潮寒二
1910年8月15日 - 1981年)は、日本の小説家、推理作家[1]。
(うしお かんじ、ペンネーム |
紅東一 城崎龍子 浅山健二 飯田武 海野三平 潮寛二 飯田武州 堀井赤万 |
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誕生 |
飯田 実 1910年8月15日 東京市豊多摩郡淀橋町十二社 (現在の東京都新宿区西新宿) |
死没 | 1981年??月??日 |
職業 | 小説家 |
国籍 | 日本 |
文学活動 | おめがクラブ |
代表作 | 『義賊の春』 |
デビュー作 | 『逃亡した死体』(1932年) |
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経歴・人物
編集本名:飯田実[2]。東京市西新宿十二社生まれ[2]。父は西新宿の大地主であった[2]。戦前には逓信省に勤めていたが、戦時中に横浜の高射砲部隊(高射砲第117連隊)に一兵卒として入隊[2]。これを機に以降、軍需産業に勤使し、30代で課長となり名古屋に転勤している[2]。
作家としては、1932年に「逃亡した死体」を『漫談』誌に発表。これがデビュー作となる[3]。デビュー後5年間は少年小説などを執筆するが、戦時中には筆を折る[3]。戦後、「猿人の血型」(1949年)で復活[3]。1952年、『富士』誌に掲載された「義賊の春」が、「流転」のタイトルでラジオ・ドラマ化され、ニッポン放送系から4夜連続で放送された[2]。1955年ごろにはSF同人グループおめがクラブのメンバーとなる。1958年には「おめがクラブ」メンバーであった矢野徹と合作で、堀井赤万名義の「惑星から来た少女」を『探偵実話』誌に発表。1961年ごろには作品発表が途絶えている[3]。別名に紅東一、城崎龍子、浅山健二、飯田武州、海野三平、潮寛二などがある[2]。
1981年、肺癌のため死去。
作品リスト
編集単行本
編集- 『高遠惜春賊』(私家版、1980年8月)[4]
- 『午前零時の男 他三編』(紅東一名義、盛林堂ミステリアス文庫、2018年8月)[5]
- 『ハルピンお龍行状記 姿なき脅迫者』(城崎龍子名義、東都我刊我書房、2020年3月)[6]
雑誌発表作品
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戦前および戦中
編集(潮寒二 名義)
- 「逃亡した死体」 - 『漫談』1932年7月号(漫談社)
- 「額縁騒動」 - 『週刊小学生新聞』第61号 - 64号(全4回、1932年10月)
- 「天晴れ蒙古男児」 - 『週刊小学生新聞』第65号 - 68号?(全4回?、1932年11月?)
- 「日本魂は踊る」 - 『週刊小学生新聞』第69号 - 72号?(全4回?、1932年12月?)
- 「天晴れ蒙古少女」 - 『週刊小学生新聞』第73号 - 76号?(全4回?、1933年1月?)
- 「世界怪奇探偵譚」 - 『週刊小学生新聞』第77号 - 80号?(全4回?、1933年2月?)
- 「魔の沼」
- 「豹の槍先」
- 「蜘蛛人」
- 「蝙蝠の森」
- 「露満国境の赤い狼」 - 『週刊小学生新聞』第?号 - ?号(全4回?、193?年?月)
- 「魔のジャンク」 - 『週刊小学生新聞』第?号 - ?号(全4回?、193?年?月)
- 「赤道直下の洞窟」 - 『日本少年』1935年7月号 - 12月号連載(全6回、実業之日本社)
- 「砲隊鳥」 - 『新青年』1940年3月号(博文館)
戦後
編集- 「猿人の血型」 - 『奇談と小説』1949年4月号(文化宏談社)[7]
- 「悪食」 - 掲載誌不明[8]
- 「踊る白骨」 - 掲載誌不明[8]
- 「乳房の蜘蛛」 - 『探偵よみもの』40号(1950年8月15日、協和出版)
- 「賭場の暴風」 - 『探偵実話』1951年1月号(世界社)
- 『探偵実話』1956年5月増刊号(世文社)再録
- 「舞姫の秘密」 - 『妖奇』1951年2月号(オール・ロマンス社)
- 「蠢く女体」 - 『妖奇』1951年4月号(オール・ロマンス社)
- 「蛞蝓と淫臭」 - 『妖奇』1951年8月号(オール・ロマンス社)
- 「淫獣を孕んだ女」 - 『千一夜』1951年12月号(千一夜出版社)
- 「ミス・オッパイの失踪」 - 『読切ロマンス』1952年2月号(睦書房)
- 「義賊の春」 - 『富士』1952年2月号(世界社)
