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佐々木 力(ささき ちから、1947年3月7日[1]- )は、日本科学史学者、科学史研究の第一人者、元東京大学教養学部教授[2]、大学院総合文化研究科教授[3]中国科学院教授[4]。専門は科学史科学哲学、とくに数学史であり[4]、日本オイラー研究所名誉所長なども務めたが[3]、「反時代的な社会主義者」を自称するトロツキストでもあり、日本陳独秀研究会会長も務めた[5]。「九条科学者の会」呼びかけ人を務めている[6]

経歴編集

宮城県加美郡小野田町(後の加美町)出身[7]宮城県古川高等学校、1969年東北大学理学部数学科卒業、同大学院理学研究科博士課程中退、1976年からプリンストン大学に留学、80年Ph.D.[8](歴史学)[9]

東北大学在学中に学生運動にかかわり、その経験から「形式的・構造主義的な思弁的近代『数学』」ヘの懐疑をもち、「近代科学をとらえ直す『科学史』へ転向した」という[10]1969年東北大学理学部数学科を卒業し、大学院理学研究科数学専攻に学んだ後、プリンストン大学に留学してトーマス・クーンなどの下で学び、ルネ・デカルトの数学思想を扱った「Descartes’s Mathematical Thought」によって歴史学専攻のPh.D.を取得した[4]

1980年に東京大学教養学部講師となり、1983年に助教授、1991年に教授となった[4]2010年3月に、東京大学を退職した[3]。その際、東京大学名誉教授の称号は得られなかった[11]

佐々木は、フランスなどの外国を引き合いに出して日本を批判する手法から、和田春樹から拝外主義者とレッテルされており、この場合、国を崇するという意味の拝外主義者だという。これに関して本人は、「それほどまちがっていない」と述べている[12]

2012年から、中国科学院教授[4]

事件編集

東大教授時代の2005年セクシャル・ハラスメントを理由として2か月の停職処分を受けた[13]。これに対して佐々木は著書『東京大学学問論』において、植草一秀と同じように自分は「御用学者」ではないから排除されたのだと釈明している。これに対して、小谷野敦は「しかしそれなら、小森陽一とか石田英敬とか、そういう人はなんで罠にはまってないんでしょうねえ。」と疑問視している[14]

なお、『週刊新潮』からセクハラ疑惑を報じられたが本人は、「悪名高い」「世間ではハイエナ誌という評判」「ハイエナ週刊誌」と罵倒している[15]

著書編集

単著編集

  • 『科学革命の歴史構造』岩波書店、1985年/講談社学術文庫(上下)、1995年
  • 『科学史的思考 小品批評集』御茶の水書房、1987年
  • 『近代学問理念の誕生』岩波書店、1992年 - サントリー学芸賞受賞[7]
  • 『生きているトロツキイ』東京大学出版会、1996年
  • 『科学論入門』岩波新書、1996年
  • 『学問論 ポストモダニズムに抗して』東京大学出版会、1997年
  • 『マルクス主義科学論』みすず書房、1997年
  • 『二十世紀数学思想』みすず書房、2001年
  • 『科学技術と現代政治』ちくま新書、2000年
  • 『デカルトの数学思想』(コレクション数学史)東京大学出版会、2003年
  • 『数学史入門 微分積分学の成立』ちくま学芸文庫、2005年
  • 『21世紀のマルクス主義』ちくま学芸文庫、2006年
  • 『数学史』岩波書店、2010年
  • 『ガロワ正伝 革命家にして数学』ちくま学芸文庫、2011年
  • 『東京大学学問論 <学道>の劣化』作品社、2014年
  • 『反原子力の自然哲学』未来社、2016年

共著編集

共編著編集

訳書編集

編訳書編集

脚注編集

  1. ^ 『著作権台帳』
  2. ^ “生きているトロツキイ 佐々木力著 社会主義再生に向け検証(書評)”. 朝日新聞・朝刊: p. 15. (1996年3月17日). "ささき・ちから 47年生まれ。東京大学教養学部教授。著書に『近代学問理念の誕生』など。"  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧:書評自体は上野俊哉によるが、引用箇所は上野の著作範囲外にある。
  3. ^ a b c 和算ノ研究 方程式論”. 海鳴社. 2015年8月14日閲覧。
  4. ^ a b c d e マルクス主義科学論”. みすず書房. 2015年8月14日閲覧。
  5. ^ 西岡三夫 (2003年5月4日). “『デカルトの数学思想』 佐々木力さん(著者に会いたい)”. 朝日新聞・朝刊: p. 11. "東京大学教授として数学史を専門とするほか、トロツキズムの研究家としても知られ、「日本陳独秀研究会会長」の肩書をもつ。「反時代的な社会主義者」を自ら称し、政治思想面での「最硬派」でもある。"  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  6. ^ 「九条科学者の会」呼びかけ人メッセージ (2005.3.13)
  7. ^ a b “東大教授・佐々木力さん(ことば抄)”. 朝日新聞・夕刊: p. 2. (1993年12月17日)  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  8. ^ 『駒場2001』東大教養学部
  9. ^ 歴史と伝統”. 宮城県古川高等学校. 2015年8月14日閲覧。
  10. ^ 西 (1997年4月14日). “佐々木力さん 癒しの術で真の脱近代主張(テーブルトーク)”. 朝日新聞・夕刊: p. 5  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  11. ^ 折原浩 (2014年4月23日). “佐々木力著『東京大学学問論―学道の劣化』への「あとがき」補遺(折原浩) [4月23日、改訂]”. 折原浩. 2015年9月22日閲覧。 “そこからさらに、(他の教員には通例、おおかた異論なく認められる)「名誉教授」の称号が、佐々木氏には拒まれ、そうした一連の不利益処遇の随伴結果として、国内における再就職の道が断たれたことも、ほぼ確かでしょう。”
  12. ^ 佐々木力『東京大学学問論』作品社2014年ISBN 978-4861824753、p262
  13. ^ 週刊新潮』2005年1月27日号49頁『「セクハラ」で停職2カ月になっちゃった東大「看板教授」の実名』
  14. ^ 小谷野敦 (2014年5月6日). “佐々木力”. 小谷野敦. 2015年9月18日閲覧。
  15. ^ 佐々木力『東京大学学問論』作品社、2014年、ISBN 978-4861824753、p156、p296、p322