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フッ化物洗口(フッかぶつせんこう、Fluoride mouth rinses)は、フッ化物水溶液を用いてブクブクうがいを行い、歯のエナメル質表面にフッ化物を作用させて、虫歯を予防する方法である[1]

学校や職場では、公衆衛生アプローチとして集団単位で実施されるため集団フッ化物洗口と呼ばれることもある。フッ素うがいフッ素洗口とも。

目次

歴史編集

フッ化物の歴史については、専門書[注 1]に詳しいが、ここでは水道水フッ化物添加以降の歴史について簡潔に記述する。

1945年水道水フッ化物添加開始により、フッ化物の全身応用による虫歯予防が普及し始めたが、局所応用法についてはBibbyによる1943年の研究[2]を皮切りとして、虫歯予防におけるフッ化ナトリウムやフッ化第一錫含有液、酸性リン酸フッ化物の効果を試す先駆的努力が、積み重ねられた。それら3つの合成物の効果のいくつもの優れた研究が発表された[3]

フッ化物洗口は、1960年代のアメリカにて、公衆衛生手法として、主に学校において実施されはじめた。

広大な研究の結果として、週1回の0.2%フッ化ナトリウム洗口、毎日の0.05%フッ化ナトリウム洗口、毎日の0.2%フッ化物(酸性リン酸フッ化物APF)洗口の3つの洗口体系がアメリカ食品医薬品局により認可され[4]、ADAにより承認された[5]

アメリカ歯科疾病研究所(en:National Institute of Dental Research)の資金による17地区の実証計画により得られた好ましい結果もあり、多い時で、1200万人の児童がフッ化物洗口に参加した[6]

2000年には世界で1億人がフッ化物洗口を利用している[7]

日本での歴史編集

日本国内で実施されているフッ化物洗口の歴史については、専門書[注 2]に詳しいが、ここでは簡単に記述する。

日本におけるフッ化物洗口は1970年代より地域歯科保健施策の一環として普及しはじめ、2002年度末では全国40都道府県の2951施設において、30万3182児童が参加している[8]。2007年度調査によると、全国の約6,400施設で約67万児童が実施している[7]

虫歯予防効果編集

フッ化物洗口の利用による虫歯の発生本数の減少は、1年あたり、小児1人につき0.4歯面であり、水道水フッ化物添加地区や虫歯の少ない小児においては、おそらくその半分だろう、と概算されている[9]

コクラン共同計画によれば、1年間の虫歯増加が0.25歯面の集団においては、1歯面を予防するために、16人の小児がフッ化物洗口を(フッ化物を含まない洗口の代わりに)実施する必要がある。また、1年間のう蝕増加が2.14歯面の集団においては、1歯面を予防するために2人の小児が洗口をする必要がある[10]

フッ化物洗口ガイドライン編集

2003年1月14日、厚生労働省は「フッ化物洗口の普及」を目的としてフッ化洗口ガイドラインと呼ばれる通達を各都道府県知事宛に送付した[11]。これをうけ、国内の地方自治体では、フッ化物洗口の普及についての条例案や決議が可決されている。

条例編集

2009年6月16日、北海道は、日本国内の地方自治体では初めてとなる、フッ化物洗口の普及を明言した「北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例[12][13]を交付し、同日より施行している。

2009年12月17日、長崎県議会は、北海道に続きフッ化物洗口の普及を明言した「長崎県歯・口腔の健康づくり推進条例」を可決し、2010年6月4日から施行している[14]

2010年6月29日、佐賀県議会は、「佐賀県笑顔とお口の健康づくり推進条例」を採決[15]し、2010年6月30日、これを公布、施行している[16]

2010年10月8日、熊本県議会は、「熊本県歯及び口腔の健康づくり推進条例」を制定[17]、平成22年11月1日よりこれを施行する[18]

決議編集

2007年9月28日、和歌山県議会は「小学校等におけるフッ化物洗口の集団実施を推進する決議」を可決している[19]

2009年3月5日、長野県議会は「小学校等におけるフッ化物洗口の集団実施を推進する決議」を可決している[20]

2009年10月14日、旭川市議会は「学校等におけるフッ化物洗口を推進する決議」を可決している[21]

脚注編集

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注釈
  1. ^ 例えば Prevention of Oral Disease (ISBN 978-0192632791) のp62-67など
  2. ^ 例えば、新しい時代のフッ化物応用と健康 (ISBN 978-4-263-44146-6) p.231など
出典
  1. ^ 滋賀県フッ化物洗口実施マニュアル p.8
  2. ^ Bibby BG: A consideration of the effectiveness of various fluoride mixtures. J Am Dent Assoc 34:26, 1947
  3. ^ 例えば Brudevold T, Naujoks R: Caries-preventive fluoride treatment of the individual: progres in caries prevention. Caries Res 12 (suppl 1):52-64, 1978 など
  4. ^ Fine SD: Topical fluoride preparations for reducing incidence of dental caries. Notice of status. Fed Registeer 39:17245
  5. ^ Council on Dental Therapeutics: Council classifies fluoride mouthrinses. J Am Dent Assoc 91:1250-1252, 1975
  6. ^ A summary of the NIDR community caries prevention demonstration program. (PMID 6578269)
  7. ^ a b 歯の健康 > 虫歯 > フッ化物洗口e-ヘルスネット
  8. ^ 日F会議事務局だより 2002-No.3
  9. ^ Effectiveness of mouthrinsing with fluoride solutions in preventing coronal and root caries. (PMID 2681733)
  10. ^ 小児のう蝕予防のためのフッ化物洗口(2008 issue 1, -)Minds医療情報サービス
  11. ^ う蝕予防のためのフッ化物洗口実施マニュアル 社会保険研究所 ISBN 4-7894-6895-X
  12. ^ 平成21年6月16日の本会議(北海道議会)
  13. ^ 会議案第2号 北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例案(北海道議会)
  14. ^ 平成21年11月定例会 長崎県歯・口腔(くう)の健康づくり推進条例(平成21年12月25日長崎県条例第73号)(長崎県議会)
  15. ^ 平成22年6月定例県議会採決結果(佐賀県議会)
  16. ^ 佐賀県笑顔とお口の健康づくり推進条例(佐賀県議会)
  17. ^ 日々雑感 みぞぐち幸治のひとり言
  18. ^ 熊本県歯及び口腔の健康づくり推進条例(熊本県議会)
  19. ^ 小学校等におけるフッ化物洗口の集団実施を推進する決議(和歌山県議会)
  20. ^ 平成21年2月定例会本会議-03月05日-08号(長野県議会)
  21. ^ 平成21年第3回定例会議決結果表(旭川市議会)

関連項目編集