ボリバル・デジタル
ボリバル・デジタル(bolívar digital)は、ベネズエラの通貨である。2021年10月1日よりハイパーインフレーションに見舞われたボリバル・ソベラノの一部の紙幣と並行する形で流通が開始された[2]。
ボリバル・デジタル | |
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bolívar digital (スペイン語) | |
ISO 4217 コード | VED |
中央銀行 | ベネズエラ中央銀行 |
ウェブサイト | www |
使用 国・地域 | ![]() |
補助単位 | |
1/100 | センティモ[1] |
通貨記号 | Bs.、Bs.D |
硬貨 | Bs.1 |
紙幣 | Bs.5、10、20、50、100 |
2021年11月現在のレートでは1ドル=4.4ボリバル・デジタル。
概要編集
2021年8月5日、ベネズエラ中央銀行は8年以上にわたる経済混乱と慢性的なハイパーインフレーションに対処するため、ボリバル・ソベラノから100万分の1に切り下げるデノミネーションを実施すると発表した。ベネズエラ国民はインフレの激しい自国通貨を信用しておらずドルなどの外貨を主に利用しており、デノミネーションによって利用率が全体の3割を下回っているボリバルの利用を促進させる狙いがある[3]。
しかし、デノミネーションはベネズエラ政府の数多くの失政や米国の経済制裁などによる経済危機の根本的な解決になるとは言えず、極めて場当たり的な政策であることからベネズエラ経済のさらなる悪化を懸念する声が有識者から挙がっている。
当初はボリバル・デジタルの名称と、ベネズエラ都市部でデビットカードやスマートフォンを使用した電子決済がシェアを伸ばしている実情から中央銀行デジタル通貨の形でも流通させると推測されていたが、ベネズエラ中央銀行は中央銀行デジタル通貨としての発行に関しては現在でも言及していない。
硬貨・紙幣編集
「ボリバル・デジタル」の名称であるが、新たな硬貨と紙幣が発行される。因みに10000ボリバル以上のボリバル・ソベラノ紙幣も補助通貨として引き続き使用できる[1]。
流通開始から1ヶ月が経過した段階では5ボリバル紙幣と10ボリバル紙幣が少数流通しているのみで、ドルはおろかボリバル・ソベラノを置き換えるにも至っていないのが現状である。
硬貨編集
新たな硬貨として1ボリバル硬貨が発行されるとしているが、2021年11月現在でも発行が確認されていない。 表面にはシモン・ボリバルの肖像[4]、裏面には「1 BOLÍVAR」の文字が描かれる。
紙幣編集
新たな紙幣は全ての額面が表裏共に同一のデザインとなっており、(ハイパーインフレーションという状況下では珍しくないが)近年の通貨としては異例である。その絵柄も2021年3月6日に発行された100万ボリバル・ソベラノ紙幣のデザインをそのまま流用している。
紙幣 | ||||
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金額 | 色 | 表に描かれている人物 | 裏に描かれている図案 | 発行開始日 |
5 Bs. | 黄色 | シモン・ボリバル | カラボボ凱旋門とカラボボの戦い | 2021年10月1日 |
10 Bs. | 紫色 | |||
20 Bs. | 橙色 | 不明 | ||
50 Bs. | 緑色 | |||
100 Bs. | 深紫色 |
脚注編集
- ^ a b ベネズエラ中央銀行サイト内の旧通貨の紙幣の扱いを紹介する動画にて言及されている[1]。
- ^ ベネズエラ中銀が6桁のデノミを発表、呼称はボリバル・デジタルに ジェトロ (2021年8月11日) 2021年8月29日閲覧
- ^ ベネズエラ、3年ぶりデノミ 通貨100万分の1に切り下げ 日本経済新聞(2021年8月6日)2021年8月7日閲覧
- ^ 描かれているシモン・ボリバルの肖像は、紙幣と同じく2012年にシモン・ボリバルの遺骨を元にコンピュータで作成された肖像画を用いている。