由により液体酸素とRG-1のポンプが単軸式でタービンで駆動される統合された設計になった。許容できる吸引性能をもたらすためにRD-0110のターボポンプは流入口が2ヶ所ある背中合わせの遠心羽根車を備える。これにより、加圧ポンプを追加せずに相対的に低い流入圧力で作動する。タービンは燃料過剰のガス発生機によって駆動される。[9] ガス発生器と燃焼室の点火装置は火工品によって点火する。エンジンの制御は調節器と弁の設定で行う。推力は100%から90.5%の間で調整が可能で緊急時に短時間であれば107%まで調整できる[3]
開発中、燃焼の不安定性が観測された。問題は噴射装置に起因する事が判明した。最終的に2液推進剤遠心式気化設計を最適化する事で解決された。認証試験中に起動時の高周波数の燃焼不安定性が依然として観測された。起動時の不安定は60から80回に1回程度でまれで地上での受領でのみ発生したものの、この問題を解決するために大きな労力が注がれた。音響の調査とモデリングにより、解決法が見つかった。6本の可燃性のフェルト製の筋が燃焼室内に縦方向に設置され、恒常的に解決した[3]
RD-0110は燃料を冷媒として使用する再生冷却を備える。他の大部分のソビエトの設計と同様に波型の冷却ジャケットで挟む構造になっている。ノズルの下部は外部の内張りはなく、軽量化のために波型のジャケットがむき出しになっている。この区画は鋼製である。くびれ部は高温にさらされるため、この部分は熱伝導性に優れた銅に溝をフライス加工して内張りが施されている。くびれ部の上部に円環状の隙間のフィルム冷却装置がある。[17]
生産
編集派生型
編集RD-0107は改良され、3形式がある:
関連項目
編集出典
編集- ^ a b “Liquid Rocket Engine”. Voronezh Mechanical Plant. 2015年5月29日閲覧。
- ^ a b c d “RD-0107”. Encyclopedia Astronautica. 2015年5月29日閲覧。
- ^ a b c d Rubinsky, Vitaly R. (1995). “Chapter 4: Combustion Instability in the RD-0110 Engine”. In Anderson, William E.; Yang, Vigor. Progress in Astronautics and Aeronautics Volume 169: Liquid Rocket Engine Combustion Instability. AIAA. pp. 89–112. doi:10.2514/4.866371. ISBN 978-1-56347-183-4 2015年5月30日閲覧。
- ^ a b c d “RD0107, RD0108, RD0110. Molniya (8K78), Voskhod (8K78M), Soyuz (11A511У) launch vehicles”. KBKhA. 2015年5月29日閲覧。
- ^ Soyuz 2-1A launches with Metop-B for Europe
- ^ “Razgonny Block-I”. Flight International (2016年4月30日). 2016年4月30日閲覧。
- ^ Christian Lardier; Stefan Barensky (2013年3月). The Soyuz Launch Vehicle: The Two Lives of an Engineering Triumph. Springer Science & Business Media. pp. xiii-xv
- ^ Razgonny Block-I
- ^ a b c d “Turbopumps for Gas Generator and Staged Combustion Cycle Rocket Engines” (PDF). AIAA (July 2005). 2015年5月29日閲覧。
- ^ “R-7/Soyuz Data Sheet”. Space Launch Report. 2015年5月29日閲覧。
- ^ a b c “RD-0110”. russianspaceweb.com. 2015年5月29日閲覧。
- ^ “RD-0106”. Encyclopedia Astronautica. 2015年5月30日閲覧。
- ^ “RD0105. Luna (8K72) launch vehicle. RD0109. Vostok (8K72K) launch vehicle”. KBKhA. 2015年5月29日閲覧。
- ^ “Liste des lancements Molnia” (French). Kosmonavtika.com. 2015年5月30日閲覧。
- ^ “Part 9: Launchers for an Early Circumlunar Programme”. Cosmopark.ru. 2015年5月29日閲覧。
- ^ “Liste des lancements Voskhod” (French). Kosmonavtika.com. 2015年5月30日閲覧。
- ^ Sutton, George Paul (November 2005). History of Liquid Propellant Rocket Engines. AIAA. pp. 637–638. ISBN 978-1563476495