与良正男
与良 正男(よら まさお、1957年- )は、毎日新聞社論説副委員長。現在、早稲田大学政治経済学術院公共経営研究科客員教授[1]。
経歴
名古屋大学文学部卒業後、1981年毎日新聞社入社。1989年東京政治部配属となり、安倍晋太郎をはじめ安倍派・三塚派を長く担当した。森喜朗内閣発足時の2000年春から1年間、官邸取材のキャップを務めた[2]。自由民主党から民主党への政権交代をテレビ・新聞を通じて国民に訴え続けた[3][4]。
主張・論説
- 新聞の役割を高く評価しており、「マスコミが高い志を持って政治報道をしなければ、日本の政治がみすぼらしくなってしまう」「『(社会の)仕組みを変えよう』と提起するのが私たちの仕事だ」[5]「テレビは本当に怖いメディア。こんな時代こそ新聞。物事をどう見るかという部分で頼りにされている」などの発言をしている[6]。
- 「与野党双方の批判は公平・中立であるように見えるが「政治なんてだれがやってもダメ」という政治不信を助長するばかりである」として[7]、民主党への賛同と自民党への批判を新聞やテレビで展開している。
読売新聞への批判
- 2007年の大連立騒動の際、仲介者とされる読売新聞主筆・渡邉恒雄について「マスコミと政治家は距離を置くべき」と批判したが、与良自身は度々政治家と食事をしたとテレビで語っていた。
- 2009年、政党職員が「最近のメディアは、げすの勘ぐりみたいなものを前面に出すことが、建前を排して真相を突くことだと勘違いしているようです。本来の理念に立ったうえで批判すべきは批判し、改革すべきはその方向を示す、といった書生っぽさが必要では」と与良に苦言を呈すと、与良はこのメディアを読売新聞と解釈し、読売新聞に報道姿勢を見直すべきではないかと毎日新聞のコラム掲載した[8]。
- 2009年、衆参の両院協議会で民主党が定額給付金への反対を理由に審議の引き伸ばしを行うと「両院協を予算案修正の場とみなし、給付金の削除や削減を求めるという今回の野党の対応は、ねじれ克服の一つの方法だ」と評価し、「両院協を審議引き延ばしに使うな」と民主党を社説で批判した読売新聞などを「議論の中身や評価は二の次で、与野党の思惑だの駆け引きだのをしたり顔で解説するだけだった」と毎日新聞のコラムで揶揄した。
政局報道
自民党政権
毎日新聞の官邸キャップとして森内閣を取材したが、官邸キャップとして「政策の記事をほとんど書いた記憶がない。毎日、失言ばかりを追いかけていた」と回想している[9]。なお、森喜朗自身は退陣後に「あるテレビ局のキャップが首相官邸で、「森政権なんか、三ヵ月で潰してやる」と豪語していたと後で聞かされました」と証言している[10]。その後、TBSのニュース番組でコメンテーターも務めることになるが、政策重視で組閣された安倍内閣を「お友だち内閣」と喧伝し、安倍晋三が病気のため内閣総理大臣を辞任すると「安倍政権は“お友だち内閣”なんて呼ばれていたけど、結局お友だちは誰もいなかったんでしょう」と揶揄するなど、自由民主党に対する報道姿勢は変わらなかった。
政権交代
- 麻生内閣が成立すると、麻生太郎総理大臣を「『何となく』『基本的には』『いわゆる』が口癖で、具体的に政策について聞かれるとおどおどした表情を見せることさえある」「今の与党にはもう政権担当能力がないのではと思う」[11]などの自論を毎日新聞に寄稿し、TBSのニュース番組でも「毎日しつこくて申し訳ありませんが、解散総選挙して有権者に判断を仰ぐのが政治の王道だと思います」[12]「すぐ解散したら初めて褒めてあげる」[13]と視聴者に訴えて、麻生内閣の退陣と解散総選挙による政権交代の実現を主張した。また「政権交代が実現した場合、民主党には政権担当能力があると思うか」という質問に対しては「民主党の政策についても解説や分析をすることができないため結局は、やってみないことには分からない」と回答した。与良はこの回答を「一番誠実な答え方」と自賛している[14]。
民主党政権
鳩山由紀夫内閣の政策が迷走を始めると「政権交代による混乱はむしろ当り前なのだ。多くの国民はある程度覚悟したうえで、1票を投じたのではないだろうか」[15]「国民は自民党よりは民主党のほうが、まだましと感じている」[16]などの記事を寄稿し、民主党政権を擁護している。
