Raspberry Pi
Raspberry Pi(ラズベリー パイ)は、ARMプロセッサを搭載したシングルボードコンピュータ。イギリスのRaspberry Pi 財団(非営利組織)とRaspberry Pi Ltd(営利組織)によって開発されている。日本語では略称としてラズパイとも呼ばれる[3]。
Raspberry Pi 5 | |
開発元 | Raspberry Pi Ltd |
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種別 | シングルボードコンピュータ |
発売日 | 2023年10月23日 |
OS | Raspberry Pi OS |
SoC | Broadcom BCM2712 |
CPU | ARM Cortex-A76 @ 2.4GHz |
メモリ | 2, 4, 8GB |
ストレージ | microSDカード、PCIe接続、USB接続 |
電源 | 5V 5A 25W |
前世代ハード | Raspberry Pi 4 Model B |
ウェブサイト |
www |
種類 | 公開会社 |
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市場情報 | LSE: RPI(2024年6月11日上場[1]) |
設立 | 2012 |
本社 | 194 Cambridge Science Park, Milton Road, Cambridge, England, CB4 0AB |
主要人物 | Eben Upton (CEO) |
製品 | Raspberry Pi |
売上高 | US$265,797,000[2] (2023) |
営業利益 | US$37,532,000[2] (2023) |
利益 | US$31,572,000[2] (2023) |
総資産 | US$265,354,000[2] (2023) |
純資産 | US$159,214,000[2] (2023) |
従業員数 | 103[2] (2023) |
ウェブサイト |
www |
2012年の立ち上げ当初は教育で利用されることを想定して制作された。IoTが隆盛した2010年代後半以降は、安価に入手できるシングルボードコンピュータとして趣味や業務(試作品の開発)等としても用いられるようになった。その後 Raspberry Pi Compute Module を商品に組み込む用途まで広がっていき、2023年は売上の72%が産業・組み込み市場となっている[4][5]。
概要
編集Raspberry Piは、かつてイギリスで教育用コンピュータとして普及したエイコーン社の「BBC Micro(1981年)」の再来として、学校で基本的なコンピュータ科学の教育を促進することを意図している[6][7][8]。Model A、Model Bという名称もBBC Microに由来しており、サポートされるコンピュータ言語の中にはBBC Microで利用されたBBC Basicも含まれている。
ハードウェア的にはエイコーン社のCPU部門(Acorn RISC Machine、略してARM)が独立したARM社の開発するARMプロセッサを搭載している。また、エイコーンのオペレーティングシステム (OS) であるRISC OSも、Raspberry Pi用がRISC OS Open Limitedより公式リリースされている。 内蔵ハードディスクやソリッドステートドライブを搭載しない代わりに、SDメモリーカード(SDカード)またはmicroSDメモリーカード (microSD Card) を起動および長期保存用ストレージに利用する[9]。 STEM教育の一環として本製品以外にも、ArduinoやIchigoJam、M5Stack、Obnizなどが見られる。
出荷台数
編集2012年2月29日発売からの累計出荷台数は2013年10月31日までで200万台[10]、2014年6月11日までで300万台[11]、2015年2月18日までで500万台[12]、2015年10月13日までで700万台[13]、2016年2月29日までで800万台[14]、2016年9月8日までで1,000万台[15]、2016年11月25日までで1,100万台[16]と、年間約230万台のペースであった。
その後、累計出荷台数は、ペースが上がり、2018年3月14日までで1,900万台[17]、 2019年12月14日までで3,000万台[18]、 2021年1月21日までで3,700万台[19]と 年間約600万台強の直線的な増加を記録した。
その後、累計出荷台数は、2021年5月12日までで4,000万台[20] 、2021年9月22日までで4,200万台[21] 、2021年11月16日までで4,300万台[22] 、出荷開始からちょうど10年間経過の2022年2月28日までで4,600万台[23] を記録。
