サーチャーズ (The Searchers) は、イギリスリヴァプール出身のロックバンド1960年代ブリティッシュ・インヴェイジョン期を支えたバンドの一組でもある[2]

ザ・サーチャーズ
基本情報
出身地 イングランドの旗 イングランド リヴァプール
ジャンル
活動期間 1959年 - 2019年
レーベル
公式サイト www.the-searchers.co.uk
旧メンバー 別記参照

来歴 編集

1959年に当時イギリスで流行していたスキッフルのグループとして、ジョン・マクナリー英語版マイク・ペンダー英語版の2人で結成された。すぐにトニー・ジャクソン英語版クリス・カーティス英語版が加入する。グループは当初、ジョニー・サンドン英語版のバックバンドとして活動し、地元リヴァプールのアイアン・ドア・クラブにてレギュラー出演をしていた。バンド名は、西部劇映画『捜索者』に由来する[3]。1961年にサンドンが抜け、グループのリード・シンガーにジャクソンが抜擢された。アイアン・ドア・クラブのレギュラー出演を続けながら、キャバーン・クラブなど、地元リヴァプールにある他のクラブにも出演をしていた。

1962年には、ビートルズと同様に、ドイツハンブルクにあるスター・クラブにも出演している。その時のライヴの模様も、後にアルバムとして発売されている。リヴァプールに戻ってきたサーチャーズは、パイ・レコードの名プロデューサー、トニー・ハッチの目に止まり、1963年にパイ・レコードと契約を結ぶ。

トニー・ハッチをプロデューサーに迎えたサーチャーズは、ドリフターズのカバー曲「スイーツ・フォー・マイ・スウィート」でデビュー。チャートの1位を記録。また同曲を収録しているファースト・アルバムも2位を記録するなど、幸先の良いスタートを切った。プロデューサーのハッチがフレッド・ナイチンゲールという変名を用いて作曲された2枚目のシングル「シュガー・アンド・スパイス英語版」も2位を記録。ジャッキー・デシャノンがオリジナルでソニー・ボノとジャック・ニッチェによって書かれた4枚目のシングル「ピンと針」(全英1位・全米13位)の録音後にジャクソンが脱退。この曲の録音以前にもライヴで演奏し、その時はジャクソンがボーカルをとっていたが、プロデューサーのハッチはペンダーのボーカルを採用。不満が爆発し、当時リーダーだったカーティスに詰め寄り、カーティスとの関係が悪化したため、ジャクソンはサーチャーズを去った。後釜としてフランク・アレンが加入。アメリカにおけるバンド最大のヒットは、カバー曲の「恋の特効薬英語版」(全米3位) だった。

1966年、作曲能力もあったカーティスがソロ活動のためサーチャーズを脱退、後釜としてジョン・ブラントが加入。グループは、フォークロック的な曲も発表している。マルヴィナ・レイノルズ作の「雨に消えた想い(雨を汚したのは誰?)」やP.F.スローン作の「俺で良けりゃ」などは、サーチャーズがフォークロックにも興味を持っていたことを証明した。しかし結果として、アメリカバーズタートルズ等のグループが次々と大ヒットを飛ばしたため、サーチャーズのフォークロック・サイドは忘れられてしまった。

1966年の『ハヴ・ユー・エバー・ラヴ・サムバディ』を最後に、サーチャーズはヒットから見放されるようになった。1969年にジョン・ブラントが脱退しビリー・アダムソン英語版が加入し、1999年まで在籍する。1971年発売の『デスデモーナ』がアメリカのチャートで最高位94位に終わってしまった。

その後も活動を続け、イギリスでのロンドンパンクの爆発後、パブ・ロック周辺のアーティスト達から支援を受け、1978年にSireレコードと契約して7年ぶりにアルバムを発表した。その後も倒産したPyeのカタログでの再発を監修しながら、Pye音源の権利を持つPRTレコードと契約し新曲を発表した。活動が停滞している最中の1985年にペンダーが新バンド結成のため脱退。マクナリーとアレンが中心となって、ペンダーの代わりを務めるスペンサー・ジェームスを加えて活動を行なう。

2013年11月11日、アダムソンがフランスで死去[4]

2018年に解散を発表し、2019年3月31日に行なわれたライブをもって活動を終了[5]

