カイコバイモ

ユリ科の種

カイコバイモ(甲斐小貝母、学名:Fritillaria kaiensis)は、ユリ科バイモ属多年草[3][4][5][6][7]

カイコバイモ
山梨県南部町 2019年4月
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 単子葉類 Monocots
: ユリ目 Liliales
: ユリ科 Liliaceae
: バイモ属 Fritillaria
: カイコバイモ F. kaiensis
学名
Fritillaria kaiensis Naruh.[1]
シノニム
和名
カイコバイモ(甲斐小貝母)[3][4]

特徴 編集

地下の鱗茎は小型で白色の球形になり、2個の半球形の鱗片からなる[4][5]は細く軟らかく[4]、高さは10-20cmになる[3]は5個あり、下部では対生し、長さ40-65mm、幅7-13mm、上部では3輪生し、長さ35-60mm、幅3-7mmになる[3][8]。茎や葉はミノコバイモアワコバイモに似ている[7]

花期は3-4月。は椀状鐘形-広鐘形で茎先に下向きに1個つく。花被片は6個あり、長さ12-15mm、縁は全縁またはわずかに突起があるときがあり、下部で外側に張り出す。花被片の外面に淡紫褐色の斑紋があり、花被片内側の基部側から4分の1の位置から先端に向かう腺体がある。これは、腺体の位置がより先端にあるミノコバイモやアワコバイモとは異なる特徴点である。花被片より短い雄蕊が6個あり、葯は黄白色になる。子房は3室あり、各室に多数の胚珠があり、柱頭は3中裂する。ホソバナコバイモのような花糸や花柱にある小突起は無く平滑である。果実蒴果で胞背裂開し、種子には狭い翼がある[3][4][5][7]

分布と生育環境 編集

日本固有種[6]。本州の東京都および静岡県山梨県[5][6][7][9]富士山周辺に分布し[4]、落葉樹林下や林縁または常緑樹林の林縁に生育する[4]。まれに見られる植物である[5]

名前の由来 編集

種小名(種形容語)kaiensis は、「甲斐国の」の意味。

和名カイコバイモは、「甲斐小貝母」の意で、旧甲斐国である山梨県産のコバイモの意味[3][4]

分類 編集

本種は、1957年、当時はバイモ属の種が現在のように細分化されていなかったときに、1957年4月に山梨県西八代郡栄村(現:南巨摩郡南部町)で採集された標本をもとに、植物学者の原寛と金井弘夫によって、「コバイモ」の1品種 Fritillaria japonica f. alba、和名はシロコバイモとして記載された[2][10]

その後、1979年、1970年4月に採集された山梨県南巨摩郡南部町産の標本をタイプ標本として、植物学者の鳴橋直弘によって、新種 Fritillaria kaiensis、和名はカイコバイモとして記載発表された[1][8]

種の保全状況評価等 編集

絶滅危惧IB類 (EN)環境省レッドリスト

(2017年、環境省)[9]

ギャラリー 編集

脚注 編集

  1. ^ a b カイコバイモ 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
  2. ^ a b カイコバイモ(シノニム) 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
  3. ^ a b c d e f 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.70
  4. ^ a b c d e f g h 『新分類 牧野日本植物図鑑』pp.233-234
  5. ^ a b c d e 『改訂新版 日本の野生植物 1』pp.169-171
  6. ^ a b c 『日本の固有植物』pp.158-159
  7. ^ a b c d 『絶滅危惧植物図鑑 レッドデータプタンツ(増補改訂新版)』p.581
  8. ^ a b 鳴橋直弘「Three New Species of Fritillaria (Liliaceae) from Japan. / 日本産バイモ属の3新種」『北陸の植物』第26巻第4号、北陸の植物の会 / 植物地理・分類学会、1979年3月、88-93頁、ISSN 0374-8081NAID 120005856317 
  9. ^ a b カイコバイモ、日本のレッドデータ検索システム
  10. ^ On Fritillaria japonica Miquel,「原寛、金井弘夫:コバイモについて」The Journal of Japanese Botany,『植物研究雑誌』Vol.32, No.6, pp.188-189, (1957).
  11. ^ 国内希少野生動植物種一覧、環境省

参考文献 編集