クロヤマアリ

アリの一種

クロヤマアリ(黒山蟻、Formica japonica)は、ヤマアリ亜科クロヤマアリ属に属する種。

クロヤマアリ 
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: ハチ目(膜翅目) Hymenoptera
亜目 : ハチ亜目(細腰亜目) Apocrita
上科 : アリ上科 Formicoidea
: アリ科 Formicidae
亜科 : ヤマアリ亜科 Formicinae
: ヤマアリ属 Formica
亜属 : クロヤマアリ亜属 Formica
: クロヤマアリ Formica japonica
学名
Formica japonica
Motschoulsky, 1866
和名
クロヤマアリ
英名
-

草原など日当たりの良い土の露出したところに、深さ1メートルほどになる巣を作る。主にアリマキの出す甘露や花の蜜、昆虫の死骸などを食べるが、花びらやツクシの穂を食べる姿も見られている。関東型と関西型に大別され、関東型は1つの巣に1匹の女王が居るが、関西型は複数の女王が同じ巣で暮らしている。公園などの身近な場所にも巣を作り、数も多いために日本ではかなり身近なアリの1つである。

なお現在、日本各地の個体の体表炭化水素を比較検討した結果、日本のクロヤマアリは地域によって形態的に識別困難な4種からなる種群(クロヤマアリ隠蔽種群 )であると判断された[1]

形態 編集

働きアリは体長4 - 6 mmになり、女王アリは10 mmほどの光沢のない灰、または褐色がかった黒色をしている。

乾燥した土壌に営巣する。クロオオアリハヤシクロヤマアリと似ているが、クロオオアリは側方から見て前・中胸背縁は緩やかな弧を描くのに対し、本種は側方から見た胸部の背縁が二山となるので容易に区別できるうえ、本種の方が身体が小さいので素人目でも区別は可能である。ハヤシクロヤマアリは本種より少し光沢がある。

分布 編集

ほぼ日本全国に分布しており、日本以外ではサハリン千島東シベリアモンゴル中国朝鮮半島台湾などでも見られる[2]

天敵 編集

同じヤマアリ亜科のサムライアリは本種の巣を襲い、働きアリや蛹などをさらって奴隷とすることで知られている。また、サムライアリの新女王はクロヤマアリの巣に単身で侵入し、その巣の女王を殺して巣を乗っ取る[3]

脚注 編集

  1. ^ 寺山 守・久保田 敏・江口 克之『日本産アリ類図鑑』、朝倉書店 2014年 7月20日、187・188頁
  2. ^ JAnt: クロヤマアリ (Formica japonica)の解説
  3. ^ 巣を乗っ取る女王アリ | 日経サイエンス

関連項目 編集