ガラス繊維(ガラスせんい、glass fiber)は、ガラス融解、牽引して繊維状にしたものである。

ガラス繊維

ガラス繊維は、「グラスウール(短繊維)」と「グラスファイバー(長繊維)」の2種類に区分される。

グラスウール(短繊維)は高い断熱性と不燃性から住宅などの断熱材として用いられる。

グラスファイバー(長繊維)は、ポリマー炭素繊維などの他の繊維と同等水準の機械的特性であるため、繊維強化プラスチックの一種であるガラス繊維強化プラスチック(GFRP)として使われる。 軽量であるが高い強度を持つことから構造材として使用される。炭素繊維に比べると剛性は劣るが、非常に安価である。

繊維状にして使われる場合、一般のアルカリガラスでは表面の劣化による強度の低下が著しいため、原料として使用されるガラスには、石英ガラスなどの無アルカリガラスが使われる。ただしグラスウール用途では一般のガラスも使用可能である。 ガラス繊維は、ペレーの毛のように天然にも存在する。

用途編集

ガラス繊維の主な用途はプリント基板繊維強化プラスチック (FRP) である。プラスチックにガラス繊維を混合して固めることで、プラスチック単体では得られない高い強度と靱性を持つ軽量な材料を得ることが出来る。ただし、強度については経年劣化が生じ、使用開始後3 - 5年程度でも破損することがあるので、スポーツ用具ヘルメットなど人命に関わる用具に使用する際には注意が必要である。なお、「グラスファイバー」と書いた場合、暗にガラス繊維強化プラスチックを指すことがある。

かつては高価な素材であったが、日本では1970年代後半頃から建築用の採光屋根材や、小型船舶ハル(船体)釣り竿など、広く民生品に普及し始めた。ガラス繊維を綿状や板状に加工して耐熱断熱材(商品名 グラスウール)として使われる他、スタッドレスタイヤのひっかき材としても使用されている。また、繊維としては引張強度が比較的高いとされ、膜構造建築物などにも利用されている。その際、ガラス繊維単独では耐候性が不十分であるため、コーティングが施されることが多い。

特性編集

熱的性質 ガラス繊維を織った布地は、重量に対する表面積の割合が大きいため、断熱材として優れている。 空気を閉じ込めたグラスウールは、0.05W/(m・K)程度の熱伝導率を持つ優れた断熱材となる。

機械的性質 ガラス繊維は微細なクラックや表面欠陥悪化の原因になる水分を吸着しやすい。表面の傷は靭性に大きく影響する。 炭素繊維とは対照的に、ガラスは破断するまでの伸びが大きい。 細い繊維ほど延性が大きい。 アモルファス構造となっている。

安全性編集

無機繊維であることからアスベスト同様の健康被害が懸念されており、ドイツなどでは法的使用制限を設けようという動きも見られる。しかし、国際がん研究機関発癌性評価によれば、断熱材に使用されるグラスウール、FRPなどに使用される長繊維については区分3(発がん性に分類できない)に分類されており、安全性は高いとされている。フィルターとして用いられる特殊用途ガラス繊維(直径 0.1 - 1μm 程度の極細繊維)については区分2B(発がん性があるかもしれない)に分類されているが、これはグラスウールやFRP用の繊維とは全く異なるものである。

製造方法編集

①溶融 製造方法は、直接溶解法とマーブルメルト法の二種類に分けられる。どちらも原材料が固体の状態でスタートし、原料を混合し炉で溶融する。 前者はの中で溶けたガラスが直接ブッシングに送られて形成される。 後者は溶融した材料をカットして、一度ビー玉状にして圧延と冷却の後、繊維製造工場に運ばれて再溶解し、ブッシングに押し出され、繊維状に成形される。

②繊維形成 ブッシングはファイバーグラス製造における最も重要な工程である。ブッシングプレートやノズルが生産性に大きく影響する。 (ブッシングプレートやノズルについては英文ページが詳しい)

③A-フィラメント(長繊維)の製法 フィラメントを製造する際には、繊維を引き伸ばした後、サイジング(繊維への糊づけ)をする。 サイジングによりボビンに巻き取られる際に繊維に傷が入るのを防ぐほか、最終用途毎に適したサイジング方法がある。複合材に使用する場合に特定の樹脂との親和性を高めるサイジングもある。その後、約1km/分で巻き取る。

③B-ステープル(短繊維)の製法 ステープルの製造は、形成機を出した後、熱や蒸気で繊維を破壊し、遠心力などでわた状にする。

関連項目編集

外部リンク編集