NSF250R(エヌエスエフにひゃくごじゅうアール)は、ホンダ・レーシング(HRC)が開発し、2011年12月から販売している競技専用オートバイ4ストローク250 cc単気筒エンジンを搭載したロードレーサーである。

2011年仕様[1]
Tokyo Motor Show 2011
基本情報
車体型式 MR03
エンジン 249.3 cm3 4ストローク
水冷DOHC4バルブ単気筒
内径×行程 / 圧縮比 78.0 mm × 52.2 mm / __
最高出力 35.5 kW (48 PS) / 13,000 rpm
最大トルク 28 N·m (2.8 kgf·m) / 10,500 rpm
車両重量 84 kg
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概要 編集

2012年ロードレース世界選手権(MotoGP)のレギュレーション変更が行われ、これまで2ストローク125 ccエンジンを搭載したマシンで行われていた「GP125」クラスが廃止され、代わりに4ストローク250 ccエンジンのマシンで行われる「Moto3」クラスが新設されるのに伴い、新たなレギュレーション下での出場条件を満たす車両として開発された。また全日本ロードレース選手権でも、2012年よりJ-GP3クラス(旧GP125クラス)のエンジンが4ストロークに統一されることにも対応している。

マシンは旧GP125クラスで使用されてきたRS125Rの技術をベースとしながらも各所に改良が加えられており、特に搭載エンジンは車体リア側に15°傾けて空いた前部スペースに吸気系統を搭載する方式をとっている。またスペアパーツに関しては、タイヤホイール・カウルなど多くをRS125Rと共用可能とすることで新たな費用負担を抑えている[2]

発表当初の販売価格は、欧州では2万3,600ユーロ(約276万円)[3]であるのに対し、日本での車両希望小売価格は174万9,510円(税込)と、日本国内での販売価格が割安に設定されている。その後価格改定が数度行われ、2020年現在の販売価格は1,479,500円(税込)となっている。なおホンダでは、完成車以外にエンジン単体での販売も行っており、実際Moto3クラスでは独自開発のフレームに本車のエンジンを搭載して参戦するチームも多い。

なお2014年以降Moto3クラスのホンダユーザーが使用しているNSF250RWは、事実上のワークスマシンを投入しているKTMに対抗するため、いちから開発したワークスマシンで、名称こそNSF250Rであるがエンジン自体も1から新規で開発されており、共通パーツはほぼ皆無であるといわれている。

レース戦績 編集

2011年 編集

2012年からの本格投入に先立ち、2011年の全日本ロードレース選手権・第3戦[4]よりJ-GP3クラスにテスト参戦を開始し[2]、同レースで仲城英幸が3位に入りデビュー戦で表彰台に登ったほか、同マシンに乗る藤井謙汰が同年のJ-GP3クラスチャンピオンを獲得した。

2012年 編集

MotoGPの2012年シーズンにおいて、HRC以外にMoto3用マシンの開発を表明しているのは、他にオーストリアKTM[5]スペインのBeOn[6]程度で、ヤマハスズキアプリリアといった有力メーカーに動きが見られないこともあって、前評判ではHRCが開発面で他社をリードしていると見る関係者が多かった[2]。サマーブレイクまでにFTRモト製シャーシにNSFのエンジンを搭載したマシンに乗るマーベリック・ビニャーレスの5勝を含めた7勝を挙げるものの(勝利したのは全てFTRホンダ)サマーブレイク後はKTMに押され未勝利で終わり、コンストラクターズタイトルをKTMに奪われる結果となった。

脚注 編集

  1. ^ 2011年6月8日市販ロードレースマシン「NSF250R」を発売
  2. ^ a b c 東京中日スポーツ・2011年6月9日付 19面
  3. ^ Launch of the NSF250R Commercial Road Racing Machine - ホンダ・レーシング 2011年6月8日
  4. ^ 第1戦はJSB1000クラスのみ、第2戦はST600クラスのみの開催のため、J-GP3クラスについては実質的な開幕戦となる。
  5. ^ KTM、Moto3クラスからグランプリ復帰を発表 - motogp.com・2011年6月3日
  6. ^ スペインのエンジニアたちがMoto3マシンを発表 - motogp.com・2011年6月2日

関連項目 編集

外部リンク 編集