アドバンテージとは、前進や優位性という意味の英語(advantage)であるが、ここでは特にスポーツにおける意味を扱う。スポーツにおいて「アドバンテージ」とは、以下の意味で用いられる。

  1. 反則が生じた際に、反則を受けたチームが有利となる場合に罰則を適用しないこと[1]
  2. 得点等で優位にある状態。

反則に関する「アドバンテージ」編集

プレー中に反則が発生しても、その直後の状況が反則を受けた側に優位に働いている場合に、プレーを止めず続行させることをいう。反則に伴う罰則はその後のプレーが途切れた時点で下される。ラグビーサッカーで採用されることで知られるが、その取り扱い(特にアドバンテージ発生後の取り扱い)が微妙に異なる。

ラグビー(ラグビーユニオン)の場合
競技規則第7条に規定がある[2]
アドバンテージの状態になったときには、レフリー(主審)はアドバンテージを得たチーム側の腕を挙げてアドバンテージの状態にあることを示す。
アドバンテージ後、反則を受けたチームが利益を得たとみなした場合(得点につながった場合や大きく陣地を挽回した場合など)はそのままアドバンテージを終了させるが、レフリーが反則を受けたチームが利益を得そうにないと判断した(反則を受けたチームの攻撃が止まるなど)か、反則を受けたチームがその後の攻撃で反則を犯した場合は、アドバンテージ発生時点までプレーを戻してペナルティを適用する。
サッカーの場合
競技規則第5条に規定がある[3]
アドバンテージの状態になったときには、主審はアドバンテージを得たチームの攻撃方向に両手を差し出してアドバンテージの状態にあることを示す。
予期したアドバンテージがそのとき、または、数秒以内に実現しなかった場合、その反則を罰するが、そうでない場合はプレーを続行する。
警告や退場となるべき反則に対して、主審がアドバンテージを適用したとき、この警告や退場処置は、次にボールがアウトオブプレーになったときに行う。
ハンドボールの場合
競技規則第13条に「フリースローの判定」として規定がある[4]
プレーを中断しフリースローを与える状況について「ボールを所持しているチームが反則したとき」「相手チームの反則によりボールを失ったとき」と指定があり(13の1)、加えてレフェリーは「フリースローの判定によって競技を早まって中断しないよう、競技を継続させなければならない」とあり(13の2)、反則があった場合でも、反則を受けた側がボールを保持している場合は原則としてプレーを続行させアドバンテージの状態とすることとされている。
罰則を与えるべき違反行為に対して、レフェリーがアドバンテージを適用したときは、次にプレーが中断したときに罰則を与える。
ハンドボールは攻撃の展開が速く、プレーの中断自体が防御側に有利に働くため、レフェリーによる無闇な中断を避けるための規定といえる。

反則を受けたチームが有利になるという点で公平な制度であるが、ラグビーでは「アドバンテージを受けた側が不利になるまでアドバンテージが続く」ため、思い切った攻撃が続けられるのに対し、サッカーやハンドボールでは「アドバンテージを受けてしばらくの間を過ぎるとアドバンテージが終了する(反則に伴うプレー中断をなかったものとする)」ため、素早いリスタートを行ったときとあまり状況が変わらない。

得点等についての「アドバンテージ」編集

テニス
デュースの項を参照のこと。
ブラジリアン柔術
ポイントの一部として判定に使用される。基本的にはポイントで勝敗を決するが、ポイントが完全にない(引き分け状態)の時に、攻勢点としてアドバンテージがある方が勝利する。それもない場合はレフェリーの独断で勝敗を決める。詳細はブラジリアン柔術を参照。
日本野球機構
2004年2005年パシフィック・リーグにおけるプレーオフ(レギュラーシーズン上位3チームによる決勝トーナメント大会)では、2ndステージ(決勝戦)にシードされた1位チームと、1stステージ(1回戦。2位対3位)の勝利チームのゲーム差が5ゲーム以上あった場合、1位チームに1勝分を与えるものとされた。また2006年の同プレーオフ、ならびに2008年以降のクライマックスシリーズセントラル・リーグ、パシフィック・リーグともに導入)では、やはりファイナルステージ(決勝戦。2009年以前は2ndステージ)各リーグ1位チームに無条件に1勝分が与えられた。これらの1勝の差をアドバンテージと称した。詳細は各記事を参照。
日本女子プロ野球機構
2013年度の大会における4チーム対抗戦「ティアラカップ」の1位獲得回数の多い2チームによるプレーオフ「ティアラカップ女王決定戦」(2試合制)で採用。1位獲得の最も多いチームにあらかじめ1勝分のアドバンテージを与え、それを含め2勝したチームの優勝。よって1位は1勝すればグランドチャンピオンとなる。
2015年度は、正加盟3チームのリーグ戦で、それぞれのステージ1位チーム同士で行う「日本シリーズ女王決定戦」(3戦2勝制)で、前後期同じチームが1位で終了した場合は年間勝率2位のチームに出場権を与え、勝率1位チーム(=前後期完全1位チーム)に対しては1勝分のアドバンテージを付与する「2戦2勝制」とする。
韓国野球委員会
2015年度から、プレーオフトーナメント1回戦にあたる「ワイルドカード代表決定戦」(レギュラーシーズン4位対5位の対戦)にて採用。ワイルドカードにノミネートされた2チームのうち、4位チームに予め1勝分を与え、それを含めた先に2勝したチームが、準プレーオフ(2回戦)に進出できる。なお第1戦が引き分けで終わった場合と、第2戦との通算で1勝1敗1引き分けのタイとなった場合は、両チーム間の順位で上位となる4位チームが準プレーオフに進出できる
日本フットサルリーグ(Fリーグ)
2012年-2013年度の大会より採用。この年は上位3チームによるプレーオフの決勝戦(4戦制)で、先に3勝したチームが優勝であるが、プロ野球に倣い、レギュラーシーズン1位のチームにはあらかじめ1勝分のアドバンテージを与えるので、2勝すれば優勝である。
2013年-2014年度は2シーズン制を採用し、プレーオフ決勝戦(2戦制)で、2勝(ないしは1勝1分け)したチームの優勝だが、この場合でも順位ポイントの1位チームに1勝のアドバンテージがあるので、1勝すれば優勝である。2014年-2015年度は1シーズン制としたが、上位5チームでのプレーオフの決勝は2013-14年度の方式に同じである。
プレミアリーグ (バレーボール)
2014年-2015年度シーズンで採用。レギュラーラウンド(1次リーグ)の順位を基に、ファイナル6(2次リーグ)では1位に5点、2位に4点…6位に0点というように、予め順位に応じた持ち点を配分し、これに試合ごとの勝ち点(3-0・3-1の勝ち3点、フルセット(3-2)の勝ち2点、フルセット(2-3)の負け1点、1-3・0-3の負け0点)を加算する方式を取っている。この2次リーグの成績を参考として、上位3チームが決勝トーナメントに進出(1位はファイナル<決勝戦>シード、2位と3位でファイナル3<準決勝>を争う)。

脚注編集

  1. ^ 「観戦必携/すぐわかる スポーツ用語辞典」1998年1月20日発行、発行人・中山俊介、14頁。
  2. ^ 7 アドバンテージ”. 競技規則 Rugby Union. ワールドラグビー. 2019年9月22日閲覧。
  3. ^ 2019/20 サッカー競技規則 (PDF)”. 日本サッカー協会. 2019年9月22日閲覧。
  4. ^ ハンドボール競技規則2019年度版 (PDF)”. 日本ハンドボール協会. 2019年10月15日閲覧。