スパイダーマンの誕生 (The Origin of Spider-man) は、1967年のテレビアニメ版スパイダーマンの第21話のエピソード。米国では1968年9月14日。旧邦題では、「スパイダーマン誕生(快傑くも人間の誕生)」。

ストーリー 編集

9月の晴れた日の朝、ミッドタウン高校はとても賑やかだった。カップル等が楽しそうに話している中で、サールとムースは考え事をしていた。サールは、ムースに3人の女の子を誘わせてソーダを奢らせる作戦を立てるも失敗(ピースしたのは自分たちのことかと思われるが定かではない)。ムースが退屈していると、平凡な高校生のピーター・パーカーが現れる。ムースは、ピーターを利用して3人の女の子を誘う作戦を立てる。ピーターは科学展示室で放射能実験の見学をしなくてはいけないため、猿とムースの相手をしている暇は無かった。そのとき、ムースにガリ勉とバカにされてしまい、ピーター・パーカーは仕返しを考えた。放射能実験が終わったとき、放射能を浴びたクモがピーターの手に噛みつく。ピーターは熱を出し、外の空気を吸う。

不思議なエネルギーが溢れていき、考えているうちに悪党2人組にぶつかって顔面を殴られてしまう。しかし、痛くも痒くもなく電灯を壊し、悪党らは脱走を図る。ピーターは自分の身体に一体何があったのか疑問を持つと、謎の車が接近してきて思わず飛び出した。するとあら不思議、巨大クモみたいに壁に張り付くことができ、綱渡りもできるようになった。筋力・敏捷も増し、クモ能力を手に入れたピーターは、ベンおじさんとメイおばさんに仮を返すためにアルバイトを目指してウェブシューターと赤と青のコスチュームを作り、テレビ出演を目指す。

その後、自宅で1台のパトカーが止まっているのをピーターが見つけ、警官に「何があったんですか!?」と話しかけた。警察官が「君か・・・。気の毒にな、キミのおじさんが銃で撃たれて亡くなった」と報告を聞き、ピーターは「ベンおじさんが・・・殺された!?」と答えるには「嘘だ・・・、まさかそんな・・・!」と泣き叫ぶ。警官から「犯人は港近くの倉庫に立てこもっている」と聞いたピーターは、「僕がそいつを捕まえてやる!」と怒りを上げてピーターの家の前を去り、バレなさそうな場所でスパイダーマンのコスチュームに着替え、「港近くの倉庫か・・・。あそこは何年も使われてなくて、軍隊だって簡単には入れない場所だけど。でも、スパイダーマンなら関係ないね!」と言って犯人の居場所を突き止める。パトカーが走っているところまで追いつき、街の反対側に警官が言っていた倉庫が見えていき、「さあ、急いで行かなくっちゃ!」と駆け付ける。

そして港近くの倉庫に追いつき、スパイダーマンは犯人と対面する。犯人は壁が壊されたことに驚き、スパイダーマンに銃を向けるとクモの巣を掛けられる。スパイダーマンがクモの巣を出せたり壁を這いまわれることに驚いた犯人は、「こんなのありえない!」と逃げ出す。スパイダーマンは犯人の後を追い、「この世界から逃げられると思ったら大間違いだ、たとえおじさんを殺したとしても・・・!」と怒りながら犯人の頬を殴る。その後、犯人は気絶し、スパイダーマンはその男が自分が逃がした泥棒だと知る。スパイダーマンは、「あのとき泥棒を捕まえていれば、ベンおじさんが殺されることは・・・無かったのに!」と悔しく涙を流す。ベンおじさんが殺されたのは自分の責任とし、「With great power there must also come great responsibility.」という言葉を胸に、そしてスパイダーマンは、「泥棒、殺し屋!覚悟しろ!!スパイダーマンはここだ!」と宣言し、ニューヨーク市民を守るスーパーヒーローとして活躍するのだった。

最後、本編終盤に「こうして伝説は生まれ・・・」がナレーションによって読まれる。

備考 編集

  • 「Amazing Fantasy(1962) #15」の最初のページと「Specutacular Spider-Man (1968)」の「In The Beginning」を基に製作されているが、プロレスに向かう場面は映像化されなかった[1]
  • コミック版ではテレビ出演を果たしているが、この作品では果たさなかった。。
  • 自動車に乗ったサルとムースはアニメオリジナルで、コミック版には登場しない。
  • 当時大人気だった「エド・サリヴァン・ショー」が放送中だったため、「エド・サリヴァン」という有名な司会者の名前がピーターの口から出ていた。
  • 本作のエピソードでは、来週予告(Next Week)で「King Pinned」をアナウンスしている。日本語吹き替え版において、富山敬版では「キングピンを倒せ」だが、田中秀幸版では「暴力団のたくらみ」(予告カット)、森川智之版は不明。
  • 「With great power there must also come great responsibility.」という原文は、コミック版でも使われている。本の邦訳版では「大いなる力には、大いなる責任が伴う」となっていることが多い。

挿入曲 編集

  • 「スパイダーマンのテーマ」
『スパイダーマンなら関係ないね!』と言って飛び出すシーンから歌が入る。

BGMの変更 編集

東京12チャンネル版
  • 日本語版主題歌に差し替え、効果音使い回しかは不明。
ローカル局版
  • 詳細不明。殆ど差し替えと思われるが、Aパート(前編)の終盤は同じBGM。

キャスト 編集

判明分のみ

登場人物 担当声優[2] 日本語吹き替え
東京12チャンネル ローカル局
ピーター・パーカー/スパイダーマン ポール・ソールズ 富山敬 田中秀幸
ベン・パーカー トム・ハーヴェイ 松岡文雄
メイ・パーカー ペグ・ディクソン
サール ポール・ソールズ 塚田正昭
ムース アルフィー・スコップ 納谷六朗
不良A ? 塚田正昭
不良B ? 納谷六朗
教授 ? 八奈見乗児[3]
警官 ポール・クリグマン
ガードマン アルフィー・スコップ 松岡文雄
テレビ局の強盗 マックス・ファーガソン
エド・サリヴァン
※テレビ局の司会者
ナレーション バーナード・コワン 石井敏郎

脚注 編集

  1. ^ プロレスの場面が初めて描写されたのはスパイダーマン&アメイジング・フレンズからで、それ以前の作品には無い。
  2. ^ Spider-man 1967 Staff and Cast”. IMDB. 2023年3月8日閲覧。
  3. ^ 重役も含める

外部リンク 編集