2021年10月20日、世界的な半導体不足により、Raspberry Pi の供給不足および一時的な値上げを発表[24]。2022年4月4日、再度、供給不足の状況を説明し、商品に組み込んでいるなど産業用で必要な企業を、家庭用よりも優先すると発表[25]。2022年12月12日、2023年第2四半期から生産数が回復し、2023年第3四半期から在庫がある状態に戻る見通しであると述べた[26]。2023年6月1日、2023年7月から月産100万台に回復できる見通しであると報道された[27][28]。
製造企業
編集ハードウェアの設計は英国Raspberry Pi Ltdが行い、製造はRaspberry Pi Ltd自身と、Raspberry Pi Ltdから製造権を供与されたelement14(Premier Farnell社)が担当している(2022年まではRSコンポーネンツ社も製造を任されていたが、2022年にRaspberry Pi Ltdより契約を解除された[29])。この2社から製品の供給を受けた各国のリセラー(日本ではBAKS、スイッチサイエンス、DigiKey、KSY、Mouser Electronicsの5社[30])によって製品が販売される。いずれのメーカーも実際の製造はソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ社に委託されている[31]。2022年現在、ほとんどの製品が英国内の工場(ソニーペンコイド工場、ウェールズ)で製造されているが、日本向けモデルの一部は日本国内の工場(ソニー稲沢テック、愛知県)で製造されている[32]。2021年現在はRaspberry Pi Picoを稲沢テックで製造中[33]。
ハードウェア
編集Model A, Model B
編集Model A, Model B はクレジットカードと同程度(Model A は長辺方向がクレジットカードの5分の4程度)の大きさ。Model A の方が価格が安い。Model A, Model B には USB をはじめとして、様々な端子が取り付けられている。
Model A | Model B | Raspberry Pi 5 | |||||||||
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Raspberry Pi 1 Model A |
Raspberry Pi 1 Model A+ |
Raspberry Pi 3 Model A+ |
Raspberry Pi 1 Model B |
Raspberry Pi 1 Model B+ |
Raspberry Pi 2 Model B v1.1 |
Raspberry Pi 2 Model B v1.2 |
Raspberry Pi 3 Model B |
Raspberry Pi 3 Model B+ |
Raspberry Pi 4 Model B | ||
発売日 | 2013年2月 | 2014年11月10日 | 2018年11月15日[34][35] | 2012年2月15日 | 2014年7月 | 2015年2月1日 | 2016年 | 2016年2月29日 | 2018年3月14日[36][37] | 2019年6月24日[38][39] | 2023年10月23日[40] |
FCC認証 | ー | ー | 2016年7月26日 | 2016年2月26日[41] | 2023年10月18日[42] | ||||||
電波法認証 | 2019年9月19日[43] | ー | 2016年2月25日[注釈 1] | 2018年5月17日 | 2019年9月4日[44] | 2024年1月11日[45] | |||||
ターゲット価格[7][46] | $25 | $20 | $25 | $35[47][48] | $35→$25[49] | $35 | $35(1 GB) |
$50 (2GB) $60 (4GB) $80 (8GB) | |||
SoC[7] (CPU, GPU, DSP, SDRAM, USB) |
Broadcom BCM2835[52] | Broadcom BCM2837B0[53] | Broadcom BCM2835[52] | Broadcom BCM2836 | Broadcom BCM2837[注釈 2] | Broadcom BCM2837[54] | Broadcom BCM2837B0[55] | Broadcom BCM2711[56] | Broadcom BCM2712[57] | ||
CPU | ARM1176JZF-S[58] | ARM Cortex-A53[53] | ARM1176JZF-S[58] | ARM Cortex-A7 | ARM Cortex-A53[注釈 2] | ARM Cortex-A53[54][55] | ARM Cortex-A72[56] | ARM Cortex-A76[57] | |||
シングルコア | クアッドコア[53] | シングルコア | クアッドコア[54][55][56][57] | ||||||||
