Wikipedia:多重アカウント/英語版20061130版

この文書はWikipedia:多重アカウント改訂の参考とするために英語版の2006年11月30日版を翻訳したものです。

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多重アカウントソックパペット(英:sock puppet)、操り人形)とは、複数のアカウントを使用しているウィキペディアンが用いる、2つめ以降の利用者アカウントのことです。 ソックパペットを用いるウィキペディアンは多重アカウント利用者(英:sock puppeteer)と呼ばれることもあります。多くの場合、多重アカウントの使用は望ましくないとされています。ジンボ・ウェールズは次のように述べています。「[多重アカウントを]明確に禁止する方針はないけれど、よっぽどの理由がない限り、基本的にはあまり感心できる行いとは思われていません。」また「なんらかの悪質な行為の手段として多重アカウントが使われる時には、それは完全に問題行動でしかありません。例えば、見かけだけの合意形成を工作したり、2回以上投票したり、コミュニティの目を欺く時には。」[1]

多重アカウントが望ましくないとされるのは、投票での多重投票や、多重アカウントを使ってウィキペディアの方針逃れをしたり混乱を生じさせたりするといった濫用を防ぐためです。多重アカウントは一切禁止すべきだと考える利用者もいる一方で、適正に使用されているならば問題ないと考える利用者もいます。

多重アカウントにも正当な使用法はありえますが、多重アカウントに禁止されている行為は一切行ってはなりません。また、「操り人形」「自作自演」の基本的定義であるような、あるアカウントの取っている立場を、他のアカウントを使って支持することをしてはいけません。もし多重アカウントを使用する場合は、それらが同じ人物によって使用されていることがすぐに判断できるように、それぞれのアカウント相互にリンクを貼ることが推奨されます。

違反への対処 編集

この方針に違反したアカウントは、無期限にブロックされるべきです。管理者は誰でも、その裁量で大元のアカウント(メイン・アカウント)もブロックすることができます。 管理者以外の利用者は、多重アカウントのアカウント一覧をen:Wikipedia:Administrator intervention against vandalism(荒らしへの管理者による対処)かWikipedia:管理者伝言板の適切な方に報告してください。

多重アカウントの性質や範囲が明らかでないながらも、問題が進行中であるような難しい事案の場合は、Wikipedia:CheckUser依頼による調査が可能です。詳細については当該ページを参照してください。

多重アカウント使用が禁止される行為 編集

投票や賛否表明 編集

ウィキペディアでは、あらゆる投票や、これに類する個人の賛否が集計されるような場では、「一人一票」の原則を用いています。従って、多重アカウントを使用して、特定の立場に対して実際よりも多く支持が集まっているように見せかけてはいけません。これには、すべての投票における多重投票、en:Wikipedia:Current surveys(意見募集中)にリストされている議論や、削除依頼管理者への立候補、ノートページなどでの議論にて複数のアカウントを使用することが含まれます。

多重投票だけでなく、他の利用者を欺いたり、実際よりも広範な支持を集めているように見せかけるために多重アカウントを使用してはいけません。

他の利用者からの監視の回避 編集

多重アカウントは、他の利用者があなたのシステム利用履歴(監査証跡)を追えないようにするために使用してはいけません。多重アカウントを使ってあなたの投稿履歴を分割することは、他の利用者があなたの投稿パターンを認識できなくなることを意味します。このような行為は、時には正当な場合もありえますが(例えば、実生活における人格を明示することでその記事に利益があるような編集を行うための特別なアカウントを作ること)、あなたの投稿履歴を追う正当な権利のある他の利用者を混乱させたり、欺いたりするために多重アカウントを使うことは、本方針に違反します。

「よい手と悪い手」アカウント 編集

故意に方針違反を行うために別アカウントを用いることは、特に禁止されます。

  • 全利用者に、中でも管理者と管理者候補者は特に、方針違反や混乱を起こすための「悪い手」アカウントの使用を禁止します。
  • 管理者にはまた、編集をめぐる論争に加わりつつ、中立的な立場にある管理者であることを装ってその記事の保護や、Three-revert rule (3RR)違反対処を行うために「悪い手」アカウントを使用することを禁止します。過去にこのことが発覚した例では、管理者権限が剥奪されています。

方針逃れ 編集

方針は、アカウントごとでなく、人ごとに適用されます。3RRのような方針は、各個人の編集に適用されます。方針違反を逃れるために別アカウントを使用することは、あなたの大元のアカウントへの制裁措置の理由となりえます。banされている利用者や、Wikipedia:投稿ブロックを受けている利用者は、これを逃れるために多重アカウントを使用してはいけません。ブロックやbanから逃れようとした場合、ブロック期間はブロック開始時点に巻き戻され、時には延長されることとなるでしょう。

