アリブンタとは、特撮テレビドラマウルトラマンA』をはじめとしてウルトラシリーズの各作品に登場する超獣である。別名は大蟻超獣

アリブンタ
初登場ウルトラマンA
第5話「大蟻超獣対ウルトラ兄弟」
作者 木目憲悟
詳細情報
別名 大蟻超獣
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『ウルトラマンA』に登場するアリブンタ 編集

諸元
アリブンタ
ARIBUNTA[1][2]
別名 大蟻超獣
身長 57 m[出典 1]
体重 6万2千 t[出典 1]
出身地

ウルトラマンA』第5話「大蟻超獣対ウルトラ兄弟」に登場。

ギロン人によって操られる地底超獣。肉食のアリと宇宙怪獣の合成生物[7][2]。武器は口から放射して何でも溶かす強力な霧状の蟻酸[出典 3]と、両手の爪から放射する火炎[出典 4]。好物であるO型血液を持つ女性を、四次元蟻地獄[出典 5][注釈 1]で地底へ引きずり込み、食料としている。

銀座で地下鉄を襲撃して多数の乗客を車両ごと蟻酸で殺害した後、そこで交戦したウルトラマンAにも蟻酸を吐きかけるが、まったく通用せずにメタリウム光線を頭部に受け、大爆発を起こす。しかし、それは見せかけに過ぎず再び地上へ現れ、銀座付近で破壊活動を開始する。TACのダックビルの攻撃にもひるまず、地球防衛軍の戦闘機をすべて撃墜し、甚大な被害を与える。途中で出現したギロン人と共にさらに暴れる中、ゾフィーによって救出されたAと再び戦闘になる。2対1でAを追い詰めたところにゾフィーが駆けつけたことによって2対2のタッグマッチになるが、最後はギロン人と頭部を激突させられて絶命した。

  • デザインは木目憲悟が担当した[出典 6][注釈 2]。木目はアルバイトの美術スタッフとして『帰ってきたウルトラマン』に参加していたが、その終盤ごろに次作品用のデザインとして設定などの詳細を聞かされないまま描いたという[9][12]。木目はプロデューサーの熊谷健からアリと始祖鳥がモチーフと伝えられていたため、羽根の意匠などを取り入れている[出典 7]。手足の爪などは甲殻類のイメージも取り入れており、肩の角は単純な手足4本に見えないよう設けられた[9][12]
  • 名前の由来はアリと、南米の肉食兵隊アリ「マラブンタ[7]
  • 第5話の特技監督の大平隆は、アリブンタの地底シーンでロングショットを希望していたが照明部に反対され、手前の山に照明を当てないまま撮影することとなった[13]。しかし、このことで奥行きが出て、本編監督の真船禎から絶賛されたという[13]
  • 松久壽仁の漫画版『ウルトラマンA』では、ヤプールの作った虚像の世界において夕子に化け、北斗を襲う。
  • ウルトラ怪獣大百科』では、「ヤプールの空間移動装置で現実世界に現れる様子が蟻地獄に見えた」と解説され、ヤプールに関係した超獣とされている。
  • ウルトラ怪獣攻げき技大図鑑』では、蟻酸噴霧は「ギサン噴霧」と命名されている。

『ウルトラファイトビクトリー』に登場するアリブンタ 編集

諸元
アリブンタ
別名 大蟻超獣
身長 57 m[出典 8]
体重 6万2千 t[出典 8]
出身地 異次元[17]

ウルトラファイトビクトリー』に登場。

ウルトラマンビクトリーの戦闘データを収集しようと目論むヤプールにより、地底世界へ送り込まれた個体。初代同様、異次元蟻地獄でショウとサクヤを引きずり込み、ビクトリーとの戦いではウルトランスの数々をものともしないタフさを見せる。本作品でも両手の爪から炎を放ってビクトリーを追い詰めるが、ウルトラマンヒカリの加勢でひるんだ隙にヒカリの与えた力でビクトリーがウルトラマンビクトリーナイトへパワーアップしたことから形勢を逆転され、最後はビクトリーナイトのナイトビクトリウムフラッシュで倒された。