700 MHz | 1.4GHz[53] | 700 MHz | 900 MHz | 1.2 GHz[54] | 1.4 GHz[55] | 1.5 GHz → 1.8 GHz[59][56] | 2.4 GHz[57] | ||||
ARMv6 | ARMv8 (64bit)[53] | ARMv6 | ARMv7 | ARMv8 (64bit)[注釈 2] | ARMv8 (64bit)[54][55][56][57] | ||||||
ARM11 | ARM Cortex-A[53] | ARM11 | ARM Cortex-A[54][55][56][57] | ||||||||
GPU | |||||||||||
Broadcom VideoCore IV[60] | Broadcom VideoCore VI[61] | Broadcom VideoCore VII[57] | |||||||||
250 MHz | 400 MHz(3D 300 MHz) | 250 MHz | 400 MHz (3D 250 MHz) | 400 MHz (3D 300 MHz) | 2コア 500MHz[61] |
12コア 800 MHz[61] | |||||
OpenGL ES 2.0 (250 MHz の場合 24 GFLOPS) | OpenGL ES 3.1, Vulkan 1.0[56] | OpenGL ES 3.1, Vulkan 1.2[57] | |||||||||
H.264 High Profile(1080p30デコード・エンコード)[52] MPEG-2[62][注釈 3] VC-1[63][注釈 3] |
H.264(1080p30デコード・エンコード) MPEG-4(1080p30デコード)[64] |
H.264 High Profile(1080p30デコード・エンコード)[52] MPEG-2[62][注釈 3] VC-1[63][注釈 3] |
H.264(1080p30デコード・エンコード) MPEG-4(1080p30デコード)[65] |
H.265(4Kp60デコード) H.264(1080p60デコード、1080p30エンコード)[56] |
H.265(4Kp60デコード)[57][61] | ||||||
メモリ (GPUと共用) |
256 MB | 512 MB[53] | 512 MB 256 MB[注釈 4] |
512 MB | 1 GB[54][55] | 1 GB, 2 GB, 4 GB, 8 GB[56] | |||||
LPDDR2 SDRAM[54][55] | LPDDR4-3200[56] | LPDDR4X-4267 17 GB/s[57][61] | |||||||||
USB 2.0 ポート[9] | 1[53] | 2 (LAN9512内蔵ハブ)[66] |
4 (LAN9514内蔵ハブ)[67] |
4[54][55] | 2[56][57] | ||||||
USB3 ポート | なし | 2 (5Gbps) 同時5Gbps通信不可[56] |
2 (5Gbps) 同時5Gbps通信可能[57] | ||||||||
PCIe | なし | PCIe 2.0 1レーン (5Gbps)[57]。設定によりPCIe 3.0 (8Gbps)も利用可能だが、不安定な場合があるとしている。[68] | |||||||||
映像入力 | 15ピンMIPIカメラインターフェース (MIPI CSI-2 2レーン)[注釈 5] | MIPI CSI 4レーン x2[57] | |||||||||
映像出力[7] | コンポジット RCA (PAL / NTSC) , HDMI 1.3 / 1.4[69], MIPI DSI | コンポジット 3.5mm 4極ジャック (PAL / NTSC) , HDMI 1.3 / 1.4[69], MIPI DSI | コンポジット RCA (PAL / NTSC) , HDMI 1.3 / 1.4[69] MIPI DSI | コンポジット RCA (PAL / NTSC) , micro-HDMI 2.0 (最大4Kp60) x2, MIPI DSI 2レーン[56] | micro-HDMI (最大4Kp60) x2, MIPI DSI 4レーン x2[57] | ||||||
音声入力 | I²S | ||||||||||
音声出力[7] | 3.5 mm ジャック, HDMI, I²S, USB Audio Class 2.0 | 3.5 mm ジャック, micro-HDMI, I²S, USB Audio Class 2.0 | micro-HDMI, I²S, USB Audio Class 2.0 | ||||||||
ストレージ[9] | SDHCカード / MMC | microSDカード[53] | SDHCカード / MMC | microSDカード[54][55][56][57] | |||||||
