アンチテーゼ
アンチテーゼ(独: Antithese[1], 英: antithesis[1])とは、ある理論・主張を否定するために提出される反対の理論・主張である[2]。
弁証法のアンチテーゼ 編集
弁証法のもっとも単純な説明は、テーゼ(命題、定立)、アンチテーゼ(反対命題、反定立)、ジンテーゼ(統合命題)である。たとえば、「地獄」は「天国」のアンチテーゼ、「渾沌」は「秩序」のアンチテーゼである。通常釣り合いの取れた、対照的概念の並列である。
修辞学のアンチテーゼ 編集
修辞学では、アンチテーゼは一般的に対照法、対句法と訳される。言葉・節・文の中で、明白な対照によって、概念の対照を述べることを要件とする修辞技法である。文法的にもパラレルな構造を持っている。
- 黙っていないといけない時には君は喋り、
- 喋らないといけない時には君は黙る。
対照法は時には、構造も対照的に交錯することもある。(交錯配列法も参照)
- 黙っていないといけない時には君は喋る。
- 君が黙るのは喋らないといけない時。
対照法を豊かに使った作家には、イングランドでは、アレキサンダー・ポープ、サミュエル・ジョンソン、エドワード・ギボンらがいる。顕著な例としては、ジョン・リリーの『ユーフュイーズ』(Euphues)がある。しかし、フランスでは対照法はイングランド以上に一般的に使われた。一方ドイツでは一部の例外を除けばあまり使われなかった。
対照法の最も有名な例は、次のことわざだろう。
- Man proposes: God disposes(人が計画し、神が決める)
もし言葉が、頭韻法のようにビートが弱まるか、それに似た響きの上にあるのであれば、対照法の効果は増大し、普通の使い方よりも、要点をついた生き生きした表現になる。
フィクションのアンチテーゼ 編集
フィクションでは、アンチテーゼは性格、道徳観などがまったく正反対のキャラクター同士を描写することに使うことができる。しかし、これは必ずしも両者が争っていることを意味しない。
キリスト教のアンチテーゼ 編集
キリスト教のAntithesis of the LawについてはExpounding of the Lawを参照。
脚注 編集
参考文献 編集
- この記事にはアメリカ合衆国内で著作権が消滅した次の百科事典本文を含む: Chisholm, Hugh, ed. (1911). "Antithesis". Encyclopædia Britannica (英語). Vol. 2 (11th ed.). Cambridge University Press. p. 146-147.