アリス・マンロー

カナダの小説家 (1931-2024)

アリス・アン・マンローAlice Ann Munro 1931年7月10日 - 2024年5月13日)は、カナダ作家短篇小説の名手として知られる。2013年ノーベル文学賞受賞。

アリス・アン・マンロー
Alice Ann Munro
アリス・マンロー(2006)
誕生 Alice Ann Laidlaw
アリス・アン・レイドロー
(1931-07-10) 1931年7月10日
カナダの旗 カナダ
オンタリオ州ヒューロン郡
死没 2024年5月13日(2024-05-13)(92歳没)
カナダの旗 カナダオンタリオ州ノーサンバーランド郡
職業 小説家
ジャンル 短篇小説
代表作 『木星の月』(1982年)
『イラクサ』(2001年)
『林檎の木の下で』(2006年)
主な受賞歴 全米批評家協会賞(1998年)
ブッカー国際賞(2009年)
ノーベル文学賞(2013年)
デビュー作 Dance of the Happy Shades
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ノーベル賞受賞者ノーベル賞
受賞年:2013年
受賞部門:ノーベル文学賞
受賞理由:現代短篇小説の名手として

略歴

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オンタリオ州ヒューロン郡の町ウィンガムの出身。ウェスタンオンタリオ大学にて英文学を専攻。1951年に結婚。大学を中退し、図書館勤務や書店経営を経験しつつ執筆活動をはじめ、初の短篇集 Dance of the Happy Shades(1968年)が同年のカナダ総督文学賞を受賞すると、 Who Do You Think You Are? (1978年)、The Progress of Love(1986年)でも同賞を受賞した。

その後もカナダの一地方を舞台とする作品を発表し続け、アメリカの雑誌「ニューヨーカー」にも作品が掲載され、国外での評価もすすむ。やがて全米批評家協会賞をはじめW・H・スミス賞ペン・マラマッド賞オー・ヘンリー賞(2006年、2008年、2012年)など多くの文学賞を受賞し、2005年には、「タイム」誌の「世界でもっとも影響力のある100人」に選ばれた。2009年にブッカー国際賞を、2013年にノーベル文学賞を受賞した。

連作短篇集『林檎の木の下で』では、自らのルーツとして、エディンバラからカナダへ移り住んだ一族の物語を3代にわたり描いている。 2013年6月には執筆生活からの引退を表明した[1]

2024年5月13日の夜、オンタリオ州のケアホームで死去。晩年は認知症を患っていた。92歳没[2][3]

論争

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死後の2024年7月、マンローの娘は9歳の時にマンローの2番目の夫からの性的虐待を受けたと告発した。彼女は25歳の時にマンローに事情を伝えた後、マンローは彼女と絶縁したという[4]

