八奈見乗児

日本の声優(1931−2021)

八奈見 乗児(やなみ じょうじ、1931年8月30日[10] - 2021年12月3日)は、日本声優俳優ナレーター[7]中華民国満洲生まれ、福岡県育ち。青二プロダクション所属[5]。本名:白土 繁満(しらと しげみつ)[1][2][11]

やなみ じょうじ
八奈見 乗児
プロフィール
本名 白土 繁満
(しらと しげみつ)[1][2]
愛称 八奈見ちゃん[3]
性別 男性
出生地 中華民国の旗 中華民国満洲撫順市[4]
出身地 日本の旗 日本東京都[5]
生年月日 (1931-08-30) 1931年8月30日
没年月日 (2021-12-03) 2021年12月3日(90歳没)
血液型 A型[6]
職業 声優俳優ナレーター[7]
事務所 青二プロダクション(最終所属)[5]
公式サイト 八奈見 乗児|青二プロダクション
公称サイズ([8]時点)[9]
身長 / 体重 165 cm / 62 kg
活動
活動期間 1960年代 - 2015年
声優テンプレート | プロジェクト | カテゴリ

来歴編集

満州撫順で生まれ、13歳の頃福岡県に引き上げる[4]福岡県立修猷館高等学校卒業後[12][13]、声優を目指して九州RKB毎日放送劇団に所属。しかし「東京でなければ芝居はできない」と思い東京都へ移住。その後、俳協を経て青二プロダクションに所属する[4]

2001年からは『中居正広の金曜日のスマたちへ』のナレーションを務める。

2003年には声優歴40年を迎えた。

2005年には愛・地球博マスコットキャラクター「モリゾー」の声を担当した。2007年11月からキッズステーションで放映された『エレキング the Animation』では主人公のおいさん役を務めた。

2009年3月20日、赤塚不二夫藤子不二雄Aらとともに東京アニメアワード第5回功労賞を受賞している。

2015年9月25日、療養のため、休業を発表[14]。その後、2019年に戸田恵子は自身のブログで八奈見について、健康状態は良好であると共に仕事に関しては勇退していたことを明かしている[15]。休業以降も『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』に関しては飯島愛に関するVTRで例外的にナレーションを継続していた[16]2021年5月7日放送の同番組で青二プロダクション所属の声優が特集された際、出演は無かったものの、顔写真のパネルがスタジオに設置されると共に「金スマナレーター 今回は欠席」とのテロップが表示された。

2021年12月3日22時59分、死去[17][18]。90歳没。訃報は同月14日、青二プロダクションの公式サイトで発表された[19]

人物編集

声種は「渋く朴訥としたバリトン[20]。テレビ創生期から活動している。ユーモラスな演技は「八奈見節」と呼ばれ、独特の台詞回しで知られている(『巨人の星』の伴宙太、『タイムボカン』のグロッキーや『ヤッターマン』のボヤッキーなどに代表される「タイムボカンシリーズ」における三悪の発明家の男などが代表的)[21]

エピソード編集

アドリブ編集

アドリブを考える際にはテスト、ラストテスト、本番で変えて出すほうであり、相手の台詞や突込みで変えて出しているという[4]

「タイムボカンシリーズ」では「ポチッとな」「ハァ〜イ、全国の女子高校生のみなしゃ〜ん」「今週の山場〜っ」「来週から『タイムガイコッツ』が始まるよ〜っ」「イケズ〜」などの台詞を数多く残したが、これらは、ほとんどがアドリブだった。スタッフも心得ていて、シリーズ中盤から後期になると八奈見の台詞部分の尺にわざと余裕を持たせてアドリブを入れやすいようにしていた[注 1]。ほかの番組でこれらの「タイムボカンシリーズ」からの引用がパロディとして登場することもある。田中真弓は八奈見がこれまで演じた役柄に関して、「八奈見さん以外に代わりの人はいない」とも評している[21]

