サー・アーサー・サマヴェルSir Arthur Somervell, 1863年6月5日 - 1937年5月2日)は、イギリスの作曲家。1890年代から1900年代にかけて、イギリス音楽のルネッサンス[n 1]においてヒューバート・パリーの後の世代として最も成功を収め、影響の大きな歌曲の作曲家の一人。

生涯編集

 
連作歌曲「モード」の表紙
Boosey & Co. 1898

サマヴェルはウェストモーランド[n 2]ウィンダミアでKシューズ(K Shoes)[1]創業家の息子として生まれた。最初の教育はアッピンガム・スクール[n 3]ケンブリッジ大学キングスカレッジで受け[2]、そこでチャールズ・ヴィリアーズ・スタンフォードに師事した。彼は1883年から1885年にはベルリンの高等音楽学校で学び、1885年から1887年まではロンドン王立音楽大学においてパリーの下で学んだ。彼はフリードリヒ・キールに作曲を師事している。サマヴェルは1894年に王立音楽大学の教授となり、1895年から1897年のリーズ[n 4]やバーミンガム[n 5]の音楽祭では自作の指揮を行った。彼は1901年に教育委員会とスコットランドの教育部門の音楽研究員に任用されている。

彼は生前に「見捨てられた人魚男 The Forsaken Merman」(1895年)、「不滅の暗示 Intimations of Immortality」(1895年、彼はこれを1907年リーズ音楽祭で指揮している)、「キリストの受難 The Passion of Christ」といった合唱作品によって成功を収めたが、現在では主に「モード Maud[3]1898年)や「シュロップシャーの若人 A Shropshire Lad[4]1904年)のような連作歌曲で知られている。彼の有名なヘンデル作品の改作である「静かなる祈り "Silent Worship"[n 6]」は1996年の映画「エマ」で取り上げられた。

サマヴェルの作風は保守的であり、メンデルスゾーンブラームスの影響をうかがわせる。彼は教育活動にも積極的に関わっており、1920年には教育委員会の主席音楽研究員になっている。彼は1929年ナイトに叙せられた。1930年作曲のヴァイオリン協奏曲はアディラ・ファキーリに献呈された。

作品編集

  • オペレッタ The Enchanted Prince; Princess Zara; Knave of Hearts (Novello); Golden Straw (Curwen); Thomas the Rhymer.
  • 管弦楽曲 Thalassa Symphony in D minor[5] (Boosey); Helen of Kirconnel (Novello); In Arcady (Suite for small orchestra)(Donajowski)
  • 合唱曲 Mass; Power of Sound; The Charge of the Light Brigade; Elegy (Chorus and orch.)(Novello); Song of Praise (chorus and orch.)(Metzler); To the Vanguard; Passion of Christ (chorus and orch.)(Boosey); Mass in D minor (Ricordi).
  • Concertstuck for violin and orchestra (Augener, 1913). Normandy, symphonic variations for piano and orchestra (1911, Augener). Highland concerto, pianoforte and orchestra (1920). Violin Concerto (1930).
  • 室内楽曲 Quintet for clarinet and strings; Suites, studies and pieces for violin and piano (Augener, Weekes, Williams and Ashdown); Variations for 2 pianos (Augener); pianoforte pieces (Augener; Williams; Leonard; Lucas; Hatzfield; Ashdown; Boosey; Bosworth; Weekes).
  • 連作歌曲 Maud (1898); A Shropshire Lad (1904); James Lee's Wife (1908); A Broken Arc (1923); Love in Springtime (1901). (Boosey). Windflowers, Cycle for vocal quartet (Boosey).
  • 歌曲 Six songs by Robert Burns (1885-86); Four songs of Innocence (1899); Singing Time, songs for small children (1899): (Boosey; Moore; Lucas; Leonard; Dunn; Gill; Asherberg; Ashdown; Enoch; Forsyth). Part-songs: (Boosey; Ashdown; Novello).
  • 著作 Rhythmic Gradus for pianoforte (Bosworth); Exercises in sight-reading, etc. (Curwen); Sight-reading, 6 vols (Swan); Sight-reading exercises (Augener); Charts of the rules of Harmony and Counterpoint (Clarendon press).

「海の交響曲」ニ短調は作曲から100年経った2011年に世界初録音が行われた。この曲は1912年作曲で、2楽章の「哀歌」が同年南極海で消息を絶ったスコット大佐を記念している。

脚注編集

注釈
  1. ^ 訳注:英国の音楽批評家、フラー・メイトランド(Fuller Maitland)が提唱した、19世紀後半から20世紀初頭にかけての時期。主に王立音楽大学で学んだ音楽家たちがヨーロッパ音楽からの影響から解き放たれ、自国の語法をもって大陸の音楽に引けを取らない作品を生み出した。
  2. ^ 訳注:イングランド北西部に位置するカウンティ。(Westmorland
  3. ^ 訳注:ラトランド、アッピンガム(Uppinghamの私立学校。共学。Uppingham School
  4. ^ リーズの市民ホール(en)の完成を祝って1858年に始まった音楽祭。1874年からは3年ごとに開催され、1985年まで続いた。(Leeds triennial music festival
  5. ^ 訳注:1784年から続いていたバーミンガムの古典音楽祭。資金難と第一次世界大戦勃発により1912年を最後に行われていない。(en
  6. ^ サマヴェルはヘンデルの3幕のオペラ、トロメオ(Tolomeo)を英語歌唱によるピアノ伴奏歌曲に仕立てた。
出典
  1. ^ KShoes”. 2012年10月14日閲覧。
  2. ^ "Somervell, Arthur (SMRL880A)". A Cambridge Alumni Database (英語). University of Cambridge.
  3. ^ テニスンの詩による。
  4. ^ ハウスマンによる作曲の中で最初に知られたもの。
  5. ^ Musical Times and Singing-class Circular - Google ブックス, March 1, 1913, pages 175-6. Reports a performance - perhaps the premiere - of the work on February 17 of that year. (Arthur Nikisch, London Symphony Orchestra.)

参考文献編集

  • A. Eaglefield-Hull (Ed.), A Dictionary of Modern Music and Musicians (Dent, London 1924).
  • T. Holt, Parry to Finzi: Twenty English Song-Composers (Boydell Press, Woodbridge 2002), 87-101.
  • K. Shenton, 'Sir Arthur Somervell', in British Music Society Journal 9 (1987), 45-54.

外部リンク編集