- 「爬虫人間(ホモ・レプチリア)」 - 『妖奇』1952年4月号(オール・ロマンス社)
- 『探偵実話』1956年8月増刊号(世文社)再録
- 「蛆」 - 『探偵実話』1952年9月号(世界社)
- 「大陰茎人(ホモ・ステエト)」 - 『妖奇』1952年8月号(オール・ロマンス社)
- 「狂痴の告白」 - 『探偵実話』1952年11月号(世界社)
- 「射たぬ拳銃」 - 『トリック』1952年12月号(オール・ロマンス社)
- 「訣別の朝霧」 - 『トリック』1953年1月号(オール・ロマンス社)
- 「犬畜生」 - 『探偵実話』1953年1月号(世界社)
- 「無頼漢」 - 『トリック』1953年2月号(オール・ロマンス社)
- 「明神礁の謎」 - 『トリック』1953年3月号(オール・ロマンス社)
- 「針ノ木地蔵」 - 『探偵クラブ』1953年6月号(共榮社)
- 「涎」 - 『探偵実話』1953年9月号(世界社)
- 「魔虫」 - 『探偵クラブ』1953年11月号(共榮社)
- 「演技賞は誰?」 - 『読切小説集別冊・捕物小説まつり記念号』(1953年11月15日、荒木書房新社)
- 「ブラックの谷」 - 『探偵クラブ 怪奇』1954年1月号(共榮社)
- 「マリと三人の男」 - 『オール読切』1954年2月号(共榮社)
- 「コント―2つのコントリーグ戦」(夢座海二と) - 『捕物倶楽部』1954年2月号(荒木書房新社)
- 「碧い眼」 - 『探偵実話』1954年4月号(世文社)
- 『「探偵実話」傑作選』(光文社、2003年5月)収録
- 「異郷の涯」 - 『宝石』1954年5月号(岩谷書店)
- 「蛞蝓お由」 - 『探偵クラブ 怪奇』1954年5月号(共榮社)
- 「私は知らない」 - 『探偵実話』1954年6月号(世文社)
- 「角膜乾燥症」 - 『探偵実話』1954年7月号(世文社)
- 「軟体人間」 - 『探偵クラブ 怪奇』1954年9月号(共榮社)
- 「蛞蝓妄想譜」 - 『宝石』1954年10月号(岩谷書店)
- 「壁を這う虫」 - 『探偵実話』1954年10月号(世文社)
- 「影は消せるか」 - 『探偵クラブ 怪奇』1954年11月号(共榮社)
- 「私の好きな人々」(エッセイ) - 『読切小説集別冊・捕物小説祭号』(1954年11月15日、荒木書房新社)
- 「忍耐力コンテスト」 - 『探偵実話』1955年1月号(世文社)
- 「干からびた幸福」 - 『探偵クラブ 怪奇』1955年2月号(共榮社)
- 「足」 - 『探偵クラブ 怪奇』1955年3月号(共榮社))
- 「淪落の舗道」 - 『探偵実話』1955年4月号(世文社)
- 「白い腋毛」 - 『探偵実話』1955年6月号(世文社)
- 「阿片と拳銃」 - 『オール読切』1955年7月特大号(共榮社)
- 「昆虫王国」 - 『探偵クラブ 怪奇』1955年10月号(共榮社)
- 「蚯蚓の恐怖」 - 『探偵実話』1955年11月号(世文社)
- 『こんな探偵小説が読みたい 幻の探偵作家を求めて』(晶文社、1992年9月)収録
- 「怨念」 - 『探偵実話』1955年12月号(世文社)
- 「ぼく知ってるよ」 - 『探偵実話』1956年1月号(世文社)
- 「姿なき殺人者」 - 『探偵実話』1956年1月増刊号(世文社)
- 「ジェット機」 - 『探偵クラブ 怪奇』1956年2月号(共榮社)
- 「狢の財布」 - 『オール読切』1956年5月特大号(共榮社)
- 「嬰児」 - 『探偵実話』1956年9月号(世文社)
- 「女狐」 - 『オール読切』1956年9月特大号(共榮社)
- 「青岩鍾乳洞」 - 『探偵実話』1956年11月号(世文社)
- 「姐御の誕生日」 - 『オール読切』1956年12月特大号(共榮社)
- 「月の雫」(ロバート・マクレア/著、潮寒二/訳) - 『探偵クラブ 怪奇』1957年2月号(共榮社)
- 「臀舐の島」 - 『探偵実話』1957年5月号(世文社)
- 「帰らざる刑事」 - 『宝石』1957年7月号(宝石社)
- 「どぶ鼠」 - 『探偵実話』1957年9月号(世文社)
- 「ホモ・ハイメノプテラ」 - 『科学小説』第1号(おめがクラブ、1957年11月)
- 「千里眼と殺人者」 - 『探偵クラブ 怪奇』1957年12月号(共榮社)
- 「悪夢の宿」 - 『耽奇小説 裏窓臨時増刊5』(久保書店、1958年2月)
- 「悪魔の申し子」 - 『探偵実話』1958年5月号(世文社)