『ウルトラマンオーブ』に登場するアリブンタ 編集

諸元
アリブンタ
別名 大蟻超獣
身長 57 m[18][19]
体重 6万2千 t[18][19]

ウルトラマンオーブ』第6話「入らずの森」に登場。

惑星侵略連合の基地に近づくクレナイガイとSSPのメンバーを追い払うため、ジャグラーに怪獣カードで呼び出される。初代同様、マンションすら溶かす強力な霧状の蟻酸と両手の爪から放射する高熱火炎でウルトラマンオーブを苦しめるが、バーンマイトにフュージョンアップされたことで劣勢に転じる。その後、ハリケーンスラッシュにフュージョンアップしたオーブの攻撃にたまらず地中へ逃走しようとするが、最後はトライデントスラッシュで倒される。

『ウルトラマンR/B』に登場するアリブンタ 編集

諸元
アリブンタ
別名 大蟻超獣
身長 57 m[出典 9]
体重 6万2千 t[出典 9]

ウルトラマンR/B』第8話「世界中がオレを待っている」に登場。

愛染マコトに召喚されて市街地の地下から出現し、両手の鋏から放射する高熱火炎[23]で街を焼き払っていたところ、現れたウルトラマンロッソやウルトラマンブルと交戦する。ロッソとブルのルーブスラッガーによる攻撃に耐えきるタフさを見せるも、最後は2人のファイヤートルネードで倒された。

  • 『R/B』第8話監督の辻本貴則は、自身が愛好する『帰ってきたウルトラマン』か『ウルトラマンA』の登場怪獣の使用を要望し、アリブンタの登場に決定した[24]。辻元もヒーローより怪獣に思い入れがあることから、アリブンタの描写には力が入ったといい、出現時の地面の陥没と車が逃げ惑う描写を特に見せ場に挙げている[25]。辻本は溶解液の使用も希望していたが、表現が難しいことから断念した[24]

『ウルトラマンタイガ』に登場するアリブンタ 編集

諸元
アリブンタ
ARIBUNTA[26]
別名 大蟻超獣
身長 57 m[26][27]
体重 6万2千 t[26][27]

ウルトラマンタイガ』第20話「砂のお城」に登場。

ヴィラン・ギルドによって操られ、エネクロン社の施設を破壊して同社の株価操作に利用された。武器は腕から放つ高熱火炎や口から吐く蟻酸[27]。地中を高速で移動し、地中から奇襲する戦法でタイタスを翻弄するが、最後はトライストリウムのトライストリウムバーストに敗れ去った。

  • スーツアクター:永地悠斗
  • 初期案では、タッコングがタンカーを襲って石油が値上がりし、インサイダー取引が行われるという展開が検討されていた[28]
  • 監督の武居正能によれば、近年のアリブンタでクローズアップされがちな蟻酸ではなく『A』で描写のあった地底描写に力を入れている[28]

『ウルトラマンデッカー』に登場するアリブンタ 編集

諸元
アリブンタ
別名 大蟻超獣
身長 57 m[29]
体重 6万2千 t[29]

ウルトラマンデッカー』第18話「異次元からのいざない」に登場。

ヤプールに使役され、異次元から空間を割って地球に出現したため、TPUのデータベースに記録が存在しない。武器はハサミ状の手から放つ火炎と口から吐く蟻酸[29]。特に、蟻酸はGUTSグリフォンの装甲を溶かすほどの威力を持つ[29]

テラフェイザーとの同時攻撃でウルトラマンデッカーを窮地に追い込むが、最後はダイナミックタイプにタイプチェンジしたデッカーのデッカーフラッシュダイナミックで倒される。

