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ゾック (ZOCK) は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の人型ロボット兵器「モビルスーツ(MS)」の一つ。初出は、1979年に放映されたテレビアニメ機動戦士ガンダム』。

作中の軍事勢力の一つであるジオン公国軍の試作機で、水中と地上の両方で活動可能な水陸両用MSの一つ。前後対称形状の胴体や、3本指の腕部クロー、ホバー推進装置を内蔵した極端に短い脚部など、異形が多い水陸両用機のなかでも特徴的な外観をしている。大型のため地上での機動性は低く、内装火器による砲撃を主戦術としている。

目次

機体解説編集

諸元
ゾック
ZOCK
型式番号 MSM-10
所属 ジオン公国
製造 ジオン公国軍キャリフォルニア基地
頭頂高 23.9m[1]/23.2m[2]
本体重量 167.6t[1]
全備重量 229.0t[1]/119t[2]
装甲材質 超硬スチール合金[3]
チタン・セラミック複合材[3]
出力 3,849kW[1](180,000馬力[4]
推力 253,000kg[1]
最高速度 地上:40km/h[5]
水中:63kt[1]/29kt[4]
武装 フォノンメーザー砲×1
メガ粒子砲(収束ビーム砲)×8
搭乗者 ボラスキニフ

超大型熱核反応炉を有する重モビルスーツ[6]。生産はキャリフォルニアベースで行われた[7]。一年戦争当時のMSとしては破格のジェネレーター出力と9門ものメガ粒子砲を有するが、その代償として機体は肥大化した[8]。敵の包囲攻撃に対処するために前後対称構造を採用したとされるが、その一方でこの措置は重量から機動性が損なわれた事に対するものともされる[6]

MSMシリーズの中でも特異な機体であるゾックは手足こそ有するものの、脚部は大型ロケットエンジンとなっており、二足歩行はできない[9][注 1]。そのため、機体の移動はジャンプ飛行によって行われる[9]。一方で、ジオン公国軍の将兵からは「クチバシ」と呼称される整流殻を有し、速度や軌道に応じて展開角を変更可能。その水中航行時の整流効果は水陸両用MSでも随一である[7]。この特性から、ゾックは局地専用メガ粒子移動砲座とも俗称される。ゾックはモビルアーマー構想確立以前の過渡期に設計された機体であり、小型モビルアーマーとして考えられる機体である。そのため、生産設備はグラブロと同様、艦艇用設備に設けられた[9]。主な任務はミノフスキー粒子の散布下で浮き砲台として機能し、友軍の上陸作戦を支援する事にある[3]

量産化も決定していたが[10]、3機の試作機が作られ、実戦に参加したのはそのうち2号機のみとされている[6]。残る1号機と3号機は、北大西洋艦隊の潜水艦「マンタレイ」に配備された[9]。1号機は輸送中に連邦軍の対潜攻撃機の襲撃を受け、潜水艦ごと失われたとされる。また、3号機は回収されたとする説もあるとされる[7]

武装編集

フォノンメーザー砲 / メガ粒子砲
頭頂部にメガ粒子砲を装備するとした資料[9]フォノンメーザー砲を装備しているとした資料がみられる[1]
また、ジオン公国軍ではフォノンメーザーと呼称されるものの、実装された装備はメガ粒子砲であった、そのうえで実際にフォノンメーザーを装備した機体の存在がうわさされ、詳細不明とした資料もみられる[7]
メガ粒子砲(収束ビーム砲)
8門装備とした資料と、機体前後と頭頂部の計9門装備とした資料が存在する[9]。通常MS2~3機分という反応炉の出力を生かし、ビームライフル並の連射が可能[1]。その弾幕はMS1個中隊に匹敵する[9]。ジェネレーター直結式の兵装[7]
アイアン・ネイル
両腕に装備する斬撃・打突用装備。簡易マニピュレーターとしても機能するほか、砲を発射する際のアンカーとしての運用が推察されている[7]