- 「性悪女」 - 『探偵実話』1958年6月号(世文社)
- 「ロケット地球に帰る」 - 『宝石』1958年9月号(宝石社)
- 「氷壁の宙吊り死体」 - 『探偵クラブ 怪奇』1958年9月号(共榮社)
- 「人狐」 - 『EQ』1989年8月号(光文社)[9]
(潮寛二 名義)
- 「金色の地獄」 - 『耽奇小説』1958年9月号(久保書店)
- 「鱗」 - 『探偵クラブ 怪奇』1958年12月号(共榮社)
- 「消え失せたオッパイ」 - 『探偵クラブ 怪奇』1959年1月号(共榮社)
- 「美胡の足」 - 『裏窓』1959年2月号(久保書店)
- 「砂漠の白髪鬼」 - 『探偵実話』1959年12月号(世文社)
- 「裏切者」 - 『探偵実話』1960年2月号(世文社)
- 「肉体は知っている」 - 『探偵実話』1960年12月号(世文社)
- 「殺人の譜」 - 『探偵実話』1961年2月号(世文社)
- 「係蹄」 - 『探偵実話』1961年5月号(世文社)
(城崎龍子 名義)
- 「ハルピンお龍行状記」(全10回)
- 「奇妙な義侠心」 - 『探偵実話』1952年10月特大号(世界社)
- 「贋札使い」 - 『探偵実話』1952年11月号(世界社)
- 「無代進呈」 - 『探偵実話』1952年12月号(世界社)
- 「名宝紛失」 - 『探偵実話』1953年新年特大号(世界社)
- 「姉御の敗北」 - 『探偵実話』1953年2月号(世界社)
- 「"126"の秘密」 - 『探偵実話』1953年3月号(世界社)
- 「天保探偵登場」 - 『探偵実話』1953年4月号(世界社)
- 「姿なき脅迫者」 - 『探偵実話』1953年5月号(世界社)
- 「天保探偵失踪す」 - 『探偵実話』1953年6月号(世界社)
- 「姉御の幸福」 - 『探偵実話』1953年7月号(世界社)
(紅東一 名義)
- 「地獄の番人さん」 - 『耽奇ミステリーよみもの オール読切増刊』第10巻第11号(1958年8月15日、共榮社)
- 「深夜の対決」 - 『探偵クラブ 怪奇』1958年10月号(共榮社)
- 「午前零時の男」 - 『探偵クラブ 怪奇』1958年11月号(共榮社)
- 「無国籍者」 - 『探偵クラブ 怪奇』1959年1月号(共榮社)
- 「地獄への階段」 - 『探偵クラブ 怪奇』1959年2月号(共榮社)
(浅山健二 名義)
- 「啜り泣く河」 - 『オール読切』1957年2月号(共榮社)
(海野三平 名義)
- 「3年目に捕った列車強盗」 - 『探偵クラブ』1958年3月号(共榮社)
(堀井赤万 名義)
- 「惑星から来た少女」 - 『探偵実話』1958年1月号(世文社)
編纂書
編集(飯田武州 名義)
- 『福岡縣企救郡企救甼土地寶典 地番地積地目賃貸價格等級入圖』(帝國市町村地圖刊行會、1936年)
- 『静岡縣富士郡富丘村土地寶典 地番地積地目賃貸價格等級入圖』(帝國市町村地圖刊行會、1936年6月)
- 『愛知縣葉栗郡木曾川甼土地寶典 地番地積地目賃貸價格等級入圖』(帝國市町村地圖刊行會、1937年7月)
脚注
編集- ^ 『日本幻想作家事典』東雅夫/石堂藍 編、国書刊行会、2009年10月 より。
- ^ a b c d e f g 鮎川哲也「実直なグロテスキスト」(『EQ』1989年8月号(光文社)掲載 / 鮎川著『こんな探偵小説が読みたい 幻の探偵作家を求めて』(晶文社、1992年9月) 収録)の記述に拠る。
- ^ a b c d 『幻影城』1975年8月号、9頁に拠る。
- ^ 古希記念出版。『幻の探偵作家を求めて 完全版 上』(論創ミステリ・ライブラリ、2019年6月)掲載情報に拠る。
- ^ 収録作品:「深夜の対決」「午前零時の男」「無国籍者」「地獄への階段」
- ^ 収録作品:城崎龍子名義の「ハルピンお龍行状記」全10作に加え、登場人物が共通する潮寒二名義の「女狐」「狢の財布」「姐御の誕生日」「阿片と拳銃」を収録している。善渡爾宗衛/編纂
- ^ 『幻影城』1975年8月号、9頁では、掲載誌は『犯罪実話』1949年4月号(駿南社)であったとされる。しかし鮎川哲也「実直なグロテスキスト」(1989年)では、潮寒二による自筆の掲載誌メモを確認した上で『奇談と小説』誌に掲載されたと述べている。
- ^ a b 鮎川哲也「実直なグロテスキスト」(1989年)にて、「猿人の血型」と「乳房の蜘蛛」の間に発表されたと述べられている作品。
- ^ 同誌によると1955年6月20〜21日に執筆(この時点まで未発表)。