多重の管理者アカウント 編集

管理者権限を付与されたアカウントを複数所有することは、コミュニティによって明確に拒否されています。ウィキペディアを一旦離れてから新しい利用者名で復帰し、管理者に推薦された時には、古いアカウントの管理者権限を返上するべきだと考えられています。(古いアカウントの権限返上はそっと行ってもかまいません。また、2つのアカウントの間にリンクを貼らなくてもかまいません。)通常の編集者よりも強い権限を持つアカウントは1つしか所有してはいけません。現時点で、正当に管理者権限を持つ別アカウントを所有しているのは、財団業務を行うためのDannyを使用しているDannyismeだけです。

多重アカウント使用が認められる行為 編集

多重アカウントには正当な使用法もあります。例えば、有名な利用者が、コミュニティが新人にとる対応を実地に調べるために新しいアカウントを作ってもよいでしょう。特に、ジンボが多重アカウントを取得して編集に加わるべきだと考える利用者もいます。そしてきっと彼はそうしているのでしょう。

分離とセキュリティ 編集

さまざまな理由で、投稿履歴を分割するために多重アカウントを使用する利用者もいます。

  • ウィキペディア上で、特定分野の編集に大きく貢献している利用者は、この分野での編集専門のアカウントを登録してもよいでしょう。
  • 公共の場にあるコンピューターには、パスワードを盗み取るウイルスやソフトが仕込まれていることがあるため、メイン・アカウントが乗っ取られることを防ぐために、こういった場から編集する時には別アカウントを使用してもよいでしょう。
  • 世間に広く知られている人物や、特定の社会でよく知られている人物は、その関心の範囲や投稿履歴から本人が同定されてしまうかもしれません。本人の匿名性を守るためには、投稿履歴を複数のアカウントに振り分けることが有効かもしれません。例えば、ある分野で有名な専門家は、この分野の記事への投稿と、専門分野ほどには関心の強くない分野の記事への投稿を関連づけられたくないと思うこともあるでしょう。
  • 家族内や職場、実社会で激しく他者と対立している内容について編集する時には、ウィキペディアの中立的な観点の方針についてよく知らない読者から、その編集が個人的な意見の表明であると誤解されることを避けるために、多重アカウントを使用してもよいでしょう。

議論の拡散を防ぐ 編集

編集者の中には、特定の分野における論争が、他の場所で利用者の人格をめぐる論争や、個人攻撃へ飛び火することや、ウィキペディアの外での嫌がらせを避けるために、ノートページにて別アカウントを使う人もいます。例えば、妊娠中絶についての記事の議論に参加している人は、他の参加者に記事の文脈を離れた場にまでこの議論を拡散させる機会を与えたり、百科事典とは無関係な、信条に基づいた議論を仕掛けられる機会を与えたりしたくないと思うかもしれません。

「役割」アカウント 編集

役割アカウント(ロール・アカウント)とは、複数の人が共有するアカウントで、英語版ウィキペディアでは、公式には、現在特別な場合にのみ許されています。英語版ウィキペディアで現在許されている唯一の役割アカウントはウィキメディア財団のための業務を行っている広報活動(PR)事務所Schwartz PRのためのアカウントのみです。複数の人物でアカウントを共有した場合は、基本的には投稿ブロックされます。

ボット 編集

ボット(自動、または半自動的に編集作業を行うプログラム)を運用している利用者は、別のアカウントを作成すること(またm:requests for bot statusを通してボットフラグを付与されること)を推奨されています。これは、自動編集を最近更新したページで抽出するためです。(詳しくはWikipedia:Botsを参照してください。)

ドッペルゲンガー・アカウント 編集

自分の利用者名に似ている名前のアカウントを、荒らしがなりすましを行うことを防ぐために先取りして作成することは認められています。これらのアカウントは、ドッペルゲンガー・アカウントと呼ばれ、編集には使ってはならず、{{doppelganger}}のタグを貼るか、メイン・アカウントの利用者ページにリダイレクトすることになっています。