有線ネットワーク[7][9] | なし | LAN9512[66] | LAN9514[67] | Gigabit Ethernet over USB 2.0 (最大300Mbps) [55] | Gigabit Ethernet[56][57] | ||||||
10BASE-T/100BASE-TX[54] | |||||||||||
無線LAN/無線PAN[7][9] | なし | IEEE 802.11 b/g/n/ac 2.4GHz and 5GHz, Bluetooth 4.2, BLE[53] | なし | IEEE 802.11 b/g/n 2.4 GHz, Bluetooth 4.1, BLE[54] | IEEE 802.11 b/g/n/ac 2.4GHz and 5GHz, Bluetooth 4.2, BLE[55] | IEEE 802.11 b/g/n/ac 2.4GHz and 5GHz, Bluetooth 5.0, BLE[56][57] | |||||
低レベル周辺機器[注釈 6] | GPIO 26 ピン 内訳:8 × GPIO, UART, I²C, SPIと2つのチップセレクト, +3.3 V, +5 V[注釈 7], 接地[60][70] |
GPIO 40 ピン[53] | GPIO 26 ピン 内訳:8 × GPIO, UART, I²C, SPIと2つのチップセレクト, +3.3 V, +5 V[注釈 7]4110, 接地[60][70] |
GPIO 40 ピン[54][55][56][57] | |||||||
消費電力 (典型的) |
200 mA[71] (1.0 W) |
180 mA[71] (0.9 W) |
350 mA[71] (1.75 W) |
500 mA[71] (2.5 W) |
330 mA[71] (1.65 W) |
350 mA[71] (1.75 W) |
400 mA[71] (2.0 W) |
アイドル459 mA[72] (2.295 W) Max 1.13A (5.661W) |
言及なし[73] | ||
推奨電源 | 2.5 A (12.5 W)[74][53][54][55] |
3A (15W)[56] |
5A (25W)[57] | ||||||||
電源ソース[7] | microUSBまたはGPIO | microUSB またはGPIOまたは Power over Ethernet(別途 PoE+ HAT) | microUSBまたはGPIO | microUSB またはGPIOまたは Power over Ethernet(別途 PoE+ HAT) | USB Type-C またはGPIOまたは Power over Ethernet(別途 PoE+ HAT)[56][57] | ||||||
質量 | 45 g | 23 g | 29 g | 45 g | |||||||
大きさ (コネクター部の突起を除く) |
85.6 mm × 56.5 mm (3.37 in × 2.22 in) | 65 mm × 56.5 mm (2.56 in × 2.22 in) | 85.6 mm × 56.5 mm (3.37 in × 2.22 in) | 85 mm × 56 mm (3.3 in × 2.2 in) | |||||||
公式に提供されるOS | Debian, Fedora, Arch Linux, RISC OS | (左記に加えて)Ubuntu, Windows 10 IoT Core | Debian, Fedora, Arch Linux, RISC OS | (左記に加えて)Ubuntu, Windows 10 IoT Core | Raspberry Pi OS | ||||||
Raspberry Pi 1 Model A |
Raspberry Pi 1 Model A+ |
Raspberry Pi 3 Model A+ |
Raspberry Pi Model B |
Raspberry Pi 1 Model B+ |
Raspberry Pi 2 Model B |
Raspberry Pi 2 Model B V1.2 |
Raspberry Pi 3 Model B |
Raspberry Pi 3 Model B+ |
Raspberry Pi 4 | Raspberry Pi 5 |
なお、Raspberry Pi 3は64ビットに対応した初のモデルだが、Raspberry Pi 4の発売まで公式OSであるRaspbianは32ビット版しかリリースされていなかった。
Raspberry Pi 400
編集キーボード一体型のRaspberry Pi 400が存在する。キーボードの配列はJP/US/UKの3種。性能はRaspberry Pi 4 Model Bとほぼ同じだが、メモリは4GBのみで、CPUクロックは1.8GHz(4Bもオーバークロックは可能)。[75]
Zero
編集Zero は Model A, Model B よりも小型で安価で端子の数が少ない。W は無線搭載、H はピンヘッダが実装済み。
Zero | ||||
