カサネカンザシ(学名:Hydroides elegans)とは、環形動物門多毛綱ケヤリムシ目カンザシゴカイ科に属する動物の一種。日本にはもともと分布していない外来種

カサネカンザシ
ホタテの貝殻に寄生するカサネカンザシ
分類
: 動物界 Animalia
: 環形動物門 Annelida
: 多毛綱 Polychaeta
: ケヤリムシ目 Sabellida
: カンザシゴカイ科 Serpulidae
: Hydroides
: カサネカンザシ H. elegans
学名
Hydroides elegans
(Haswell, 1883)
和名
カサネカンザシ
英名
Serpulid tubeworm

分布

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北アメリカカリフォルニアメキシコ湾岸)、アゾレス諸島ギリシャ沿岸、ペルシャ湾岸、西太平洋などの世界中の海域に分布する[1]

原産地は不明[2]

特徴

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体長10-40mm[2][3]。白色の石灰質の棲管を形成し、貝類やホヤ、海藻、人工物に群体で固着する。近縁種のエゾカサネカンザシとは、鰓蓋上段の棘の小突起が2-3対であり、襟剛毛の歯の配列が3-5の大歯となり、歯下部に微細突起がある点で区別できる[4]

外来種問題

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日本では1928年の和歌山県の標本が最も古い記録であり、オーストラリアからの船体付着やバラスト水によって導入されたと考えられる[1]。1970年代には太平洋沿岸に、1980年代には日本海沿岸に拡散し、現在では本州から南西諸島のほぼ全域に定着している[1]

瀬戸内海では1969年から1970年代初めにかけて養殖カキに本種が異常に密生したことがあり、こうした貝類・網・ブイの被害額は数十億円に達する[2][3]。また、発電所や工場などの取水施設に大量に付着し、汚損被害を発生させる[2]

同様の被害を発生させる近縁種にはカニヤドリカンザシがいる[3]。また、貝類のムラサキイガイミドリイガイタテジマフジツボなども、日本各地の湾岸を脅かす厄介な外来種である[2]

外来生物法により要注意外来生物に指定されており、日本の侵略的外来種ワースト100にも選ばれている。

参考文献

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  1. ^ a b c カサネカンザシ 国立環境研究所 侵入生物DB
  2. ^ a b c d e 多紀保彦(監修) 財団法人自然環境研究センター(編著)『決定版 日本の外来生物』平凡社、2008年4月21日。ISBN 978-4-582-54241-7 
  3. ^ a b c 村上興正・鷲谷いづみ(監修) 日本生態学会(編著)『外来種ハンドブック』地人書館、2002年9月30日。ISBN 4-8052-0706-X 
  4. ^ 西栄二郎・田中克彦「要注意外来生物としての多毛類カンザシゴカイ類の分類について」(PDF)『神奈川自然誌資料』第27巻、2006年、p.p.83-86、2011年7月9日閲覧