  • スーツアクター:永地悠斗

映画作品に登場するアリブンタ 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 書籍『ウルトラマン画報 上巻』では「異次元アリ地獄」と記述している[2]
  2. ^ 資料によっては「井口昭彦」と記述している[11]

出典 編集

  1. ^ a b c d e 白書1 1982, pp. 176–177, 「ウルトラマンA 怪獣リスト」
  2. ^ a b c d e f g 画報 上巻 2002, pp. 126–143
  3. ^ a b c d ウルトラ怪獣大全集 1984, pp. 48–57, 「ウルトラマンA 全怪獣」
  4. ^ a b c d 大辞典 2001, pp. 12–28, 「あ」
  5. ^ a b c d e 円谷プロ全怪獣図鑑 2013, p. 69
  6. ^ a b c d UPM vol.10 2020, p. 20, 「異次元人、超獣、宇宙人、地底人」
  7. ^ a b 僕らのA 2000, p. 49.
  8. ^ 宇宙船157 2017.
  9. ^ a b c d 宇宙船165 2019.
  10. ^ a b 豪怪奔放 2021, pp. 34–57, 「第1章 ウルトラマン 1971-1974 ウルトラマンA」
  11. ^ ウルトラマンPARTII 1978, p. 32.
  12. ^ a b c 豪怪奔放 2021, p. 120, 「第1章 ウルトラマン 1971-1974 検証:栄光の怪獣王国、狂乱のデザイン史―ウルトラマン第二期 編― 06 円谷怪獣史に確かな爪跡を残した、特殊美術・木目憲悟のデザイン観と職人魂 DESIGNER 木目憲悟」
  13. ^ a b 友井健人「INTERVIEW 『ウルトラマン』本編助監督 大平隆」『別冊映画秘宝 特撮秘宝』vol.3、洋泉社、2016年3月13日、234-237頁、ISBN 978-4-8003-0865-8 
  14. ^ 登場キャラクター ウルトラファイトビクトリー”. 2017年3月6日閲覧。
  15. ^ X超全集 2016, p. 12, 「特別付録 ウルトラファイトビクトリー超全集 怪獣図鑑」
  16. ^ UPM vol.33 2021, p. 25, 「スパークドールズ怪獣、アンドロイド、魔神」
  17. ^ 光の巻増補改訂 2022, p. 293.
  18. ^ a b 怪獣 ウルトラマンオーブ公式サイト”. 2017年3月9日閲覧。
  19. ^ a b UPM vol.12 2020, p. 22, 「魔王獣、怪獣、惑星侵略連合、宇宙人」
  20. ^ キャラクターランドSP 2017, p. 55, 「『ウルトラマンオーブ』スーツアクターヒーローズリスト」.
  21. ^ 宇宙人・怪獣 ウルトラマンR/B公式サイト”. 2018年8月25日閲覧。
  22. ^ 超全集 2019, p. 45, 「怪獣大図鑑」
  23. ^ a b UPM vol.25 2021, p. 22, 「召喚怪獣、変身怪獣、宇宙人」
  24. ^ a b 超全集 2019, p. 78, 「ウルトラマンR/B監督インタビュー 辻本貴則」
  25. ^ Blu-ray『ウルトラマンR/B Blu-ray BOX I』(バンダイビジュアル BCXS-1390)封入 SPECIAL NOTE(構成・執筆:トヨタトモヒサ)
  26. ^ a b c 宇宙人・怪獣”. ウルトラマンタイガ公式サイト. 円谷プロダクション. 2023年8月5日閲覧。
  27. ^ a b c タイガ超全集 2020, p. 53, 「ウルトラマンタイガ怪獣図鑑」
  28. ^ a b Blu-ray『ウルトラマンタイガ Blu-ray BOX II』(バンダイビジュアル BCXS-1490)封入 SPECIAL NOTE(構成・執筆:トヨタトモヒサ)
  29. ^ a b c d 怪獣・星人”. ウルトラマンデッカー 公式サイト. 円谷プロダクション. 2022年11月19日閲覧。
  30. ^ ウルトラ銀河伝説超全集 2009, pp. 78–81, 「百体怪獣ベリュドラ完全攻略」