---|---|---|---|---|
Raspberry Pi Zero | Raspberry Pi Zero W | Raspberry Pi Zero WH | Raspberry Pi Zero 2 W | |
発売日 | 2015年11月30日 | 2017年2月28日 | 2018年1月12日[76] | 2021年10月28日[77] |
FCC認証 | ー | 2017年2月28日[78] | ||
電波法認証 | 2017年4月10日 | 2022年3月23日 | ||
ターゲット価格 | $5 | $10 | $14 | $15 |
SoC[7] (CPU, GPU, DSP, SDRAM, USB) |
Broadcom BCM2835 | Broadcom BCM2710A1 | ||
CPU | ARM1176JZF-S | ARM Cortex-A53 | ||
シングルコア | クアッドコア | |||
1 GHz | 1GHz | |||
ARMv6 | ARMv8(64bit) | |||
ARM11 | ARM Cortex-A | |||
GPU | ||||
Broadcom VideoCore IV | ||||
250 MHz | ||||
OpenGL ES 2.0 (250 MHz の場合 24 GFLOPS) | ||||
H.264 High Profile(1080p30デコード・エンコード)[52] MPEG-2[62][注釈 3] VC-1[63][注釈 3] |
H.264 (1080p30デコード・エンコード) MPEG-4 (1080p30デコード) | |||
メモリ (GPUと共用) |
512 MB | |||
LPDDR2 SDRAM | ||||
USB 2.0 ポート[9] | 1 (microUSB) | |||
USB3 ポート | なし | |||
映像入力 | v1.3より専用カメラインターフェース (MIPI CSI-2 2レーン)[79] | 専用カメラインターフェース (MIPI CSI-2 2レーン) | ||
映像出力[7] | Mini HDMI | |||
音声入力 | I²S | |||
音声出力[7] | Mini HDMI, I²S | |||
ストレージ[9] | microSDカード | |||
有線ネットワーク[7][9] | なし | |||
無線LAN/無線PAN[7][9] | なし | Broadcom BCM43143 IEEE 802.11 b/g/n 2.4 GHz Bluetooth 4.1, Bluetooth Low Energy |
IEEE 802.11 b/g/n 2.4 GHz | |
低レベル周辺機器 | GPIO | GPIO 40 ピン | ||
消費電力 (典型的) |
100 mA[71] (0.5 W) |
150 mA[71] (0.75 W) |
600 mA[80] (3 W) | |
推奨電源 | 2.5 A (12.5 W)[74] | |||
電源ソース[7] | microUSBまたはGPIO | |||
質量 | 9 g[81] | 11 g[82] | 10 g[83] | |
大きさ (コネクター部の突起を除く) |
65 mm × 30 mm (2.6 in × 1.2 in) | |||
公式に提供されるOS | Debian, Fedora, Arch Linux, RISC OS | Raspberry Pi OS | ||
Raspberry Pi Zero | Raspberry Pi Zero W | Raspberry Pi Zero WH | Raspberry Pi Zero 2 W |
Compute Module
編集Compute Module は産業用の組み込み向け。端子などは付いていないが、開発用には Compute Module IO Board が販売されていて、ボードには端子が取り付けられていて、ボードに Compute Module を挿して使用する。端子の種類が異なるサードパーティーのボードも多数ある。
端子の有無を除くと Compute Module 4 は Raspberry Pi 4 Model B とほぼ同じだが、USB 3.0 ではなく PCIe が搭載されていて、サードパーティーのボードによってはこれを M.2 にしていて、SSD やモバイル通信のモジュールやAIアクセラレータ[84]などを挿せる。
産業用ではあるものの、1個単位で個人でも購入できる。
Compute Module | ||||||
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Compute Module (CM1) | Compute Module 3 (CM3) | Compute Module 3 Lite (CM3L) | Compute Module 3+ (CM3+) | Compute Module 4 (CM4) | Compute Module 4 SODIMM (CM4S) | |
