Sentinel-1
Sentinel-1(センチネル-1)は欧州連合(EU)とヨーロッパ宇宙機関(ESA)の地球観測プログラム「コペルニクス計画」によって開発されている地球観測衛星である。Sentinel-1AおよびSentinel-1Bの2基からなる衛星コンステレーションとして、1Aは2014年4月3日に打ち上げられた[1]。1Bの方は2016年4月25日に打ち上げられた。
Sentinel-1 | |
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所属 | EU、ESA |
主製造業者 | タレス・アレーニア・スペース |
公式ページ | Sentinel-1 |
状態 | 計画中 |
目的 | レーダーによる地球観測 |
設計寿命 | 7年 |
打上げ場所 | ギアナ宇宙センター |
打上げ機 | ソユーズSTA/フレガート |
打上げ日時 |
Sentinel-1A:2014年4月3日 Sentinel-1B:2015年11月(予定) |
物理的特長 | |
本体寸法 | 3.4m x 1.3m x 1.3m |
質量 | 2,270kg |
発生電力 | 4,800W(寿命末期) |
姿勢制御方式 | 3軸姿勢制御 |
軌道要素 | |
周回対象 | 地球 |
軌道 | 太陽同期軌道 |
高度 (h) | 693km |
軌道傾斜角 (i) | 98.18度 |
軌道周期 (P) | 98.6分 |
回帰日数 | 12日 |
降交点通過 地方時 | 18時 |
観測機器 | |
C-SAR | Cバンド合成開口レーダー |
概要
編集欧州連合はヨーロッパ宇宙機関と協力し、全地球的なリモートセンシング網を構築するコペルニクス計画(旧名称Global Monitoring for Environment and Security:GMES)を推進している。この宇宙政策の中心となる地球観測システムは、それぞれ異なる種類の観測機器を搭載したSentinel1~5の衛星シリーズであり、その最初のミッションであるSentinel-1は搭載した合成開口レーダーの観測によって地表と海洋の情報を24時間体制で供給する。
ESAは1991年にERS-1を打ち上げて以降、ERS-2やEnvisatなどによって海面・海氷面・地表面のマッピングを継続しており、Sentinel-1はこれらの先行するリモートセンシング衛星の任務のうちCバンド合成開口レーダー(SAR)の観測を引き継ぐことになる。取得されたデータは気候変動を含む様々な科学的研究、資源利用や環境保全、そして防災に役立てられる。また欧州連合はSentinel衛星の観測データを無料で公開することによって、リモートセンシングを活用した新たな産業の育成を図り、2030年までに5万件の雇用を生み出すことを目標としている[2]。
2007年6月にタレス・アレーニア・スペースイタリアが主製造業者としてESAとの契約を結び[3]、同社の衛星バスPRIMAを元にSentinel-1Aの開発製造を開始した。衛星は重量2.3トンの直方体で、打ち上げ後に長さ12.3mのアンテナアレイを展開する。設計寿命は7年でスラスタ燃料は12年分を搭載。Sentinel-1AとSentinel-1Bは, ともにギアナ宇宙センターからソユーズロケットで, それぞれ2014年4月3日と2016年4月25日に打ち上げられた。[4]。 Sentinel-1AとSentinel-1Bは同一軌道面を互いに180度の位相差で周回することで観測の頻度を向上させる。
Xバンド送信機(520Mビット/s)を搭載し、スヴァールバルやアラスカなど複数の地上局に観測データを送信するが、Sentinel-1で1日に得られる観測データは1Tバイトを超えると見積もられており[5]、この大量のデータを送るために光通信を併用する。ドイツのTesat Spacecom社が製造した光通信ターミナルによって静止軌道の欧州データ中継衛星(EDRS)へ1.8Gビット/sのデータを送信し、この光通信リレーを使って観測データの50%をダウンリンクさせる見込みとなってる[6]。衛星のフライトオペレーションはドイツのダルムシュタットにある欧州宇宙運用センター(ESOC)が担当し、分析にかけられた観測データの運用管理はイタリアのフラスカーティに所在する欧州宇宙研究所(ESRIN)が行う。
搭載機器
編集- Cバンド合成開口レーダー C-SAR (C-band SAR instrument)
- アクティブフェーズドアレイアンテナを備えたCバンド合成開口レーダー。レーダー波の中心周波数は5.405GHzで二重偏波での観測が可能。4種類の観測モードを持ち、最もレーダー波を絞ったStrip Mapモードでは解像度5mで観測幅が80km、広範囲の観測を行うExtra-wide Swathモードでは解像度20m×40mで観測幅が400kmとなる。EADS アストリアム社のドイツとイギリスの拠点がレーダー本体とサブシステムの開発を分担している。
関連項目
編集脚注
編集- ^ “Europe lofts first Copernicus environmental satellite”. ESA. (2014年4月3日) 2014年4月6日閲覧。
- ^ “Business, citizens and environment to benefit from free access to EU satellite data”. EU Press releases (2013年11月13日). 2014年3月2日閲覧。
- ^ “ESA Awards Thales Alenia Space a 229 M Euro Contract to Provide Sentinel-1”. ASD News (2007年6月19日). 2014年3月2日閲覧。
- ^ “EU's first Sentinel to launch 'in April'”. BBC News (2014年1月17日). 2014年3月2日閲覧。
- ^ "Sentinel-1 The Radar Mission for GMES Operational Land and Sea Services", 2007, p.17, ESA広報131号
- ^ “European Data Relay Satellite System EDA Workshop”. ESA (2011年6月7日). 2014年3月2日閲覧。