ドイツのシュトレン
スライスしたオランダのシュトレン、生地の中央にマルジパンの塊が見える

シュトレン: Stollen)は、ドイツ菓子パンオランダ語ではストル: stol)と言う。国内で広く認知され使われている表記シュトーレンは、ドイツ語発音としては正しくない[1][2]。ドイツとオランダでは伝統的にクリスマスに食べる食品で、その時期に売られるものはクリスマスのシュトレン(: Christstollen, Weihnachtsstollen: kerststol)と言う。

概要編集

一般にシュトレン発祥の地はザクセン州ドレスデンと言われているが、シュトレンの原点となる食べ物の最古の記録は、14世紀の1329年、ナウムブルク(Naumburg)の 当時の司教に贈呈したクリスマスの贈り物であるとされている。ドレスデンでシュトレンの名前が使われるようになったのは、ナウムブルクの記録から150年後である[3]

シュトレンという名前はドイツ語で「坑道」を意味し[2]、トンネルのような形をしていることからこの名前がついた。酵母の入った生地に、レーズンとレモンピール、オレンジピールナッツが練りこまれており、焼き上げたケーキの上には真っ白くなるまで粉砂糖がまぶされている[4]。その形が幼子イエスを産着で包んでいるように見えると言われている[3]

ドイツでは、クリスマスを待つ4週間のアドヴェント待降節)の間、少しずつスライスして食べる習慣がある[5]。フルーツの風味などが日ごとにパンへ移っていくため、「今日よりも明日、明日よりも明後日と、クリスマス当日がだんだん待ち遠しくなる」とされている[6]。フランス東部のアルザス地方でも食べられ、地方の代表的な菓子とされている[7]

ドレスデンでは、クリスマス時期の第2アドヴェント前の土曜日に、巨大なシュトレンがパレードするシュトレン祭(Stollenfest)が開催されている[8][9][10]

日本ではじめて製造・販売したのは福岡の千鳥饅頭総本舗だと言われている[11]

神戸でも親しまれているパン文化を兵庫県内に広げようと、神戸市内外のパン店などが「HYOGOシュトレンの会」を結成した。 「HYOGOシュトレン・フェスト2018」と銘打ち、12月2~24日に販売。なお、ドイツでは作り方に基準が設けられていることにならい、「HYOGOシュトレン」として小麦粉に対してバターは30%以上、ドライフルーツは60%以上を使用し、マーガリンは使わないという基準を設けた。[12]

日本への伝来は500年近く前とされ、隠れキリシタンの間で細々と伝わっていた。[13]

ドイツで作られる主なバリエーション編集

  • マンデルシュトレンMandelstollen):アーモンドパウダーなどを練りこんだもの
  • マルジパン / ペルシパンシュトレンMarzipanstollen / Persipanstollen):マジパン、もしくはペルシパンを練りこんだもの
  • モーンシュトレンMohnstollen):ケシの実を練りこんだもの
  • ヌッスシュトレンNussstollen):各種ナッツを練りこんだもの
  • ブターシュトレンButterstollen):外側にバター、中にレーズン・アーモンド・ドライフルーツを練りこんだもの
  • クワルクシュトレンQuarkstollen):クワルクチーズ、フレッシュチーズなどのチーズ製品を練りこんだもの
  • ドレスデン式シュトレンDresdener Christstollen):ブターシュトレンの一種。2010年にEUから地理的表示認証を受けた。保護組合に加盟するドレスデンおよびその近郊の製造者が、一定の製造基準を満たした場合に限り、ドレスデン式シュトレンの名称を使うことができる。

オランダのシュトレンはほぼ全てが一種のマルジパンシュトレンである。

脚注編集

[ヘルプ]
  1. ^ 清水美穂子『ドイツのクリスマスとシュトレン 2 クリスマスのブランチ/レシピ/シュトーレンorシュトレン?』All About、2002年12月11日。
  2. ^ a b Stollen Duden Wörterbuch、2019年12月23日14時00分(JST)閲覧
  3. ^ a b 注文菓子工房 エルフェン 粉雪まとうシュトレン(Stollen)の研究
  4. ^ ドイツ連邦共和国大使館・総領事館 ドイツのクリスマス・スイーツ
  5. ^ 世界の料理がわかる辞典、講談社。
  6. ^ テレビ朝日「ココイコ」2011年12月3日
  7. ^ シュトーレンに関するエトセトラ』富む手クリスマス、2016年12月11日。
  8. ^ 清水美穂子『ドイツのクリスマスとシュトレン 3 ドレスデンのシュトレン祭/ドイツのパン屋さん』All About、2002年12月11日。
  9. ^ ドイツニュースダイジェスト シュトレンはどこから来たの?
  10. ^ 森本智子『ドイツパン大全』誠文堂新光社、2017年、142頁。ISBN 978-4-416-51731-4
  11. ^ シュトーレン/千鳥屋のクリスマス
  12. ^ 神戸新聞NEXT|総合|シュトーレン初の“日本流”レシピ ドイツでは作り方に法律
  13. ^ 松沢直樹 2019年12月11日の発言

関連項目編集

  • ケルストストル英語版 - オランダにおいて、クリスマスを待つアドベントの時期などに食される菓子パン。英語圏や日本では「シュトレンに似た別の菓子」とされることが多いが、実際には本記事冒頭のようにオランダ語で「クリスマスのシュトレン」という意味であり、シュトレンとほぼ同一の菓子である。
  • ドイツ料理

外部リンク編集

  •   ウィキメディア・コモンズには、シュトレンに関するカテゴリがあります。