ミートパペット 編集

多重アカウントと関連する問題として、特定の投票や議論に加わったり、流れを変えたりするために、複数の人物が新しいアカウントを作るということがあります。このようなことは、削除依頼議論の起きている記事でよく起こります。これらの新しく作られたアカウントや、匿名の編集は、他の編集者の友達であったり、議論となっている記事の主題に何らかの形で利害関係にあったり、あるいは議論における特定の立場を擁護するために誘われた人であったりするかもしれません。ウィキペディアでは、こういうアカウントを単一目的のためのアカウントと呼んでいます。これは、ウィキペディアに熱心に関わっているウィキペディアンは、通常はある程度話題の異なるさまざまな記事に関わり、記事、そして百科事典全体のバランスの取れた発展を目標としているのに対して、単一目的のためのアカウントは、たった一つの計画のためにウィキペディアにやってくるからです。

こういったアカウントは、よく「ミートパペット」と呼ばれています。これは恐らく同名のバンドに着想を得た名前でしょう。これらのアカウントは、しばしば本当のソックパペットと見分けがつきにくく、ソックパペットと同じように扱われます。ソックパペットも、単一目的のためのアカウント利用者も、ウィキペディアのコミュニティの一員とは認められていません。英語版Arbitration Committeeでは、en:Wikipedia:Requests_for_arbitration/Regarding_Ted_Kennedy#Sockpuppetsの事案で、論争の解決のためには、複数アカウントのグループが、一人の人物による多重アカウントであるか、ミートパペットを演じている複数の人物であるかがはっきりしない場合には、これらをすべて一人の人物として扱うという判断を示しています。

ミートパペットの宣伝・勧誘 編集

論争の一方に加勢してもらおうと一定の視点や偏見を持った利用者を呼び集めるために、あるウィキペディアの記事に議論が起こっていることを宣伝することは、きわめて不適切、あるいは認められないと考えられています。また、加勢のために友達や家族に新規アカウントの作成を頼むことも、同様にきわめて不適切であると考えられています。ミートパペット行為を宣伝したり、勧誘することは、ウィキペディアでは認められません。可能であれば、On-Wikipedia canvassing(過剰に他の利用者の意見を勧誘して回ること)は差し戻されるべきです。

ウィキペディアへの参加経験がほとんどなく、はじめから特定の視点を持ってやってくる複数の新規参加者は、たとえどんな意図でそれがなされたにしろ、めったにウィキペディアの中立的な観点維持に役立つことはなく、むしろたいていは中立を積極的に崩してしまいます。ウィキペディアは事実と意見を混ぜる場ではなく、個人的な弁護の場でも、感情的な議論の場でもありません。議論になりやすい記事をよりよくするためには、他の記事以上に方針をよく読み、従わなくてはなりません。

もし、あなたの意見が議論で無視されていると感じるのならば、行うべき行動は、ウィキペディアの外に助けを求めることではありません。そうではなく、個人攻撃を避け、他のウィキペディアンにコメントや議論への参加を依頼し論争の解決の手続きを踏みましょう。ここで示されている解決の手段は、経験的に導き出されてきたものであり、一方的見解を別の一方的見解で置き換えるという問題を避けるために設計されています。

多重アカウントが疑われる場合の同定と対処 編集

多重アカウントの特徴 編集

当然ではありますが、通常、ソックパペットアカウントは、多くの新規参加者に比べてウィキペディアとその編集の仕方にずっとよく慣れています。彼らは最初の数回の編集から要約欄を使いこなしたり、すぐに編集合戦に加わったり、また削除依頼管理者への立候補などの手続きではっきりと意見を述べたりするかもしれません。とはいえ、投稿履歴の要約欄を見ると、本当の新規参加者や単一目的のためのアカウントと同じように見える場合も少なくありません。

ストローマン・ソックパペット 編集

ソックパペットの1つのタイプは「ストローマン(藁人形)・ソックパペット」と呼ばれています。このタイプのソックパペットは、特定の主張を持った利用者が作りますが、本来の主張に対立する意見を持っているかのように振る舞って、その意見が悪く見えるように行動したり、オンラインの工作員のように行動します。こういったアカウントは、「敵」が簡単に論駁できるような、へたくそな議論をします。つまり、基本的には、ストローマンの議論を可能にするのです。このようなソックパペットは、アカウント作成者が議論を吹っかけるストローマンを具現化します。そして、頭が悪そうに、また無知なように行動したり、あからさまに頑固に振舞ったりします。結果として、しばしば議論は混乱し、両方の論陣からまじめな議論を成立させることを阻害します。ただし、ソックパペットではなく本当に議論がうまくなく、議論を混乱させる利用者もしばしばいますので、このタイプのソックパペットの疑いを証明することは、他のタイプのソックパペットより難しくなります。

疑いがある場合 編集

多重アカウントを作成する目的は、普通は他者の追跡を逃れるためなので、問題となっているアカウントがソックパペットかどうか、はっきり分からない場合があります。関心や編集スタイルの類似については示すことができても、それだけでそれがはっきりとした証拠だと理解してもらうほどには誰もがその利用者についてよく知っているとは限りません。