発売日 | 2014年4月 | 2017年1月16日 | 2019年1月28日 | 2020年10月19日 | 2022年4月 | |
提供期限 | 2026年1月 | 2028年1月 | 2030年1月 | 2034年1月 | ||
FCC認証 | ||||||
電波法認証 | 2022年3月23日 | |||||
ターゲット価格 | $30→$25[85]→$30 | $30[85] | $25[85] | $25~$40 | $30~$95 | $25~$75 |
SoC[7] (CPU, GPU, DSP, SDRAM, USB) |
Broadcom BCM2835 |
Broadcom BCM2837 |
Broadcom BCM2837B0 |
Broadcom BCM2711 | ||
CPU | ARM1176JZF-S | ARM Cortex-A53 | ARM Cortex-A72 | |||
シングルコア | クアッドコア | |||||
700 MHz | 1.2 GHz | 1.5 GHz | ||||
ARMv6 | ARMv7 | ARMv8 (64bit) | ||||
ARM11 | ARM Cortex-A | |||||
GPU | ||||||
Broadcom VideoCore IV[60] | Broadcom VideoCore VI | |||||
250 MHz | 400 MHz (3D 300 MHz) | 500 MHz | ||||
OpenGL ES 2.0 (250 MHz の場合 24 GFLOPS) | OpenGL ES 3.1, Vulkan 1.0 | |||||
H.264 High Profile(1080p30デコード・エンコード) MPEG-2[62][注釈 3] VC-1[63][注釈 3] |
H.264(1080p30デコード・エンコード) MPEG-4(1080p30デコード) |
H.265(4Kp60デコード) H.264(1080p60デコード、1080p30エンコード) | ||||
メモリ (GPUと共用) |
512 MB | 1 GB | 1GB or 2GB or 4GB or 8GB[86] | |||
LPDDR2 | LPDDR4-3200 | |||||
USB 2.0 ポート[9] | 1 | |||||
USB3 ポート | なし | なし(ただしPCIeから作り出せる) | なし | |||
PCIe | なし | PCIe 2.0 1レーン (5Gbps) | なし | |||
映像入力 | 2レーン MIPI CSI + 4レーン MIPI CSI | |||||
映像出力[7] | HDMI 1.3a 2レーン MIPI DSI + 4レーン MIPI DSI コンポジット, DPI |
HDMI 2.0 x 2 (4K, 60fps) 2レーン MIPI DSI + 4レーン MIPI DSI DPI | ||||
音声入力 | I²S | |||||
音声出力[7] | HDMI, I²S | |||||
ストレージ[9] | 4 GB eMMC | SDカードPIN | なし or 8GB or 16GB or 32GB | |||
有線ネットワーク[7][9] | なし | ギガビットイーサネット PHY | なし | |||
無線LAN/無線PAN[7][9] | なし | なし or 2.4 GHz / 5.0 GHz IEEE802.11 b/g/n/ac、Bluetooth 5.0 BLE | なし | |||
低レベル周辺機器 | GPIO 48 ピン | GPIO 28 ピン | GPIO 46 ピン | |||
消費電力 (典型的) |
言及なし[87] (2.0 W) |
言及なし[88] (3.5 W) |
||||
電源 (推奨) |
(2.5W)[89] |
(3.5W)[89] |
5V | |||
質量 | 7 g[90] | 6.1 g | 6 g | |||
大きさ (コネクター部の突起を除く) |
67.6 mm × 30 mm (2.66 in × 1.18 in) | 67.6 mm × 31 mm (2.66 in × 1.22 in)[91] | 55 mm × 40 mm (2.2 in × 1.6 in) | 67.6 mm × 31 mm (2.66 in × 1.22 in) | ||
公式に提供されるOS | Debian, Fedora, Arch Linux, RISC OS | Raspberry Pi OS | ||||
Compute Module (CM1) | Compute Module 3 (CM3) | Compute Module 3 Lite (CM3L) | Compute Module 3+ (CM3+) | Compute Module 4 (CM4) | Compute Module 4 SODIMM (CM4S) |