主な著作

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  • Dance of the Happy Shades (1968年) 日本語訳『ピアノ・レッスン』小竹由美子訳、新潮社〈新潮クレスト・ブックス〉、2018年
    • "Walker Brothers Cowboy"「ウォーカーブラザーズ・カウボーイ」
    • "The Shining House"「輝く家々」
    • "Images"「イメージ」
    • "Thanks for the Ride"「乗せてくれてありがとう」
    • "The Office"「仕事場」
    • "An Ounce of Cure"「一服の薬」
    • "The Time of Death"「死んだとき」
    • "Day of the Butterfly"「蝶の日」
    • "Boys and Girls"「男の子と女の子」
    • "Postcard"「絵葉書」
    • "Red Dressー1946"「赤いワンピース - 一九四六年」
    • "Sunday Afternoon"「日曜の午後」
    • "A Trip to the Coast"「海岸への旅」
    • "The Peace of Utrecht"「ユトレヒト講和条約」
    • "Dance of the Happy Shades"「ピアノ・レッスン」
  • Lives of Girls and Women (1971年)
  • Something I've Been Meaning to Tell You (1974年)
  • Who Do You Think You Are? (1978年)
  • The Moons of Jupiter (1982年) 日本語訳『木星の月』横山和子訳、中央公論社1997年
    • 「チャドゥリーとフレミング」
      • 一 繋がり
      • 二 野の石
    • 「ダルス」
    • 「ターキー・シーズン」
    • 「アクシデント」
    • 「バードン・バス」
    • 「プルー」
    • 「レイバー・デイ・ディナー」
    • 「ミセズ・クロスとミセズ・キッド」
    • 「繰り言」
    • 「客」
    • 「木星の月」
  • The Progress of Love1986年)日本語訳『愛の深まり』栩木玲子訳、彩流社2014年
    • "The Progress of Love"「愛の深まり」
    • "Lichen"「コケ」
    • "Monsieur les Deux Chapeaux"「ムッシュ・レ・ドゥ・シャポ」
    • "Miles City, Montana"「モンタナ州、マイルズ・シティ」
    • "Fits"「発作」
    • "The Moon in the Orange Street Skating Rink"「オレンジ・ストリート、スケートリンクの月」
    • "Jesse and Meribeth"「ジェスとメリベス」
    • "Eskimo"「エスキモー」
    • "A Queer Streak"「おかしな血筋」
    • "Circle of Prayer"「祈りの輪」
    • "White Dump"「白いお菓子の山」
  • Friend of My Youth (1990年)
  • Open Secrets (1994年) ・収録作品のうち、"The Jack Randa Hotel"は「ジャック・ランダ・ホテル」として(『恋しくて』村上春樹編訳、中央公論社、2013年)、"Carried Away"は「流されて」として(『ベスト・ストーリーズⅢ カボチャ頭』若島正訳、早川書房、2016年)翻訳されている。
  • Selected Stories (1996年)
  • The Love of a Good Woman1998年)日本語訳『善き女の愛』小竹由美子訳、新潮社新潮クレスト・ブックス〉、2014年
    • "The Love of a Good Woman"「善き女の愛」
    • "Jakarta"「ジャカルタ」
    • "Cortes Island"「コルテス島」
    • "Save the Reaper"「セイヴ・ザ・リーパー」
    • "The Children Stay"「子供たちは渡さない」
    • "Rich As Stink"「腐るほど金持ち」
    • "Before the Change"「変化が起こるまえ」
    • "My Mother's Dream"「母の夢」
  • Hateship, Friendship, Courtship, Loveship, Marriage2001年)日本語訳『イラクサ』小竹由美子訳、新潮社〈新潮クレスト・ブックス〉、2006年
    • "Hateship, Friendship, Courtship, Loveship, Marriage"「恋占い」
    • "Floating Bridge"「浮橋」
    • "Family Furnishings"「家に伝わる家具」
    • "Comfort”「なぐさめ」
    • "Nettles"「イラクサ」
    • "Post and Beam"「ポスト・アンド・ビーム」
    • "What Is Remembered"「記憶に残っていること」
    • "Queenie"「クィーニー」
    • "The Bear Came over the Mountain"「クマが山を越えてきた」
  • No Love Lost (2003年)
  • Vintage Munro (2004年)
  • Runaway (2004年) 日本語訳『ジュリエット』小竹由美子訳、新潮社〈新潮クレスト・ブックス〉、2017年
    • "Runaway"「家出」
    • "Chance"「チャンス」
    • "Soon"「すぐに」
    • "Silence"「沈黙」
    • "Passion"「情熱」
    • "Trespasses"「罪」
    • "Tricks"「トリック」
    • "Powers"「パワー」
  • Carried Away: A Selection of Stories (2006年)
  • The View from Castle Rock (2006年) 日本語訳『林檎の木の下で』小竹由美子訳、新潮社〈新潮クレスト・ブックス〉、2007年
    • 第一部 良いことは何もない
      • 「良いことは何もない」
      • 「キャッスル・ロックからの眺め」
      • 「イリノイ モリス郡区の原野」
      • 「生活のために働く」
    • 第二部 家
      • 「父親たち」
      • 「林檎の木の下で」
      • 「雇われさん」
      • 「チケット」
      • 「家」
      • 「なんのために知りたいのか?
    • エピローグ
      • 「メッセンジャー」
  • Too Much Happiness (2009年) 日本語訳『小説のように』小竹由美子訳、新潮社〈新潮クレスト・ブックス〉、2010年
    • 「次元」
    • 「小説のように」
    • 「ウェンロック・エッジ」
    • 「深い穴」
    • 「遊離基」
    • 「顔」
    • 「女たち」
    • 「子供の遊び」
    • 「木」
    • 「あまりに幸せ」
  • Dear Life (2012年) 日本語訳『ディア・ライフ』小竹由美子訳、新潮社〈新潮クレスト・ブックス〉、2013年
    • "To Reach Japan"「日本に届く」
    • "Amundsen"「アムンゼン」
    • "Leaving Maverley"「メイヴァリーを去る」
    • "Gravel"「砂利」
    • "Haven"「安息の場所」
    • "Pride"「プライド」
    • "Corrie"「コリー」
    • "Train"「列車」
    • "In Sight of the Lake"「湖の見えるところで」
    • "Dolly"「ドリー」
    • "The Eye"「目」
    • "Night"「夜」
    • "Voices"「声」
    • "Dear Life"「ディア・ライフ」

映像化作品

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  • アウェイ・フロム・ハー君を想う』(2007年)「クマが山を越えてきた」(『イラクサ』所収)を映画化。
  • ジュリエッタ』(2016年) 『ジュリエット』所収の連作3編を映画化。
    • この他、「恋占い」(『イラクサ』所収)の映画化を予定。これまでに数作がテレビで映像化されてもいる。

脚註

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  1. ^ Alice Munro announces retirement from writing National Post, 2013年6月19日
  2. ^ “Alice Munro, Canadian author who won Nobel Prize for Literature, dies at 92” (英語). The Globe and Mail. (2024年5月14日). https://www.theglobeandmail.com/canada/article-alice-munro-death-author/ 2024年5月14日閲覧。 
  3. ^ アリス・マンローさん死去 カナダのノーベル文学賞作家”. 時事通信 (2024年5月15日). 2024年5月15日閲覧。
  4. ^ Skinner, Andrea Robin (2024年7月8日). “My stepfather sexually abused me when I was a child. My mother, Alice Munro, chose to stay with him” (英語). Toronto Star. 2024年7月9日閲覧。

外部リンク

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