森久保祥太郎は声優として駆け出しのころ、八奈見と共演したとき、「何十歳も年上なのに凄く楽しそうにする」「この仕事は本当に奥が深いんだな」と思ったと語る[22]

役柄など編集

『巨人の星』の伴宙太のオファーが来た際、外国映画で老け役を演じることが多かったため、「10代の役はできない」と一度断ったが、「そのままでやってください」と受けることになったという[4]

インタビューにおいて「『マジンガー』の弓博士は知的キャラクターだった為か収録に苦労した」と語っていた。

タイムボカンシリーズ』にて「自分は3枚目になってしまった」とも語っている[4]

リリー・フランキー原作のアニメ『おでんくん』でだいこん先生役を放送開始の2005年から2009年の最終回まで演じたが、2013年の新作『がんばれ!おでんくん』では八奈見ではなくふくまつ進紗がだいこん先生を演じている。

ドラゴンボール改』の魔人ブウ編を境に、バビディやブリーフといった一部の役を降板し、以降はナレーションと北の界王役に専念していた(バビディ役は島田敏、ブリーフは田中亮一に交代)。その後、療養に伴う休業に入り、『ドラゴンボール超』を降板しており、12話より龍田直樹に交代している[23]

その他編集

顔出しでテレビなどに出演することはほとんどなく、2009年3月に公開された実写版『ヤッターマン』でも、他の三悪を担当した声優(小原乃梨子たてかべ和也)が「どくろ鮨」で騙される客役で出演しているが、八奈見は出演していない[注 2]。『大胆MAP』(テレビ朝日)では顔出しNG、『プロキング』(フジテレビ)では写真のみ公開、『スタア追悼2011 天国への☆ラブレター』(日本テレビ、2011年12月16日放映)では顔出しNGで声だけの出演だった。

母校である修猷館高校出身者の群像が綴られた『修猷山脈』(西日本新聞社編、1971年)のなかで、芸能界において同校出身者がほとんど見当たらないことに対し、「あんなゴッツイ学校から芸能人が出るわけないよ。ぼくなんか不肖のセガレですよ」と苦笑いしたことが記されている[13]

特技はゴルフ[24]

後任編集

八奈見の療養に伴う休業中や降板および死後、持ち役・ナレーションを引き継いだ人物は以下の通り。それ以外にも、八奈見の体調不良時にボヤッキー役を同キャラクターのものまねの第一人者である河村和範が臨時で演じたことがある[25]

後任 役名 作品 後任の初出演 備考
石住昭彦 ライオン / ジーク オズの魔法使 トムとジェリー オズの魔法使
島田敏 バビディ ドラゴンボールシリーズ」 ドラゴンボール改』第107話
田中亮一 ブリーフ 『ドラゴンボール改』第123話
龍田直樹 ナレーション ドラゴンボール超』第12話 [26]
北の界王 『ドラゴンボール超』第14話 [注 3][26]
刀々斎 犬夜叉 半妖の夜叉姫
掛川裕彦 ナレーション 中居正広の金曜日のスマイルたちへ 『金スマ波瀾万丈』 [注 4]
飯塚昭三 マンデマス 最後の猿の惑星』フジテレビ版 WOWOW版追加収録部分
平田広明 三悪の発明家の男 タイムボカンシリーズ CRヤッターマン [注 5]
梅津秀行 ハカセ サルゲッチュ』ゲーム版 プレイステーション オールスター・バトルロイヤル [注 6]
こねり翔 フィルモア カーズ カーズ/クロスロード [27]
市川猿之助 ガン・フォール ONE PIECE ONE PIECE エピソードオブ空島
佐藤正治 第967話
浦山迅 アイラ ロマンシング・ストーン 秘宝の谷』テレビ朝日版 WOWOW版追加収録部分