鳩山由紀夫内閣
- 鳩山由紀夫内閣の内閣支持率が急低下すると「各社が回数を競い合うように年中、調査を実施し、内閣支持率が下がれば大事件が起きたかのように報じる。それが世の中の失望感をさらに増幅させ、政治家もまた右往左往する。」「20年以上前の自民党政権のように権力が強大だったころと比べて、今の政治は本当にひ弱だ。だからメディアも日々、政治にいちゃもんさえつけていればいいという発想を変えるべき」と述べ、マスコミに対して、ネガティブな報道を控えるように主張した。また、国民に対しては「国民が辛抱強くリーダーを育てていく時代」であるとして、鳩山由紀夫総理大臣を支えるように訴えた[17]。
- 鳩山由紀夫内閣が失政や不正献金問題で批判を受けるようになると「いきなり、不安や懸念ばかりを書き立てることが、今度の衆院選で『チェンジ』を求め、政権交代を選んだ多くの有権者の期待に応える報道だろうか」「性急に結論を求めるのではなく、ここは一つでも二つでも改革が進むよう政権の背中を押すのがマスメディアの仕事ではないか」と擁護したため、立花隆に要するにいまの鳩山政権は相当にひどい状態で、不安と懸念がいっぱいなのだが、それには目をつぶって、現政権の後押しをするのが、メディアの役割といっているのだ」と非難された[18]。
- 鳩山由紀夫総理大臣の「普天間基地代替施設移設問題を2010年5月末までに決着させる」という発言について、与良は「(鳩山は)けっこう粘り強い人」とコメントして、その実現を疑問視する声に反論した[19]。
菅内閣
- 延坪島砲撃事件で菅内閣の危機管理意識に対する批判が高まると、「自民党をはじめ野党は批判しているだけでいいのか」と野党を非難し、「『私たちも弱い内閣を手助けする』と言った方が信頼は高まるのではないか。」と野党に対して菅内閣を支えるように求めた[20]。
- 東日本大震災で菅内閣の復興支援政策や二次被害防止対策が不十分だったことに批判が高まると「(菅総理が)もし辞めるとしたら誰が首相になって、どんな体制を作ったら、今の状況を乗り切れるだろうか」と反論した[21]。
- 2011年6月に菅直人内閣総理大臣への退陣要求が与野党で強くなると、与良は「私たちメディアが「脱政局」報道に転じて状況を変えていくしかない」と意気込みを語った[22]。
野田内閣
- 野田内閣が消費税の増税を推進すると「野田首相の言っていることは間違っていない。嫌われ者になるだろうなあと私も承知で負担増の話を書いている」と賛同し[23]、政権交代となった第45回衆議院議員総選挙で、民主党が消費税の増税を行わないことを公約し、自民党が消費税を将来的に増税することを公約したことについて、自由民主党の谷垣禎一総裁が「増税は必要ないとの公約で政権取った。けじめつけないと」と民主党に解散総選挙を求めると、「マニフェストを見直せ」と民主党に迫った自民党が公約を翻して消費税増税に転じたことを批判するのは「ご都合主義である」と批判し[24]、自民党は消費税の増税を提案していたのだから、「大人」になって政府に協力するべきだと主張した[25][26]。
報道倫理についての姿勢
- 2008年10月3日放送のTBS『みのもんたの朝ズバッ!』で、東京都議の海外調査報告書における学術論文無断盗用問題について「毎日新聞で盗作や盗用をしたら懲戒免職」と発言した。毎日デイリーニューズWaiWai問題については、新聞社、出版社計32社の記事を無断で利用、翻訳していたことを明らかにしたうえで、謝罪記事を掲載し関係者を処分したが、WaiWaiで使用された記事は掲載時に出典がすべて明記されており、厳密にいえば「盗作」「盗用」ではない。
- 2009年3月10日、朝日新聞記者が政治家のオフレコ発言を破ったことについて、与良は「政敵のスキャンダルがよほどうれしかったのか、実名が出ない安心感から、つい本音(希望?)が出たのが実相ではなかろうか」とし、今の政権の危うさを再確認させ、国民の知る権利に答えた報道姿勢であると、新聞記者が情報源の秘匿を守らなかったことを評価している[27]。
日本国に対する姿勢