Pico
編集2021年1月21日、マイコンボードの Raspberry Pi Pico を発表。価格は$4。[92] デュアルコアの Arm Cortex M0+ プロセッサ(最大 133 MHz で動作)、2MBのフラッシュメモリを搭載し、26のGPIOピンを備えている。[93]通常のRaspberry Piシリーズがシングルボードコンピュータであるのに対して、Picoはマイクロコントローラである。
2022年6月30日、ピンヘッダを実装済みの Raspberry Pi Pico H、無線接続が可能な Raspberry Pi Pico W、その両方の Raspberry Pi Pico WH を発表。Hが$5、Wが$6、WHが$7。
2024年8月8日、Raspberry Pi Pico 2 を発表。価格は$5。CPUはArm Cortex-M33 2コア 150MHz。メモリは520KBのSRAM。[94]
カメラ
編集以下の Raspberry Pi 用のカメラを販売している。今のところ全て MIPI CSI 2レーン用のカメラである(4レーンでも動作する)。[95]
- Raspberry Pi Camera Module v1 - 2013年5月発売、販売終了済み。5メガピクセル。$25。NoIR の赤外線カメラあり。フォーカスは固定。
- Raspberry Pi Camera Module 2 - 2016年4月発売、2028年1月販売終了。8メガピクセル。$25。NoIR の赤外線カメラあり。動画の最大解像度は1080p30。フォーカスは手動。[96]
- Raspberry Pi Camera Module 3 - 2023年1月発売、2030年1月販売終了。11.9メガピクセル。$25、$35(Wide)。NoIR の赤外線カメラ、Wide、Wide NoIR がある。wideでない方は水平視野角が66度、wideは水平視野角が102度。オートフォーカス対応。HDR対応。[97]
- Raspberry Pi High Quality Camera - 2020年5月発売、2030年1月販売終了。12.3メガピクセル。$50。C/CS か M12 マウントのレンズを別途取り付けて使用する。フォーカスは手動。[98]
- Raspberry Pi Global Shutter Camera - 2023年3月発売、2032年1月販売終了。1.58メガピクセル。$50。グローバルシャッターにより、動く物体を綺麗に撮影することが出来、人工知能による画像認識などに適している。C/CS マウントのレンズを別途取り付けて使用する。フォーカスは手動。[99][100]
- Raspberry Pi AI Camera - 2024年9月発売、2028年1月販売終了。12.3メガピクセル。$70。AIアクセラレータを搭載したソニーのIMX500を採用。[101]
High Quality Camera や Global Shutter Camera 用のレンズとして以下のものがある。
- C/CS マウント
- 16mm 望遠 $50
- 6mm 広角 $25
- M12 マウント
- 8mm $25
- 25mm (望遠) $15
- 魚眼 $25
公式以外にも様々なカメラとレンズがサードパーティーから販売されている。
Python 用のライブラリとして picamera があったが[102]、現在は Raspberry Pi Ltd が picamera2 を開発している[103]。
HAT
編集HAT は Hardware Attached on Top の略で、GPIO の所に載せるアドオンボードのこと[104]。2023年に後継の HAT+ が制定された[105]。以下の HAT や HAT+ が販売されている。
- Raspberry Pi M.2 HAT+ - Raspberry Pi 5 用で PCIe 2.0 1レーンの M.2 を利用可能にする。形状は 2230 と 2242 に対応。[106]
- Raspberry Pi SSD Kit - Raspberry Pi M.2 HAT+ と SSD をセットにした物。[107]
- AIアクセラレータ
- Raspberry Pi AI Kit - M.2 形式の Hailo-8L を使用したAIアクセラレータ[108][109]。Raspberry Pi M.2 HAT+ を同梱していて併用して使用する。Hailo 側から発売されている M.2 形式の Hailo-8 も Raspberry Pi では動作する[84]。Raspberry Pi AI HAT+ 発売以降は M.2 を経由しない Raspberry Pi AI HAT+ の方を推奨している。
- Raspberry Pi AI HAT+ - 同じく Hailo のAIアクセラレータだが、M.2 を経由せずに直接 PCIe で接続するもの。通常の PCIe 2.0 (5Gbps) ではなく、PCIe 3.0 (8Gbps) を使用する。Hailo-8L (13 TOPS, $70) と Hailo-8 (26 TOPS, $110) の2種類が発売されている。[110]
