幾何学において、キーペルト円錐曲線(キーベルトえんすいきょくせん)とは三角形に関する2つの円錐曲線の総称である。一つはキーペルト双曲線(:Kiepert Hyperbola)、もう一つは キーペルト放物線(:Kiepert parabola)である。

三角形に対して3つの二等辺三角形を三角形, , を同じ向きに相似になるよう作る。このとき三角形 配景的で配景の中心の軌跡をキーペルト双曲線、配景の軸の包絡線をキーペルト放物線と言う。

キーペルト双曲線は3頂点、重心垂心を通る円錐曲線、キーペルト放物線はオイラー線とX(110)をそれぞれ準線、焦点とする放物線としても定義できる[1]。R. H. Eddy と R. Fritscは論文で、キーペルト円錐曲線について以下の様に言及している[2]

"もし火星からの旅行客が三角形の幾何学を学びたいと望んでも、地球の比較的密度の高い大気圏に滞在できるのは一授業分の時間だけだとしたら、地球の数学者は間違いなくこの要求に応えるのに苦労するだろう。本稿では、この問題に対する最適解があると考える。 キーペルト円錐曲線である。"

キーペルト双曲線 編集

詳しくは「キーペルト双曲線」を参照

キーペルト双曲線は、1869年ルードヴィヒ・キーペルトが、1868年のエーミル・ルモワーヌの "三角形の辺に正三角形を外接させたときの頂点がつくる三角形" という問題の解法として示した双曲線である[2]

 を各辺の長さ  を角の大きさとする。

座標 編集

キーペルト双曲線は重心座標   で以下のように表される。

 

中心と漸近線 編集

  • キーペルト双曲線は X(115)でその重心座標は以下の式で与えられる。
 .
  • キーペルト双曲線の漸近線はブロカール軸シムソン線である。
  • キーペルト双曲線は直角双曲線で、その離心率は である。

性質 編集

  • X(115)は九点円上にある。また第一、第二フェルマー点の中点である。
  • ブロカール軸上の点の等角共役点 の軌跡である。
  • 正三角形でない三角形 と点 について、  三線極線とする。 がオイラー線に垂直であるような の軌跡はキーペルト双曲線である。

キーペルト放物線 編集

キーペルト放物線は1888年、ドイツの数学教師「Augustus Artzt」が"school program"の中で研究した放物線である[2][3]

  • キーペルト放物線は重心座標   で以下のようにあらわされる。
 

ただし

 .
  • キーペルト放物線の焦点X(110)の重心座標は以下の式で与えられる。
 

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関連項目 編集

出典 編集

  1. ^ a b c X(110)=Focus of Kiepert Parabola”. Encyclopedia of Triangle Centers. 2022年2月4日閲覧。
  2. ^ a b c Eddy, R. H. and Fritsch, R. (1994). “The Conics of Ludwig Kiepert: A Comprehensive Lesson in the Geometry of the Triangle”. Math. Mag. 67 (3): 188–205. doi:10.1080/0025570X.1994.11996212. 
  3. ^ Sharp, J. (2015). “Artzt parabolas of a triangle”. The Mathematical Gazette 99 (546): 444–463. doi:10.1017/mag.2015.81. 
  4. ^ Weisstein, Eric W.. “Kiepert Parabola” (英語). mathworld.wolfram.com. 2024年3月27日閲覧。

外部リンク 編集

  • Weisstein, Eric W.. “Kiepert Hyperbola”. MathWorld--A Wolfram Web Resource.. 2022年2月5日閲覧。