ガ
ガ(蛾)とは、節足動物門・昆虫綱・チョウ目(鱗翅目、ガ目とも)に分類される昆虫のうち、チョウ(具体的にはアゲハチョウ上科、セセリチョウ上科、シャクガモドキ上科)を除いた分類群の総称。
ガ(蛾) | ||||||||||||
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分類 | ||||||||||||
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英名 | ||||||||||||
moth | ||||||||||||
科 | ||||||||||||
多数(本文参照) |
日本にはチョウ目の昆虫が6000種程度知られているが、「チョウ」と呼ばれるものは250種類にすぎず、他はすべて「ガ」である。世界全体で見ると、ガの種類数はチョウの20 - 30倍ともいわれている。しかし両者に明確な区別・線引きはない(チョウ目参照)。
特徴
編集視覚
編集目の表面には200nmの六角形の突起が300nm間隔で並んでおり、光の反射を防止する効果がある。この構造は「モスアイ(Moth Eye)構造」と呼ばれている[1]。これは夜の行動に有利な構造であり、バイオミメティクスにより反射防止構造として利用されている[2]。
行動
編集夜に行動する種類が多いが、サツマニシキ(マダラガ科)などのように派手な体色を持ち昼間に行動するものもいる。
光に近寄る正の走光性がある。
変態
編集成長段階は、卵 - 幼虫 - 蛹 - 成虫という完全変態をおこなう。幼虫は外見や行動によってイモムシ、ケムシ、シャクトリムシ、ミノムシなどと呼ばれる。
蛹になる前に糸を吐いたりして繭(マユ)を作る種類が多く、カイコガなどはその糸が人間に利用される。 ただしスズメガ科の多くの種類など、繭を作らずに土中でさなぎになるものもいる。
成虫の形態特徴
編集成虫の4枚の翅は鱗粉や毛でおおわれる。ただしオオスカシバ(スズメガ科・羽化後に鱗粉を落としてしまう)などの例外がいる。
成虫の触角は先端がふくらまず、糸状や羽毛状の種類が多い。 メスの羽が退化している蛾も存在する(アカモンドクガ、フユシャク亜科)。
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成虫の蛾の特徴
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アカモンドクガ。上がオスで、下がメス。
食性
編集幼虫は植物食のものが多いが、様々な食性を持つものがある。例えば主にヒグラシなどセミの仲間に寄生するセミヤドリガ、コナラやクヌギに穿孔し樹液に集まる虫を捕食するボクトウガ、普段は植物食だが機会的にイモムシなどを捕食するオオタバコガ、ミツバチの巣を専食するハチノスツヅリガ、チョコレートなども含む乾燥子実類を食うノシメマダラメイガ、乾燥羽毛・獣毛を食うイガなどがいる。変わった食性の物としては陸貝を専食する Hyposmocoma molluscivoraが知られている。
成虫の口はストロー状に細長く伸びており口吻と呼ばれる。花の蜜や樹液、果汁など水分を吸うのに適している。ただしカイコガやミノガなどの成虫は口が退化していて、幼虫時代に蓄えた栄養分だけで活動する。また、コバネガなどでは咀嚼可能な口器を持ち、花粉などを食べる。
特徴的な蛾
編集人間との関係
編集害虫
編集農業や衣類などで害虫となる。
食用
編集カイコガは、繭から衣類がつくられる。また食用ともなる。
オーストラリアの先住民のアボリジニは、ボゴン・モスをスープにしたり火で焼いて食べていた[4]。
アフリカでは、モパネワームが食用とされる。
動物・植物との関係
編集多くの動物から餌とされる。コウモリなどが捕食するが、ヒトリガ科の蛾は音を発して、超音波で蛾の位置を割り出すエコーロケーションを妨害する[5]
脚注
編集- ^ 光を反射しない蛾の目 - 東北大学大学院環境科学研究科ネイチャーテクノロジーデータベース
- ^ “蛾の目”を参考にしたフェイスシールド、シャープが発売 液晶パネルの技術活用、映り込み大幅減 - ITmedia
- ^ “中国南部の大桂山で世界最大のガ類、ヨナグニサンが発見:時事ドットコム”. 時事ドットコム. 2024年10月13日閲覧。
- ^ “オーストラリアでガが大量発生、対策は「ガのスープ」?”. www.afpbb.com (2007年10月11日). 2024年10月13日閲覧。
- ^ “Some Moths Escape Bats By Jamming Sonar”. NPR (17 July 2009). 10 August 2017時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年10月13日閲覧。
- ^ 三宅, 崇「蛾による送粉系における化学生態学」1997年、doi:10.18960/seitai.47.3_275。