ホセ・デ・リベーラ作『モーセ』(1638年):十戒が書かれた石板を持つモーセが描かれている。

モーセの十戒十誡、じっかい、ヘブライ語: עשרת הדיברות‎、: Ten Commandments)とは、モーセから与えられたとされる10の戒律のこと。

旧約聖書出エジプト記20章3節から17節、申命記5章7節から21節に書かれており、エジプト出発の後にモーセシナイ山にて、神より授かったと記されている[1][2]

十戒の内容は神の意思が記されたものであり、モーセが十戒そのものを考え出し、自らもしくは他者に記させたものではない、とされている[注 1]。出エジプト記本文では神が民全体に語りかけたがそれが民をあまりにも脅かしたためモーセが代表者として神につかわされた、とされる。シナイ契約、または単に十戒とも呼ばれる。二枚の石板からなり、二度神から渡されている。最初にモーセが受け取ったものはモーセ自身が叩き割っている[3]

正教会・聖公会・プロテスタント(ルーテル教会以外)の場合編集

  1. 主が唯一の神であること
  2. 偶像を作ってはならないこと(偶像崇拝の禁止)
  3. 神の名をみだりに唱えてはならないこと
  4. 安息日を守ること
  5. を敬うこと
  6. 殺人をしてはいけないこと(汝、殺す勿れ)
  7. 姦淫をしてはいけないこと
  8. 盗んではいけないこと(汝、盗む勿れ)
  9. 隣人について偽証してはいけないこと
  10. 隣人の財産をむさぼってはいけないこと

1から4までは神と人との関係であり、5から10までは人と人に関する項目(同時に刑法の根幹)である。

ユダヤ教安息日土曜日であるが、キリスト教ではイエス・キリスト復活の日である日曜日を「主の日」と呼び、日曜日を主日として礼拝している。

カトリック教会・ルーテル教会の場合編集

わたしはあなたの主なる神である。

  1. わたしのほかに神があってはならない。
  2. あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。
  3. 主の日を心にとどめ、これを聖とせよ。
  4. あなたの父母を敬え。
  5. 殺してはならない。
  6. 姦淫してはならない。
  7. 盗んではならない。
  8. 隣人に関して偽証してはならない。
  9. 隣人の妻を欲してはならない。
  10. 隣人の財産を欲してはならない。

ヘブライ語聖書(タナハ)におけるモーセの十戒編集

古代イスラエルの人々は、自分たちの神はイスラエルをエジプトから導き出した神であるとしていた。[4][5]

  1. 他の神々が、あなたのためにわたしの面前にあってはならない。[6]
  2. あなたは自分のために像を作ってはならない。[7]上は天にあり、下は地にあり、また地の下の水の中にあるもののいかなる形も。あなたはそれにひれ伏しても、それらに仕えさせられてもならない。[8]
  3. あなたは、あなたのヤハウェの名を、空しいこと[9]のために唱えてはならない。
  4. 安息日を覚え、これを聖別しなさい。
  5. あなたはあなたの父と母を重んじなさい。
  6. あなたは殺してはならない。
  7. あなたは姦淫してはならない。
  8. あなたは 盗んではならない。
  9. あなたはあなたの隣人に対し、偽の証言をしてはならない。
  10. あなたはあなたの隣人の家を欲しがってはならない。(あなたの隣人のすべてのものを欲しがってはならない。

脚注編集

注釈編集

  1. ^ ただし旧約聖書にはモーセがシナイ山に登り、十戒を授けられ下山した旨記されており、どのようにそれが授けられたか第三者の目撃談という形では記されてはいない。

出典編集

  1. ^ 出エジプト記(口語訳)#20:3
  2. ^ 申命記(口語訳)#5:7
  3. ^ 出エジプト記(口語訳)#32:19
  4. ^ 岩波書店2000年旧約聖書〈Ⅱ〉出エジプト記 レビ記P416
  5. ^ さほど遠い距離でないイスラエルまでの道のりをたどるのに40年ほどの歳月がかかったということは、モーセが神の導きのままに、他宗教の神々との政治的な共存を図りながら進んで行ったことを意味している。
  6. ^ 岩波書店2000年旧約聖書〈Ⅱ〉出エジプト記 レビ記P89
  7. ^ 像一般が禁止されている。岩波書店2000年旧約聖書〈Ⅱ〉出エジプト記 レビ記P91
  8. ^ ここでの像は他の神々の像ではなく、ヤハウェの像のこと。岩波書店2000年旧約聖書〈Ⅱ〉出エジプト記 レビ記P91
  9. ^ 人に害を与えたり傷つけるため嘘のために悪意をもって神の名を口にすること

関連項目編集