メンバー 編集

在籍期間 メンバー・担当楽器
1957年 - 1959年
1960年 - 1962年2月
1962年2月 - 1964年7月
  • トニー・ジャクソン(ボーカル、ベース)
  • マイク・ペンダー(リードギター、ボーカル)
  • ジョン・マクナリー(リズムギター、ボーカル)
  • クリス・カーティス(ドラムス、ボーカル)
1964年8月 - 1966年4月
  • マイク・ペンダー(ボーカル、ギター)
  • ジョン・マクナリー(ギター、ボーカル)
  • フランク・アレン英語版(ベース、ボーカル)
  • クリス・カーティス(ドラムス、ボーカル)
1966年5月 - 1969年12月
  • マイク・ペンダー(ボーカル、ギター)
  • ジョン・マクナリー(ギター、ボーカル)
  • フランク・アレン(ベース、ボーカル)
  • ジョン・ブラント(ドラムス)
1970年1月 - 1985年12月
  • マイク・ペンダー(ボーカル、ギター)
  • ジョン・マクナリー(ギター、ボーカル)
  • フランク・アレン(ベース、ボーカル)
  • ビリー・アダムソン英語版(ドラムス)
1986年1月 - 1998年11月
1998年11月 - 2010年2月
  • スペンサー・ジェームス(リード・ボーカル、リズムギター、ギターシンセサイザー)
  • ジョン・マクナリー(リードギター、バッキング・ボーカル)
  • フランク・アレン(ベース、バッキング・ボーカル)
  • エディ・ローテ(ドラムス、バッキング・ボーカル)
2010年2月 - 2019年3月
  • スペンサー・ジェームス(リード・ボーカル、リズムギター、ギターシンセサイザー)
  • ジョン・マクナリー(リードギター、バッキング・ボーカル)
  • フランク・アレン(ベース、バッキング・ボーカル)
  • スコット・オタウェイ英語版(ドラムス、バッキング・ボーカル)

タイムライン 編集

ディスコグラフィ 編集

シングル 編集

発売年 タイトル 最高位 初収録アルバム
A面 B面 UK
[6]
US
[7]
AUS
[8]
NOR
[9]
SWE
[10]
GER
[11]
NED
[12]
IRE
[13]
FIN
[14]
イギリス アメリカ
1963 "Sweets For My Sweet" "It's Been All A Dream"
1
28
8
5
44
1
A: Meet The Searchers
B: アルバム未収録
A: Hear! Hear!
B: アルバム未収録
"Sweet Nothin's" "What'd I Say"
48
アルバム未収録 A: The Searchers Meet the Rattles
B: アルバム未収録
"Sugar and Spice" "Saints and Searchers"
2
44
57
6
Sugar and Spice アルバム未収録
1964 "Needles And Pins" "Saturday Night Out"(イギリス盤、アメリカ第2盤)
"Ain't That Just Like Me"(アメリカ第1盤)
1
13
4
8
6
8
1
31
A: It's the Searchers
B(イギリス盤、アメリカ第2盤): アルバム未収録
B: Sugar and Spice
Meet The Searchers
"Süß ist sie"
(ドイツ限定発売)
"Liebe"
未発売 未発売
"Tausend Nadelstiche"
(ドイツ限定発売)
"Farmer John"
未発売 未発売
"Ain't That Just Like Me" "Ain't Gonna Kiss Ya"
61
A: Sugar and Spice
B: Meet The Searchers
Meet The Searchers
"Don't Throw Your Love Away" "I Pretend I'm with You"
1
16
14
3
37
1
24
A: It's the Searchers
B: アルバム未収録
This Is Us
"Someday We're Gonna Love Again" "No One Else Could Love Me"
11
34
48
A: The Searchers' Smash Hits
B: アルバム未収録
アルバム未収録
"When You Walk in the Room" "I'll Be Missing You"
3
35
2
20
4
A: Searchers' Smash Hits Vol. 2
B: アルバム未収録
アルバム未収録
"Love Potion No. 9" "Hi-Heel Sneakers"
3
20
23
A: Meet The Searchers
B: It's the Searchers
This Is Us
"What Have They Done to the Rain" "This Feeling Inside"
13
29
27
13
25
A: The Searchers' Smash Hits
B: Searchers' Smash Hits Vol. 2
A: The New Searchers LP
B: アルバム未収録
1965 "Magic Portion" "Everything You Do"
95
Sounds Like Searchers The New Searchers LP
"Bumble Bee" "Everything You Do"(アメリカ第1盤)
"A Tear Fell"(アメリカ後発盤)
21
13
20
23
"I Don't Want to Go On Without You" "A Tear Fell"
18
"Goodbye My Lover Goodbye" "Till I Met You"
4
52
25
16
7
7
A: Searchers' Smash Hits Vol. 2
B: The Searchers' Smash Hits
No. 4
"Verzeih' My Love"
(ドイツ限定発売)
"Wenn ich dich seh'"
未発売 未発売
"He's Got No Love" "So Far Away"
12
79
14
A: The Searchers' Smash Hits
B: アルバム未収録
Take Me For What I'm Worth
"When I Get Home" "I'm Never Coming Back"
35
アルバム未収録
"Don't You Know Why" "You Can't Lie to a Liar"
Take Me for What I'm Worth
"Take Me for What I'm Worth" "Too Many Miles"
20
76
41
14
25
1966 "Take It or Leave It" "Don't Hide It Away"
31
8
16
5
A: Searchers' Smash Hits Vol. 2
B: アルバム未収録
アルバム未収録
"Have You Ever Loved Somebody?" "It's Just the Way (Love Will Come and Go)"
48
94
85
1967 "Popcorn Double Feature" "Lovers"
55
[注 1]
アルバム未収録
"Western Union" "I'll Cry Tomorrow"
55
[注 1]
19
"Second Hand Dealer"
1968 "Umbrella Man" "Over the Weekend"
1969 "Somebody Shot the Lolipop Man" "Pussy Willow Dragon"
"Shoot 'Em Up Baby" "Suzanna"
"Kinky Kathy Abernathy" "Suzanna"
1971 "Desdemona" "The World Is Waiting for Tomorrow"
94
A: Second Take
B: アルバム未収録
"Love Is Everywhere" "And a Button"
アルバム未収録
1972 "Sing Singer Sing" "Come On Back to Me"
A: アルバム未収録
B: Second Take
"Needles and Pins"(再録版) "When You Walk in the Room"
"Come On Back to Me"
Second Take
1973 "Solitaire" "Spicks and Specks"
"Vahevala" "Madman"
アルバム未収録
1979 "Hearts in Her Eyes" "Don't Hang On"
The Serchers
"It's Too Late" "This Kind of Love Affair"(イギリス盤)
"Don't Hang On"(アメリカ盤)
1981 "Love's Melody" "Changing"(イギリス盤)
"Little Bit of Heaven"(アメリカ盤)
A & B(アメリカ盤): Love's Melodies
B(イギリス盤): アルバム未収録
"Another Night" "Back to the War"
A: Love's Melodies
B: アルバム未収録
1982 "I Don't Want to Be the One" "Hollywood"
アルバム未収録
「—」はチャート圏外、「未」はその国・地域では未発売であることを表す。

