バーン (単位)
原子核物理学におけるバーン(barn、記号:b)は、核反応の反応断面積の単位である[1]。
バーン barn | |
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記号 | b |
系 | メートル法(その他の非SI単位) |
量 | 面積 |
定義 | 10−28 m2 |
語源 | 英語 barn(納屋) |
1 b = 10-28 m2である。1 fm = 10-15 mで換算すると、1 b = 100 fm2であり、1辺が 10 fm の正方形の面積に等しい。
バーンは、国際単位系(SI)においては「その他の非SI単位」(国際単位系#その他の非SI単位(表8))と位置づけられている。ただし、使用する場合はSI単位との対応関係を示さなければならないとされている[2]。
日本の計量法体系では認められていない単位(非法定計量単位)のため、計量法上の取引・証明に用いることはできない(計量法#計量単位に関する規制)。
概要編集
核物理における反応断面積とは、原子核の核反応の発生のしやすさを示したもので、面積の次元を持つので「断面積」と呼ばれる。別の言い方をすれば、核反応を起こすために粒子を照射する際の「的(まと)の大きさ」である。
バーン(barn)は英語で「納屋」の意味であるが、これは「納屋ほども大きな的」(もちろん実際には非常に小さい)という一種の皮肉である。この名称は、第二次大戦中の核兵器の開発者の間で使われ出したものである[3]。
1バーンはおよそウランの核の断面積に等しく、バーンは核反応が起こる断面積を表現するのにちょうど良い単位である。そのため、核物理学者の間では広く使われている。
一方四極子共鳴では上記の「的」という概念とは無関係であるが、その値が面積の次元で表され、その大きさがちょうど良いため、この単位が流用されている。
脚注編集
参考文献編集
- 『図解 原子力用語辞典』原子力用語研究会(編)、日刊工業新聞社、1974年、新版。