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エビスグサ(胡草、恵比須草、夷草、学名:Senna obtusifolia)は、熱帯地方に広く分布しているマメ科ジャケツイバラ亜科[注釈 1]の小低木または草本北アメリカ原産の一年草で、別名、ロッカクソウ[1]。通称、ハブ茶ともよばれている[2]

エビスグサ
Senna tora Blanco1.122.png
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : マメ類 fabids
: マメ目 Fabales
: マメ科 Fabaceae
亜科 : ジャケツイバラ亜科 Caesalpinioideae
: センナ属 Senna
: エビスグサ S. obtusifolia
学名
Senna obtusifolia
(L.) H.S.Irwin et Barneby (1982)
シノニム

Cassia obtusifolia L.
C. tora auct. non L.

目次

概要編集

北アメリカ原産といわれており、熱帯アジアから中国南部に伝わり、日本には江戸時代享保年間に渡来した[2]。原産地では宿根して亜灌木になることもあるが、普通は一年草として栽培されている。和名の由来は、外国または異国から来たという意味から、「夷草(えびすぐさ)」と名付けられたといわれる[2]。中国植物名は、鈍葉決明(どんようけつめい)といい、種子は「決明子(けつめいし)」とよばれる生薬になる[1]

栽培では、4月頃に種がまかれる[2]。草丈は1メートル以上になり、互生し、5 - 6枚の小葉からなる羽状複葉である。茎や葉をつぶすと、不快臭がある。花は夏の7 - 8月頃に咲き、葉腋に一輪か二輪ずつ咲き、いびつな5弁花で、10本ある雄しべも不揃いである。秋の10月頃に湾曲した細長いさや状の果実つき褐色に色づく[2]。種子は6角形で光沢がある[2]

利用編集

生薬編集

秋の10 - 11月頃に褐色になったさやを摘み取り、中の種子を集めて天日干ししたものは、決明子(けつめいし)という漢方の生薬の一つである[1][2]。ほとんどは栽培品で[1]、一般には「ハブ茶」の通称で知られている[2]。決明子に含まれる成分の中に、アントラキノン配糖体エモジンオブツシフォリンなどが含まれ、緩やかに便通をよくする緩下作用がある[2]

漢方では、3世紀頃に編纂された「傷寒論」や「金匱要略」には見られないが、以降よく用いられるようになる。「決明子」とは「目を決する種子」という意味で、決明子の茶を飲むと便通をよくするとともに、便秘のときに一般に同時に起こる肩こりや、かすみがちになった目の視力を、結果として和らげることができた[2]

決明子は、便秘や排尿障害、目の充血[1]高脂血症高血圧などの生活習慣病の予防や改善に効果があるとされ、1日量5 - 10グラムを約400 ccの水で30分ほど煎じたものが服用される[1]。また、健康茶の一つとしてそのまま飲まれたり、あらかじめ焙してある市販品の「ハブ茶」や[2]、どくだみ・はとむぎなどと混合して売られていることもある。日本では炒ったものをお茶のようにお湯を注ぎ、少し蒸らした後、かすをこして飲まれる[2]中国韓国では、生のものを煎じて飲まれるが、少々不快な青臭いにおいと、苦みやえぐみがある。このため、お茶のように飲用するには、種子が弾け飛ばないように鍋などにふたをして、生の種子を一度炒った方が味や風味がよくなり飲みやすくなる[1]

本来「ハブ茶」というのは、同属の植物ハブソウの種子で「望江南(ボウコウナン)」とよばれるものを炒ってお茶にしたものを指したが[2]、ハブソウの種子は収穫量が悪いために、エビスグサの種子を代用品としたのがそのまま「ハブ茶」として残ったものである[1]

ギャラリー編集

脚注編集

参考文献編集

  • 貝津好孝『日本の薬草』小学館〈フィールド・ガイドシリーズ 16〉、1995年7月20日、16頁。ISBN 4-09-208016-6
  • 田中孝治『効きめと使い方がひと目でわかる 薬草健康法』講談社〈ベストライフ〉、1995年2月15日、70頁。ISBN 4-06-195372-9