ハマダイ

フエダイ科の魚の一種

ハマダイ(浜鯛) Etelis coruscans は、スズキ目スズキ亜目フエダイ科に属する魚類い体と長い尾鰭が特徴の深海魚で、日本では高級食材として扱われる。地方名はオナガ、オナガダイ(東京)、アカチビキ(和歌山)、ヘイジ(高知)、アカマチ(沖縄)などがある。

ハマダイ
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : スズキ亜目 Percoidei
: フエダイ科 Lutjanidae
亜科 : ハマダイ亜科 Etelinae
: ハマダイ属 Etelis
: ハマダイ E. coruscans
学名
Etelis coruscans
Valenciennes, 1862
英名
Flame snapper
Longtailed red snapper
Onaga

名称 編集

日本での別名「オナガ」(尾長)、および英名"Longtailed red snapper"は長く伸びた尾鰭に由来する。ハワイなどでは"Onaga"と呼ばれるが、これは日本での別名「オナガ」に由来する。ハワイに移住した日系人がそう呼んでいたため、そのまま現地での地方名として定着したといわれる。"Flame snapper"は「のフエダイ」の意で、鮮紅色の体色に由来する。

分布・生息域 編集

アフリカ東岸から南日本、ハワイロード・ハウ島、オーストラリア北岸まで、インド太平洋の熱帯海域に広く分布する。日本では本州中部以南で見られ、伊豆諸島南西諸島の近海で多く漁獲されている。水深200-500mほどの大陸棚上の深みに生息し、海底の岩礁域付近を遊泳する。

形態・生態 編集

最大で全長120cmに達する[1]。体は紡錘形で、背中が鮮紅色・腹側が淡紅色をしている。マダイよりも赤みが強く、前後に細長い体形である。尾鰭は深く二叉したV字形で、成長と共に上下両葉が長く伸び、大型個体では特に上葉が糸状になる。

口は大きく下顎もがっしりしており、上顎の先端部には1-2対の犬歯がある。背鰭は棘条部で最も高く、軟条部との間で一旦低くなり、軟条部で再びわずかに高まる。目は大きく、両目の間は扁平である。生態が似ているヒメダイ属魚類は、背鰭がほぼ長方形に近く、両目の間が隆起するのでこの点で区別できる。

食性は肉食性で、小魚・甲殻類・頭足類などを捕食する。

利用 編集

美味な食用魚で、日本など地方によっては高級食材として扱われる。また、沖釣りの対象としても人気が高い。釣りの他に深海延縄などでも漁獲される。

身は淡いピンク色で、癖のない白身である。刺身焼き魚煮物揚げ物蒸し物など、様々な料理に用いられる。

参考文献 編集

  1. ^ Etelis coruscans FishBase
  • 内田亨監修『学生版 日本動物図鑑』北隆館 ISBN 4-8326-0042-7
  • 阿部宗明監修『原色魚類大図鑑』北隆館 1987年 ISBN 4-8326-0008-7
  • 檜山義夫監修『野外観察図鑑4 魚』改訂版 旺文社 ISBN 4-01-072424-2
  • 永岡書店編集部『釣った魚が必ずわかるカラー図鑑』 ISBN 4-522-21372-7
  • 藍澤正宏ほか『新装版 詳細図鑑 さかなの見分け方』講談社 ISBN 4-06-211280-9
  • 蒲原稔治著・岡村収補『エコロン自然シリーズ 魚』保育社 1966年初版・1996年改訂 ISBN 4-586-32109-1
  • 岡村収・尼岡邦夫監修『山渓カラー名鑑 日本の海水魚』(フエダイ科解説 : 岩槻幸雄)ISBN 4-635-09027-2
  • Lutjanidae - Froese, R. and D. Pauly. Editors. 2008.FishBase. World Wide Web electronic publication. www.fishbase.org, version(10/2008).

関連項目 編集