WISEPA J182831.08+265037.8 とは、太陽系から約36.5光年の距離にあると考えられている褐色矮星である。2011年に広域赤外線探査衛星によって発見された[2][3]。発見された当時としては、最も低い表面温度を持つ褐色矮星であった。名称が長いのでしばしば WISE 1828+2650 と略される[2][3]

WISEPA J182831.08+265037.8
WISR 1828+2650(中央の緑色の点)の赤外線画像 (提供:NASA)
WISR 1828+2650(中央の緑色の点)の赤外線画像
(提供:NASA)
星座 こと座
等級 (J) 23.57 ± 0.35等級
等級 (H) 22.85 ± 0.24等級
分類 褐色矮星
天文学上の意義
意義 最も温度の低い褐色矮星
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α)  18h 28m 31.10s
赤緯 (Dec, δ) 26° 50′ 37.79″
視線速度 (Rv) 1078 ± 327 ミリ秒/年
固有運動 (μ) 118 ± 409 ミリ秒/年
距離 36.5 +4.2
−3.3
光年
(11.2 +1.3
−1.0
pc)
絶対等級 (MV) 22.98 ± 0.24
物理的性質
スペクトル分類 Y0[1]
表面温度 300 K
(25℃)[1]
発見
発見日 2011年8月23日(公表日)[1]
発見方法 WISEの全天スキャン
他のカタログでの名称
WISE 1828+2650,
WISEP J1828+2650,
WISE J1828+2650.
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特徴 編集

WISE 1828+2650 は、Y型と呼ばれる新しいスペクトル分類のグループに属する褐色矮星である。Y型褐色矮星は、WISE 1828+2650 と同時に発見されたWISEPA J041022.71+150248.5WISEPC J140518.40+553421.4WISEPA J154151.66-225025.2WISEPA J173835.53+273258.9WISEPC J205628.90+145953.3の6つしか発見されていない[1][4]

Y型に分類される褐色矮星は、全て表面温度が 600 K 以下と極めて低温であるが、WISE 1828+2650 はその中でも特に低く、300 K、即ち 25 程度しかない、室温程度の表面温度を持つ褐色矮星である[1][2][3]。これは、それまで最も低い表面温度を持つ天体とされてきた CFBDSIR 1458+10B の 370 K (100℃) を下回る、当時としては最も低い温度の褐色矮星の発見であった[2][3]

なお、2014年にはさらに表面温度の低い天体 WISE J085510.83-071442.5 が発見されている[5]。ただしこちらは褐色矮星よりもさらに低質量の準褐色矮星であると考えられる[5]

参考文献 編集

  1. ^ a b c d e NASA
  2. ^ a b c d NASA's Wise Mission Discovers Coolest Class of Stars - NASA Jet Propulsion Laboratory”. NASA (2011年8月23日). 2019年7月23日閲覧。
  3. ^ a b c d 日本より涼しい? 気温たった25度のY型星を発見”. アストロアーツ (2011年8月24日). 2019年7月23日閲覧。
  4. ^ ただし、CFBDSIR 1458+10BUGPS 0722-05 など、Y型に分類される可能性のあるT型褐色矮星はいくつか存在する。
  5. ^ a b Luhman, Kevin L. (2014-04-21). “Discovery of a ~250 K Brown Dwarf at 2 pc from the Sun”. Astrophysical Journal Letters 786 (2): L18. arXiv:1404.6501. Bibcode2014ApJ...786L..18L. doi:10.1088/2041-8205/786/2/L18. 

関連項目 編集

 
WISE 1828+2650の想像図。