- Raspberry Pi Build HAT - Lego Technic モーターとセンサーを接続するための HAT[111]
- Sense HAT - 加速度・気温・気圧・湿度などの様々なセンサー、8×8 RGB LED、ジョイスティックなどを搭載[112]
- Power over Ethernet
- PoE HAT (販売終了)
- PoE+ HAT[113]
- Raspberry Pi 5 PoE+ HAT
- オーディオ関係
- Raspberry Pi DAC+
- Raspberry Pi DAC Pro
- Raspberry Pi DigiAMP+
- Raspberry Pi Codec Zero
- Raspberry Pi TV HAT - DVB-T2 用。日本では DVB-T2 は使われていない。[114]
公式以外にも様々な HAT がサードパーティーから販売されている。
注釈
編集- ^ 技適マーク表示が無く発売できず。3月23日、箱に技適マーク入りのものが発売。11月、日本製で基板に技適マーク入りのものが発売。
- ^ a b c 2016年10月以降のリビジョン “Raspberry Pi2 Model B v1.2” (PDF). Avid Technology, Inc.. 2017年1月15日閲覧。
- ^ a b c d e f g h 別売のライセンスが必要。
- ^ 2012年10月14日以前の発送分。
- ^ 別売のRaspberry Pi用カメラの接続が可能。
- ^ Model BのRev.1とRev.2では、GPIOポートのピン配列が異なる。
- ^ a b Raspberry Piの内部は3.3Vの電源で動作しており、GPIO入力へ5Vを接続することはできない。
ギャラリー
編集-
Raspberry Pi 1 Model B(初代)
-
Raspberry Pi Zero v1.3
-
I/Oボードに取り付けられたCompute Module
-
Raspberry Pi向け液晶モジュールの一例
-
Raspberry Pi 3 B+
-
Raspberry Pi 4 B TV HAT
ソフトウェア
編集オペレーティングシステム
編集2012年2月19日、ラズベリーパイ財団はSDカードから起動できるオペレーティングシステムのSDカードイメージを発表した。イメージに含まれるOSのRaspberry Pi OS(旧称:Raspbian)は"Debian GNU/Linux release 8.0 (Jessie)"に基づいており、LXDEデスクトップ環境とChromiumウェブブラウザ[115] に加えて、様々なプログラミングツールを初起動直後使用できる。また、このOSはRaspberry Pi だけでなく様々な他のプラットフォーム上でエミュレートできるように QEMU 上で実行できる[116]。この他、Arch LinuxとFedora、Ubuntu MATEなどもサポートされている。
ラズベリーパイ財団は、その後、カナダのセネカカレッジで開発された[117] Fedora バージョンをリリースする予定[118]。財団は、プログラムをやりとりするためのアプリケーションストアを開設予定。
Raspberry Pi OSは標準でソフトリアルタイムシステムとなっているが、ユーザーモードプログラムでのハードリアルタイム性能が必要な場合はlinux-rtカーネルを入れることもできる[119][120]。また、ベアメタル(OS無し)で使用することも可能[121]。
Mathematica
編集2013年11月21日、Raspberry Pi Foundationは、数式処理ソフトである Mathematicaのサブセット版及びその記述言語であるWolframをRaspberry Piの標準イメージ環境であるRaspberry Pi OSに向けて無償提供することを発表した[122][123]。Raspberry Pi 1の性能から、2013年現在の典型的なパソコン上で動作させた場合と比較して、10〜20倍遅いとしている[122]。Remote Development Kitを使い、コーディング等を行う外部コンピュータと、実際にMathematicaを実行するRaspberry Piを接続するインタフェースが提供されている[122]。GPIO を使えるなど専用の命令も用意されている[124]。2014年8月1日より、Mathematica 10 を提供開始[125]。
脚注
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- ^ Mathematica 10 – now available for your Pi! | Raspberry Pi
関連項目
編集外部リンク
編集公式サイト
編集非公式サイト
編集- RPi Hub - eLinux.org