カラタチ(枳殻、枸橘)はミカン科カラタチ属の落葉低木。学名はPoncirus trifoliata。学名の trifoliata は三枚の葉の意でこの複葉から。原産地は長江上流域。日本には8世紀頃には伝わっていたとされる。

カラタチ
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カラタチ
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ類 Rosids
: ムクロジ目 Sapindales
: ミカン科 Rutaceae
: カラタチ属 Poncirus
: カラタチ P. trifoliata
学名
Poncirus trifoliata
和名
カラタチ

名称編集

和名カラタチの名は唐橘(からたちばな)が詰まったものである。別名でもカラタチバナともよばれる[1]。中国植物名(漢名)は、枸橘(くきつ)という[1]

特徴編集

中国原産[2]日本へは古くに渡来し、生け垣などに植栽されている[2]柑橘類の中でも最も耐寒性が強く、やせた土地にも耐えて生育できる[2]

落葉低木[2]、樹高は2 - 4メートル (m) 程。は緑色で稜角があり、3センチメートル (cm) にもなる鋭い刺が互生する[2]。この刺は葉の変形したもの、あるいは枝の変形したものという説がある。

は互生し、3小葉複葉で、葉柄に翼がある[2]。小葉は4 - 6 cm程の楕円形または倒卵形で、周囲に細かい鋸状歯がある。葉はアゲハチョウの幼虫が好んで食べる。

花期は春で、葉が出る前に3 - 4 cm程の5弁の白いを咲かせ、芳香がある[2]。花のあとには、径3 - 4 cmの球形で軟毛がある緑色の果実をつけ、秋には熟して黄色くなる[2]。果実には種子が多く、また強い酸味と苦味があるため食用にならない[2]

変種として、枝やトゲが湾曲するヒリュウや、枝やトゲの湾曲がヒリュウよりもさらに激しく成長も極めて緩慢な「香の煙」が存在する。どちらの品種も「雲龍カラタチ」の名前で販売されていることが多い。

利用編集

鋭い刺があることから外敵の侵入を防ぐ目的で生垣によく使われた。しかし住宅事情の変化などからこの刺が嫌われ、また生垣そのものが手入れの面倒からブロック塀などに置き換えられたため、1960年代ころからカラタチの生垣は減少した。

日本ではウンシュウミカンなどの柑橘類を栽培するときに台木として使われる。病気に強いことや、早く結実期に達することなどの利点があるが、ユズナツミカンの台木にくらべると寿命が短いという欠点もある。

果実は果実酒の材料として使われる。

未成熟の果実を乾燥させたものは、枳殻(きこく)とよばれる生薬であるが[2]、中国薬物名では枳実(きじつ)ともよんでいる。成熟果実の場合は、中国薬物名で枳殻とよんでいる[1]。枳殻は、漢薬本来はナツミカンで、ミカンの大型の未熟果であるという説もある[2]。また、日本ではカラタチ果実の生薬のことを枳実(きじつ・きじゅつ)と呼んで通用もしているが、これは日本での誤用でカタタチの漢名にあてたものだとする説がある[2]。カラタチの漢名は「枸橘」と書く[2]

カラタチ果実からつくる生薬は、果実を採って、輪切りで天日干しして調製したもので[2]、芳香性の健胃作用、利尿作用発汗作用、去痰作用があるとされ[2]、未熟果よりも成熟果のほうが作用が穏やかである[1]。乾燥が不十分だと吐き気が出る恐れがある[1]。使い方は、生薬1日量2 - 10グラムを水400 ccで半量になるまで煎じて、1日3回に分けて服用する用法が知られている[1][2]。胃腸の熱を冷ます薬草で、妊婦、冷え性、虚弱体質に人への服用は禁忌とされる[1]。民間では、皮膚を美しく保つ効果もあるとされており、果実や枝葉を随時浴湯料として風呂に入れると、皮膚をきれいにして、体を温め、発汗、去痰を促すといわれている[2]

オレンジとカラタチの細胞融合による雑種に「オレタチ」がある[3]

近年の研究により、カンキツトリステザウイルス(CTV)に対する免疫性を有する機能性成分の一つである、オーラプテンを高濃度に含有することが明らかになっている。オーラプテンはその他にも発ガン抑制作用や抗炎症作用、脂質代謝改善効果やメタボリックシンドロームに伴う炎症反応の緩和効果等を持つ[4][5]

カラタチを題材にした作品の例編集

脚注編集

  1. ^ a b c d e f g 貝津好孝 1995, p. 20.
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 馬場篤 1996, p. 40.
  3. ^ 農研機構果樹研究所「カンキツ『カラタチ・オレタチ』」2013年6月27日閲覧
  4. ^ カラタチのカンキツトリステザウイルス抵抗性と連鎖するDNAマーカー”. 果樹の育種素材開発のための遺伝子の機能解析及びDNA利用技術の開発. 農研機構 (2006年). 2017年10月23日閲覧。
  5. ^ Ohta, Satoshi; Endo, Tomoko; Shimada, Takehiko; Fujii Hiroshi (2011). Shimizu, Tokuro; Kuniga, Takeshi; Yoshioka, Terutaka; Nesumi, Hirohisa; Yoshida, Toshio; Omura, Mitsuo. “PCR Primers for Marker Assisted Backcrossing to Introduce a CTV Resistance Gene from Poncirus trifoliata (L.) Raf. into Citrus”. Journal of the Japanese Society for Horticultural Science (Japanese Society for Horticultural Science) 80 (3): 295-307. オリジナルの2017年10月23日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20171023003356/http://ci.nii.ac.jp/naid/130004510722 2017年10月23日閲覧。. 

参考文献編集

  • 貝津好孝『日本の薬草』小学館〈小学館のフィールド・ガイドシリーズ〉、1995年7月20日、20頁。ISBN 4-09-208016-6
  • 馬場篤『薬草500種-栽培から効用まで』大貫茂(写真)、誠文堂新光社、1996年9月27日、40頁。ISBN 4-416-49618-4