カンムリセイラン(冠青鸞、Rheinardia ocellata)は、キジ目キジ科カンムリセイラン属に分類される鳥類。本種のみでカンムリセイラン属を構成する[1]。ただしマレーシア亜種を別種(R. nigrescens)とする見解もある[2]

カンムリセイラン
カンムリセイラン
カンムリセイラン Rheinardia ocellata
保全状況評価
CRITICALLY ENDANGERED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: キジ目 Galliformes
: キジ科 Phasianidae
: カンムリセイラン属 Rheinardia
: カンムリセイラン R. ocellata
学名
Rheinardia ocellata (Elliot, 1882)
和名
カンムリセイラン
英名
Crested argus
Crested argus pheasant

分布 編集

  • R. o. nigrescens マレーカンムリセイラン

マレーシアクランタン州南部、パハン州北部)

  • R. o. ocellata

ベトナム中部、ラオス

形態 編集

全長オス150-235cm、メス74-75cm。翼長オス35-40cm、メス32-35cm。頭頂から後方へ羽毛が伸長(冠羽)する。尾羽の数は12枚。頭部は灰褐色、顔は白い羽毛で被われる。後頸は赤褐色や白い羽毛が伸長する。胴体は褐色の羽毛で被われ、淡褐色の斑紋が入る。尾羽基部の上面を被う羽毛(上尾筒)や尾羽の色彩は淡灰色で、羽毛の外縁が灰褐色で白や褐色の斑点が点在する。翼の色彩は褐色で、淡褐色の斑紋が入る。

虹彩は褐色。嘴の色彩はピンク色。後肢に蹴爪がない。後肢の色彩は黒褐色で、ピンク色を帯びる個体もいる。卵は長径6.5cm、短径4.6cm。卵を覆う殻はピンク色を帯びた淡褐色で、褐色の斑点が入る。

オスは冠羽がより長い。尾羽は非常に長く、170cmに達する。メスは全身が暗色で、尾羽に暗色の横縞が入る。

  • R. o. nigrescens マレーカンムリセイラン

冠羽がより長い。

生態 編集

基亜種は標高約1,900m、亜種マレーカンムリセイランは標高700-1,200mにある森林に生息する。

食性は動物食傾向の強い雑食で、主に昆虫を食べるが、陸棲の貝類、植物の芽、葉、果実種子コケ植物なども食べる。

繁殖形態は卵生。婚姻形態は一夫多妻。飼育下では地面に卵を産んだ例がある。2-7月に1回に2個の卵を産む。抱卵期間は25日。

人間との関係 編集

鳳凰は本種がモデルになったとする説もある。

開発による生息地の破壊、羽毛目的の乱獲などにより生息数は激減している。亜種マレーカンムリセイランは生息地がタマン・ネガラ国立公園に指定されているため、国立公園内の生息数は安定していると考えられている。

関連項目 編集

参考文献 編集

  • 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ4 インド、インドシナ』、講談社2000年、88-89、174頁。
  • 黒田長久、森岡弘之監修 『世界の動物 分類と飼育10-I (キジ目)』、東京動物園協会、1987年、122-123、178頁。

外部リンク 編集

脚注 編集

  1. ^ 黒田長久、森岡弘之監修 『世界の動物 分類と飼育10-I (キジ目)』、東京動物園協会、1987年、122-123、178頁。
  2. ^ G. W. H. Davison et al. 2020 Species rank for Rheinardia ocellata nigrescens (Phasianidae). The Bulletin of the British Ornithologists' Club.140(2): 182-194.