- 2008年5月放送のTBS『みのもんたの朝ズバッ!』において、日本固有の領土である竹島について、「竹島表記するなら独島(竹島の朝鮮名)も教えるべき」と主張した。
- 内閣総理大臣の靖国神社参拝に強く反対しているが、若い世代が賛同してくれないことに衝撃を受けている[28]。
- 2009年9月放送のTBS『みのもんたの朝ズバッ!』において、民主党議員に「靖国神社に変わる国立追悼施設の建設を検討してほしい」「民主党は靖国問題はクリアーしている」と主張した。
過去の論説
人物
- メガネとチョビ髭とキャップが特徴。
出演
- みのもんたの朝ズバッ!(TBS)コメンテーター・金曜日レギュラー
- ちちんぷいぷい(毎日放送)ぷいぷい顧問団
- サンデーモーニング(TBS)コメンテーター※岸井成格毎日新聞特別編集委員が出演できない際の代理
- Nスタ(TBS)コメンテーター※政治関連の話題のみ出演
- 大沢悠里のゆうゆうワイド(TBSラジオ)不定期でゲスト出演→2012年4月より水曜日のコーナーレギュラー
脚注・出典
- ^ 早稲田大学大学院
- ^ 毎日新聞 2008年12月11日発信箱:悲しいほどの…=与良正男[リンク切れ]
- ^ 毎日新聞 2010年04月08日熱血!与良政談:「白か黒か」ではなく[リンク切れ]
- ^ 反射鏡:大連立か、解散して再編か…という空想=論説副委員長・与良正男(2010 年 11 月 29 日)
- ^ 2009年2月5日 毎日新聞 日本の政治をみすぼらしくしている責任の一端は私たちの報道姿勢ではないだろうか…与良正男(論説室)
- ^ 【毎日新聞・論説】…与良正男
- ^ 毎日新聞 2008年12月25日 0時04分 与良正男(論説室) [1]
- ^ 2009年2月5日 毎日新聞 日本の政治をみすぼらしくしている責任の一端は私たちの報道姿勢ではないだろうか…与良正男(論説室)
- ^ 毎日新聞 2008年12月11日発信箱:悲しいほどの…=与良正男[リンク切れ]
- ^ 森喜朗(聞き手大下英治)「「失言問題」、朝日新聞を叱る」『WiLL』2007年9月P51-52
- ^ 毎日新聞 2009年02月19日与良正男(論説室)
- ^ 2009年2月13日のTBS『みのもんたの朝ズバッ!』(2009/2/13)
- ^ 2009年7月1日放送のTBS『みのもんたの朝ズバッ!』
- ^ 発信箱:政権担当能力=与良正男 - 毎日.jp(毎日新聞) [2][リンク切れ]
- ^ 発信箱:混乱も隠さず見せる=与良正男(論説室)[3]
- ^ 東奔政走:「自民より、まだまし」意識が民主党政権を支えている - 毎日jp(毎日新聞)
- ^ 反射鏡:政治の劣化を防ぐため今、必要な辛抱=論説副委員長・与良正男(2010年8月15日毎日新聞)
- ^ 毎日新聞 2010年04月08日熱血!与良政談:「白か黒か」ではなく[リンク切れ]
- ^ 「鳩山首相ヤケクソ説と 「粘りの人」説 : J-CASTテレビウォッチ [4]
- ^ 【毎日新聞】菅政権に任せておけないなら、なぜ自民党は「政権を返せ」と強く言わないのだろう…「国の危機、政治家の責任」与良正男
- ^ 2011年4月27日 熱血!与良政談:菅さん以外なら誰でも?=与良正男 [5]
- ^ 毎日新聞 2011年6月22日 東京夕刊
- ^ 毎日新聞 2012年1月25日 東京夕刊 [6]
- ^ 熱血!与良政談:マニフェストご都合主義=与良正男
- ^ 毎日新聞 2012年3月21日 東京夕刊 与良正男「自民党も消費増税をいち早く提起していたのだから、賛成に回り、成立させた方が政党として素直な対応だ」[7]
- ^ 熱血!与良政談:「大人の自民党」が見たい=与良正男 毎日新聞 2012年04月11日 13時52分 [8]
- ^ 発信箱:本音を引き出す=与良正男(論説室)- 毎日新聞 2009年3月12日[9][リンク切れ]
- ^ 反射鏡:政治の劣化を防ぐため今、必要な辛抱=論説副委員長・与良正男(2010年8月15日毎日新聞)
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