ゾック(サンダーボルト版)編集

漫画『機動戦士ガンダム サンダーボルト』に登場。

「モビル・フォートレス「ゾック」」と呼ばれる機体が登場。MSM-04「アッガイ」を4機収容している。

劇中での活躍編集

テレビアニメ『機動戦士ガンダム』
テレビ版
第29話にて、ボラスキニフが搭乗。機体を観たシャア・アズナブルに酷評を受けるが、ジャブロー基地の入り口を発見する功績を挙げ、本格的なジャブロー侵攻作戦の発端となっている。最後はシャアの撤退を援護してガンダムに前後と頭頂部のメガ粒子砲を浴びせるが、ことごとくかわされ撃破される。
劇場版
頭部の一部を水面に出して偵察するシーン、および戦闘中にメガ粒子砲を放つ。その後、61式戦車の砲撃で撃破される。撤退するシャアをアムロが追う場面が大幅にカットされたため、ガンダムとの直接の戦闘場面も採用されていない。
漫画 『機動戦士ガンダム
宇宙用高速高機動MAとして登場。キシリア・ザビの命令を受けたマ・クベが搭乗するがガンダムに撃墜される。その際、爆散する機体にドズル・ザビの旗艦が巻き添えにされて爆沈している。
漫画『機動戦士ガンダム0079
テレビ版同様、ジャブロー攻略戦に参加する。最低2機が投入されている。
漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN
ボラスキニフが搭乗し、ベルファストで出撃しているが、すぐに後退する。この際、シャアはもしガンダムの出撃が確認されたら、自らが本機に搭乗する意向だった。その後、大西洋上のホワイトベースと交戦、ウォン伍長のコア・ファイターを撃墜するも、スレッガー中尉のコア・ファイターのミサイル攻撃によって破壊される。
漫画『ロボゾック』安永航一郎・作(サイバーコミックス22に掲載)
戦闘シーンはテレビ版に準ずるが、シャアによって葬り去られたガルマ・ザビの脳が紆余曲折を経てゾックに移植されている。それが覚醒したことでゾックはボラスキニフの操縦を無視してシャアへの復讐に走るが、途中殺気立ったガンダムに撃破される。
漫画『機動戦士ガンダム オレら連邦愚連隊
ジャブロー戦後、敗走を続ける友軍の逃走時間を稼ぐため、連邦軍北米トロント補給基地を襲撃する。2度の防衛作戦を打ち破り、トロント市街にまで到達するものの、教導団ネメシスにより撃破される。
漫画 『アッガイ博士
第2巻で、全MSメーカーの水陸両用MSによる競技会に参加。ボラスキニフがパイロットを務める。ただし、開催時期は地球侵攻作戦直前とされている。
漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST
宇宙での運用が可能となっている。

ゲーム作品への登場編集

機動戦士ガンダム』『機動戦士ガンダム戦記 Lost War Chronicles
デザインがアレンジされたゾックが登場する。4本脚化された脚部や、大型化された両腹部のフェアリングシェルが特徴である。
機動戦士ガンダム 連邦vs.ジオンDX』『機動戦士ガンダム ガンダムvs.Ζガンダム
本機を連邦軍が鹵獲して白を基調に再塗装した、地球連邦軍仕様機が登場する。
機動戦士ガンダムオンライン
ジオン軍の重撃機体として登場する。武装は正面へ攻撃するメガ粒子砲とクローしか存在しない。設定とは違いジャンプ力も一般的なMS以下しかない。攻撃力、アーマーは高いものも、その巨体ゆえの当たり判定の大きさや機動力の低さはゲーム内屈指であり、実質趣味的な機体となっている。カラーリングは赤、青、深緑、白、黒、黄など。
リアルロボット戦線
戦略SLGであるこの作品では背面から攻撃されると反撃できないというシステムだが、「両面表」という特別な機体能力がゾックにのみ設定された。

備考編集

本機の決定稿は、監督である富野由悠季のラフ画とほとんど変わらない。本機のプラモデルガンプラブーム時の1981年に、1/144スケールで発売されている。また、2007年7月にハイグレード・ユニバーサルセンチュリー (HGUC) シリーズでも発売された。これで、ファーストガンダム(テレビ版および映画版アニメ『機動戦士ガンダム』)に登場した全MSが、HGUCでリニューアルキット化された。なお、現在に至るまでマスターグレード (MG) 化はされておらず、ファーストガンダム登場MSで1/100スケールの商品化がされていないのは、本機のみである。

脚注編集

注釈編集

  1. ^ 簡易的な歩行装置を持つとした資料もみられる[3]

出典編集

  1. ^ a b c d e f g h 『ENTERTAINMENT BIBLE .1 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.1 一年戦争編】』バンダイ、1989年2月20日、56-57頁。(ISBN 4-89189-006-1)
  2. ^ a b 『テレビマガジン』1981年3月号付録『機動戦士ガンダム大事典』下巻(講談社)
  3. ^ a b c d 「115 ゾック」『機動戦士ガンダム MSV コレクションファイル[地球編]』講談社、2000年6月。ISBN 978-4063465518
  4. ^ a b 『講談社ポケット百科シリーズ15 ロボット大全集1 機動戦士ガンダム』(1981年)
  5. ^ 『講談社のポケットカード8 機動戦士ガンダム モビルスーツコレクション』(1982年)
  6. ^ a b c ガンダムセンチュリー』みのり書房、1981年9月、銀河出版、2000年3月(復刻版)、39頁。ISBN 4-87777-028-3
  7. ^ a b c d e f 『HGUC 1/144 ゾック』バンダイ、2007年7月、組立説明書。
  8. ^ 皆河有伽『総解説ガンダム辞典Ver1.5』講談社、2009年8月、187頁、ISBN 978-4063757958
  9. ^ a b c d e f g 『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション(2) ジオン軍MS・MA編』講談社、1984年4月30日、2006年7月(復刻版)、116-118頁。ISBN 978-4063721768
  10. ^ 『模型情報・別冊 MSバリエーション・ハンドブック2』バンダイ、1983年5月、11頁。