出演編集

太字はメインキャラクター。

テレビアニメ編集

1963年
1965年
1966年
1967年
1968年
1969年
1970年
1971年
1972年
1973年
1974年
1975年
1976年
1977年
1978年
1979年
1980年
1981年
1982年
1983年
1984年
1985年
1986年
1987年
1988年
1989年
1990年
1991年
1992年
1993年
1994年
1995年
1996年
1997年
1998年
1999年
2000年
2001年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年

劇場アニメ編集

1966年
1967年
1969年
1970年
  • 巨人の星 大リーグボール(伴宙太[86]
  • 巨人の星 宿命の対決(伴宙太[87]
1971年
1972年
1973年
1974年
1975年
1976年
1977年
1978年
1979年
1980年
1981年
1982年
1983年
1984年
1985年
1986年
1987年
1988年
1989年
1990年
1991年
1992年
1993年
1994年
1995年
1996年
1997年
1998年
2001年
2002年
2003年
2005年
2008年
2009年
2013年

OVA編集

1984年
1985年
1986年
1987年
1988年
1989年
1991年
1992年
1993年
1996年
1999年
2000年
2001年
2002年
  • 魔法のスターマジカルエミ 雲光る(中森洋輔)
2006年
2008年
2010年
2011年

ゲーム編集

1988年
1992年
1993年
1994年
1995年
1996年
1997年
1998年
1999年
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
2013年
2015年

吹き替え編集

映画編集

ドラマ編集

アニメ編集

人形劇編集

テレビドラマ編集

特撮編集

1971年
1972年
1973年
  • ロボット刑事(ワッカマンの声、ドクガスマンの声、ガトリングマンの声)
1974年
1975年
1976年
1977年
1984年

ラジオ編集

ドラマCD編集

デジタルコミック編集

CD編集

  • タイムボカン名曲大全
  • タイムボカン王道復古 特訓満漢
  • 天才ドロンボー'08(シングルCD、ドロンボー名義)
  • ドロンボー伝説'08(アルバムCD、ドロンボー名義)
  • Vジャンプラネット 史上最大の歌合戦(エノモト)

ナレーション編集

CM編集

その他コンテンツ編集

関連項目編集

脚注編集

[脚注の使い方]

注釈編集

  1. ^ 似たような逸話が同じくアドリブの鬼として知られる千葉繁にもある
  2. ^ 代わりにアニメ版総監督の笹川ひろしが出演した。
  3. ^ 第12話は過去の収録音声を流用して対応。該当話から龍田が演じることになった。
  4. ^ 元々同番組では1コーナーである「金スマ波瀾万丈」のみの担当だったが、八奈見の降板後は番組全般のナレーターを担当。
  5. ^ デジモンアドベンチャー』では八奈見が演じていたゲンナイの青年期を担当。その続編である『デジモンアドベンチャー tri.』では老人時の声も担当している。
  6. ^ 梅津はテレビアニメ版でのハカセの声を担当していた。

シリーズ一覧

  1. ^ 『マジンカイザー』(2001年 - 2002年)、『死闘!暗黒大将軍』(2003年)
  2. ^ 『ガンバード』(1994年)、『ガンバード2』(1998年)、『ガンバード1&2』(2004年)
  3. ^ 『PCエンジン版』(1995年)、『セガサターン版』(1996年)
  4. ^ 『ボカンと一発!ドロンボー』(1996年)、『完璧版』(1997年)
  5. ^ F』(1997年)、『F完結編』(1998年)、『α』(2000年)、『α for Dreamcast』(2001年)
  6. ^ 『MX』(2004年)、『MX ポータブル』(2005年)
  7. ^ 『DS ビックリドッキリ大作戦だコロン』『DS 2 ビックリドッキリアニマル大冒険』(2008年)
  8. ^ 『レイジングブラスト』(2009年)、『レイジングブラスト2』(2010年)