出典(リンク) 編集

参考文献 編集

  • 『不滅のヒーローウルトラマン白書』(初版)朝日ソノラマ〈ファンタスティック・コレクション・スペシャル〉、1982年12月31日。雑誌コード:67897-80。 
  • 竹書房/ブレインナビ 編『ウルトラマン画報 光の戦士三十五年の歩み』 上巻、竹書房、2002年10月4日。ISBN 978-4-8124-0888-9 
  • 『ウルトラ怪獣大全集』小学館〈てれびくんデラックス愛蔵版〉、1984年9月10日。ISBN 4-09-101411-9 
  • 『ウルトラマン大辞典』監修 円谷プロダクション、中経出版、2001年12月21日。ISBN 4-8061-1556-8 
  • 大石真司、江口水基・島崎淳・間宮尚彦『円谷プロ全怪獣図鑑』小学館、2013年3月11日。ISBN 978-4-09-682074-2 
  • 『僕らのウルトラマンA』辰巳出版〈タツミムック ― 検証・第2次ウルトラブーム〉、2000年7月10日。ISBN 4-88641-518-0 
  • 『円谷怪獣デザイン大鑑 1971-1980 豪怪奔放』ホビージャパン、2021年12月24日。ISBN 978-4-7986-2664-2 
  • 『空想特撮映像のすばらしき世界・ウルトラマンPARTII』(初版)朝日ソノラマ〈ファンタスティック・コレクション〉、1978年12月1日。雑誌コード:67897-10。 
  • 『全ウルトラマン オール怪獣 スーパー大図鑑 光の巻 増補改訂』講談社〈講談社MOOK〉、2022年8月8日。ISBN 978-4-06-528261-8 
  • 『キャラクターランドSPECIAL ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGA徳間書店〈HYPER MOOK〉、2017年2月5日。ISBN 978-4-19-730144-7 
  • 講談社シリーズMOOK ウルトラ特撮 PERFECT MOOK(講談社)
    • 講談社 編『ウルトラ特撮 PERFECT MOOK』 vol.10《ウルトラマンA》、講談社〈講談社シリーズMOOK〉、2020年11月25日。ISBN 978-4-06-520932-5 
    • 講談社 編『ウルトラ特撮 PERFECT MOOK』 vol.12《ウルトラマンオーブ》、講談社〈講談社シリーズMOOK〉、2020年12月26日。ISBN 978-4-06-520934-9 
    • 講談社 編『ウルトラ特撮 PERFECT MOOK』 vol.25《ウルトラマンR/B》、講談社〈講談社シリーズMOOK〉、2021年7月8日。ISBN 978-4-06-520947-9 
    • 講談社 編『ウルトラ特撮 PERFECT MOOK』 vol.33《ウルトラマンギンガ/ウルトラマンギンガS》、講談社〈講談社シリーズMOOK〉、2021年11月9日。ISBN 978-4-06-520967-7 
  • 宇宙船ホビージャパン
    • 「70's円谷怪獣リスペクト検証 栄光の怪獣王国、狂乱のデザイン史」取材・文 鶯谷五郎
      • 「[第5回] 「超獣」生みの親・井口昭彦、その怪獣デザインと特撮美術の相乗効果」『宇宙船』vol.157(SUMMER 2017.夏)、ホビージャパン、2017年6月30日、pp.100-103、ISBN 978-4-7986-1482-3 
      • 「[第12回] 円谷怪獣デザイン史に確かな爪痕を残した特殊美術・木目憲悟のデザイン観と職人魂」『宇宙船』vol.165(SUMMER 2019.夏)、ホビージャパン、2019年7月1日、86-89頁、ISBN 978-4-7986-1968-2 
  • てれびくんデラックス愛蔵版(小学館

関連項目 編集