スタジオ・アルバム 編集

以下の9作のスタジオ・アルバムが、サーチャーズのカタログを構成する公式作品となる[15]

タイトル 概要 最高位
UK
[16]
GER
[11]
Meet The Searchers
2
20
Sugar and Spice
  • 発売日: 1963年10月16日
  • レーベル: パイ・レコード
  • 規格: LP
5
30
It's the Searchers
  • 発売日: 1964年5月
  • レーベル: パイ・レコード
  • 規格: LP
4
Sounds Like Searchers
  • 発売日: 1965年3月19月
  • レーベル: パイ・レコード
  • 規格: LP
8
28
Take Me for What I'm Worth
  • 発売日: 1965年11月
  • レーベル: パイ・レコード
  • 規格: LP
Second Take
Searchers
Play For Today
  • 発売日: 1981年4月
  • レーベル: サイアー・レコード
  • 規格: LP
Hungry Hearts

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ a b 全英シングルチャートの「Breakers List」での順位。

出典 編集

  1. ^ a b c d e Eder, Bruce. The Searchers Biography, Songs, & Albums - オールミュージック. 2022年9月19日閲覧。
  2. ^ Clash, Jim (2019年6月25日). “The Searchers' Mike Pender On Why The '60s Band Isn't In The Rock And Roll Hall Of Fame, More”. Forbes. Forbes Media. 2022年9月19日閲覧。
  3. ^ The Searchers' Story - The 60s and 70s - Peaks and Troughs”. www.the-searchers.co.uk. 2011年10月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月19日閲覧。
  4. ^ Passings: Billy Adamson, Drummer for the Searchers”. Vintagevinylnews.com. 2013年11月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月19日閲覧。
  5. ^ Perkins, Helene (2018年4月2日). “End of the road for Merseybeat’s The Searchers after nearly 60 years”. Express.co.uk. Express Newspapers. 2022年9月19日閲覧。
  6. ^ Roberts, David (2006). British Hit Singles & Albums (19th ed.). London: Guinness World Records Limited. p. 486. ISBN 1-904994-10-5 
  7. ^ The Searchers Chart History (Hot 100)”. Billboard. 2019年10月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月19日閲覧。
  8. ^ The Searchers Australian Chart History”. Australian Music Report (2021年). 2022年9月19日閲覧。
  9. ^ norwegiancharts.com - Discography The Searchers”. norwegiancharts.com. Hung Medien. 2022年9月19日閲覧。
  10. ^ Hallberg, Eric (1993). Kvällstoppen i P3 (1st ed.). Sweden: Drift Musik. ISBN 91-630-2140-4 
  11. ^ a b Official German Charts”. Offizielle Deutsche Charts. 2022年9月19日閲覧。
  12. ^ Dutch Top 40”. Top40Hitdossier.nl. 2021年2月5日閲覧。
  13. ^ The Searchers Irish Singles”. IRMA. 2022年9月19日閲覧。
  14. ^ Pennanen, Timo (2006). Top 1000. Finland: Avain. ISBN 9789523042780 
  15. ^ Leigh, Spencer (2004). Twist & Shout!. Nirvana Books. ISBN 0950620157 
  16. ^ SEARCHERS | full Official Chart History”. Official Charts Company. 2019年3月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月19日閲覧。

外部リンク 編集

関連項目 編集