編集合戦の中で、あるいは投票や調査の結果をゆがめるために多重アカウントが用いられたと思われる時には、いわゆる「100編集ルール」を用いるのが効果的かもしれません。これは、かなりの確率で、ウィキペディアでのさまざまな分野にわたる投稿の履歴が100を超えているアカウントはソックパペットではないだろうと判断できるということです。ある場で、履歴の少ないアカウントが異常にいくつも参加しているような時には、そのIPアドレスや、編集の行われた時刻を確認して、それらがソックパペットかどうかチェックした方がいいかもしれません。ただし、投稿履歴が数回しかないこと自体はソックパペット使用の証拠にはなりませんし、新規参加者を不当に多重アカウント扱いすれば、そのように扱われた相手は傷つき、ウィキペディアに対して否定的な印象を持つでしょう。

複数の利用者が、互いに同じ理由でウィキペディアに参加し始めようとやってくることもあることを忘れないでください。中東での紛争、カルト的な人気を持つ人物、削除依頼にだされるような記事など、議論が起こりやすい場では特にそうです。こういった記事では、100編集のガイドラインをより強く適用し、投稿履歴が100未満のアカウントはすべてソックパペットと見なすべきだと考える利用者もいます。しかし、一般的にはこのような考え方は根拠が薄弱であることが明らかにされています。

多重アカウントの不正使用が行われているかはっきりしない場合には、サーバーのログ情報を確認することができます。ウィキメディア財団のプライバシーの方針により、複数の利用者が同一人物であるかどうかを一定の証拠をもって確認する作業は、重大な案件で妥当な理由がある場合のみに、ごく少数のその権限を持つ利用者により行われることになっています。議論の参加者の中にソックパペットがいるかどうか探し回ること(「釣り(Fishing)」)は支持されておらず、このような場合の確認の依頼は受理されないでしょう。確認の依頼はCheckUser依頼で行ってください。

もし、あなたが不当にソックパペットである嫌疑をかけられた場合には、攻撃されたとあまり考えないようにしてください。新規参加者の数は膨大で、間違えられることもあります。しばらく参加して、よい編集をするようにしてみてください。あなたの投稿履歴があなたの潔白を証明してくれます。

発見が難しいソックパペット 編集

誰かが多重アカウントを悪用していて、このことについて他の人から意見を聞きたいと思った時には、en:Wikipedia:Suspected sock puppetsのページにて、当該ページの指示に従って報告してください。

テンプレート 編集

多重アカウント用の利用者ページや会話ページに印をつけるテンプレートが数種類利用可能です。これらのテンプレートは利便性のために作られており、方針の一部ではありません。

判明したソックパペットにタグを貼る 編集

方針の違反行為に用いられたソックパペットであることが判明したアカウントは、当該アカウントの利用者ページにen:Template:SockpuppetProvenを、会話ページにen:Template:sockblockを貼付することでその旨を示します。このタグには3種類あり、Checkuserによって違反が確認された場合用、それ以外の方法で多重アカウントの悪用が確認された場合用、違反の疑いの場合用です。

  • {{SockpuppetCheckuser|Username|Optional name of CheckUser case (what is after Wikipedia:Requests for checkuser/Case/)}}
  • {{SockpuppetProven|1=Username|evidence=[[EvidenceLink]]}}. "EvidenceLink" can be replaced with something such as "[[Wikipedia:Suspected sock puppets/Username]]":
  • {{Sockpuppet|1=Username|evidence=[[EvidenceLink]]}}

多重アカウントを操っている大元、もしくはもっともよく知られているアカウントには、en:Template:Sockpuppeteerのタグを貼るとよいでしょう。多重アカウント利用者が判明したソックパペットを持っている場合は、en:Template:Sockpuppeteerprovenの方を使ってください。これらのタグは、悪質な多重アカウント利用のためのものです。正当な利用法で複数アカウントを利用している利用者のページには貼ってはいけません。

別アカウント 編集

  • 別アカウントと主アカウントの関係を明示しようと考える利用者は、別アカウントにen:Template:User Alternate Acctを貼ることができます。
  • 主アカウントには{{User Alt Acct Master}}を貼ることができます。(日本語版の{{User Alternate Acct}}は「主」と「別」を明確に分けていません。)

関連項目 編集

References 編集

  1. ^ http://mail.wikipedia.org/pipermail/wikien-l/2003-October/007398.html 原文英語。