テルシオペロ(学名:Bothrops asper)は、クサリヘビ科ヤジリハブ属に分類されるヘビ。有毒。別名テルキオペレチュウオウアメリカハブ。「究極のピットバイパー」と呼ばれることもある。

テルシオペロ
テルシオペロ Bothrops asper
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
: 有鱗目 Squamata
亜目 : ヘビ亜目 Serpentes
: クサリヘビ科 Viperidae
亜科 : マムシ亜科 Crotalinae
: ヤジリハブ属 Bothrops
: テルシオペロ B. asper
学名
Bothrops asper
(Garman1884)
和名
テルシオペロ
英名
Terciopelo

分布

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北アメリカ大陸南部、南アメリカ大陸

形態

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全長は100 - 200cmで、最大は2.5m。オスよりもメスのほうが大きくなり、体重も6kgに及ぶ。毒牙の長さは2.5cmに達する。体色は茶褐色の地肌に大きなダイヤのような斑紋が並ぶ。そして頭の脇に黄色い横線が走る。

頭部は三角形で、側頭部に黄色い筋模様が入る。

幼蛇は色彩が成蛇よりも鮮やか。オスには尾に黄色い部分がある。

テルシオペロに噛まれ、その毒により壊死した男児の脚の画像があります。医学的でない用途での閲覧は、不快感を催す恐れがあるため、ご注意ください。
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テルシオペロにより壊死した男児の脚

本種の毒は非常に強烈で、その主成分は出血毒である。一瞬の毒の注入で、人の致死量の毒を体内に撃ち込むことができるため、本種はヤジリハブとともに、中南米では最も危険な毒蛇といわれる。

性質が荒く、活動も機敏であるため、屋内での咬傷例も多い。また、死に到らなくても、その出血毒の作用で、患部が壊死することも少なくない。

生態

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おもに森林地帯に生息し、地上でも樹上でも活動する。夜行性で、日中は落ち葉や茂みの中で休む。鼻のすぐ下にあるピット器官で獲物を見つけると、目にもとまらぬ速さで毒牙を獲物に突き刺し、一瞬で毒を撃ち込む。そして次の瞬間には元の体勢に戻って、次の攻撃に備えている。

かつてはカイサカの亜種とされていたこともあったが、現在では別種となっている。

食性は動物食で、哺乳類鳥類爬虫類カエル等で、ムカデなどの節足動物を捕食することもある。

脚注

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  1. ^ Bonilla, F., Sunyer, J., Porras, L.W., Chaves, G., Lamar, W., Solórzano, A., Rivas, G., Caicedo, J.R., Gutiérrez-Cárdenas, P. & Cisneros-Heredia, D.F. 2021. Bothrops asper. The IUCN Red List of Threatened Species 2021: e.T197464A2486766. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2021-3.RLTS.T197464A2486766.en. Accessed on 31 January 2024.

参考文献

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  • 『最新ヘビ学入門』、平凡社、1999年、182頁。

関連項目

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