出典編集

  1. ^ a b 『テレビ・タレント人名事典』(第2版)、1995年7月、893頁。ISBN 4-8169-1315-7 
  2. ^ a b 『声優名鑑』成美堂出版、1999年8月、669頁。ISBN 4-415-00878-X 
  3. ^ 野沢雅子「第6章 素晴らしき声優仲間」 『ボクは、声優。』オプトコミュニケーションズ、1995年11月、175-176頁。ISBN 978-4-072-17886-7 
  4. ^ a b c d e f 神谷 1993, pp. 275–289, 「八奈見乗児」.
  5. ^ a b c 八奈見 乗児|株式会社青二プロダクション”. 2020年1月18日閲覧。
  6. ^ 八奈見 乗児”. seigura.com. 2020年1月18日閲覧。
  7. ^ a b 八奈見 乗児”. タレントデータバンク. 2019年1月18日閲覧。
  8. ^ 『日本タレント名鑑(2011年版)』VIPタイムズ社、2011年1月27日、385頁。ISBN 978-4-904674-02-4 
  9. ^ 八奈見 乗児 (PDF)”. 青二プロダクション公式サイト. 青二プロダクション. 2012年12月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年2月15日閲覧。
  10. ^ 八奈見乗児について 映画データベース - allcinema”. 2020年1月18日閲覧。
  11. ^ a b c 掛尾良夫 編「男性篇」 『声優事典 第二版』キネマ旬報社、1996年3月30日、305頁。ISBN 4-87376-160-3 
  12. ^ 『修猷館同窓会名簿 修猷館235年記念』「同窓会員」89頁
  13. ^ a b 『修猷山脈』(西日本新聞社、1971年) 129頁
  14. ^ “界王さまの声優・八奈見乗児さんが療養のため「ドラゴンボール超」降板 復帰は今後の状況を鑑みて”. ねとらぼ. (2015年9月25日). https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1509/25/news138.html 2021年7月27日閲覧。 
  15. ^ 戸田恵子 (2019年8月12日). “おうかがい。”. Ameba Blog. サイバーエージェント. 2021年1月5日閲覧。
  16. ^ 江戸前ライダー (2021年4月26日). “『金スマ』声優SP、あのスーパーレジェンドも登場か?”. ATLAS. https://mnsatlas.com/?p=68908 2021年7月27日閲覧。 
  17. ^ 声優の八奈見乗児さん死去 『ゲゲゲの鬼太郎』一反木綿や『巨人の星』伴宙太など”. ORICON NEWS. oricon ME (2021年12月14日). 2021年12月14日閲覧。
  18. ^ "「巨人の星」の伴宙太役 声優の八奈見乗児さん死去、90歳". 日刊スポーツ. 日刊スポーツ新聞社. 14 December 2021. 2021年12月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年12月15日閲覧
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  21. ^ a b 『プロキング』[信頼性要検証]
  22. ^ 織田信雄 編「森久保祥太郎」 『ボイスクロニクル 声の年代記』学習研究社、2007年11月1日、75頁。ISBN 978-4-05-604923-7 
  23. ^ 「ドラゴンボール」界王さま&ナレーター声優・八奈見乗児が休養。”. ナリナリドットコム (2015年9月26日). 2022年1月14日閲覧。
  24. ^ 八奈見 乗児”. 日本タレント名鑑. 2022年5月13日閲覧。
  25. ^ 河村 和範 [@kawamura_shachooo] (2021年12月15日). "実は以前に一度だけ、10年以上前ですが、八奈見さんが心臓のご病気でお倒れになった時に急遽東京まで日帰りでボヤッキーの代役を務めさせて頂いた貴重な経験があります。". Instagramより2022年2月28日閲覧
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  33. ^ 新巨人の星”. トムス・エンタテインメント. 2016年6月17日閲覧。
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  111. ^ 前田徹 編「CM」 『タイムボカン全集2 悪の華道』ソフトバンク、1998年6月30日、103頁。ISBN 4-7973-0562-2 

参考書籍編集

  • 神谷明「八奈見乗児」 『みんな声優になりたかった 神谷明と25人の声優たち』主婦の友社、1993年12月、275-289頁。ISBN 978-4-072-14333-9 

外部リンク編集