咳嗽

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咳嗽(がいそう、cough)とは、医療分野における症状の一種であり、や気道から空気を強制的に排出させるための生体防御運動であり、通常繰り返して起こる気管喉頭・呼吸筋の反射的な収縮運動である[1]。一般的には(せき)という。

咳嗽
Pertussis.jpg
百日咳の患者
分類および外部参照情報
ICD-10 R05
ICD-9-CM 786.2
DiseasesDB 17149
MedlinePlus 003072
eMedicine ENT/1048560

1回の咳嗽で2kcal(≒8.4kJ)のエネルギーを消費するといわれ、咳嗽が続くとエネルギーを著しく消耗する。風邪などで咳嗽が続く場合は栄養状態に注意する必要がある。また、老人は咳の衝撃に耐えられず肋骨を骨折してしまうケースも少なくない。横になると楽になる。

目次

分類と原因編集

日本呼吸器学会咳嗽ガイドラインの定義[1]では、

  1. 咳嗽とは,気道内に貯留した分泌物や異物を気道外に排除するための生態防御反応である。
  2. 気道壁表層の咳受容体の刺激が迷走神経を介して延髄咳中枢に伝達され咳嗽が発生する。
  3. 気道壁表層の咳受容体の感受性亢進を介する経路と,気道平滑筋収縮による平滑筋内の知覚神経の刺激を介する経路の 2 つがある。

更に分類すると

  1. 咳嗽反応亢進
    • 乾性咳嗽を呈する呼吸器疾患、ACE阻害薬の副作用
    (気管支壁表層の咳受容体感受性の亢進による咳嗽と、気管支壁深層にある気管支平滑筋の収縮による咳嗽を含む)
  2. 適正な咳嗽反応
    • 湿性咳嗽を呈する呼吸器疾患、刺激物の吸入、心因性咳嗽、咳払い
  3. 咳嗽反応低下
    • 脳血管障害(不顕性誤嚥)、ADL 低下、睡眠、ビタミンB12欠乏、葉酸欠乏、麻酔薬、昏睡、意識障害

痰を伴わない乾いたせきのことを乾性咳嗽(かんせいがいそう)といい、一般的には空咳(からせき)ともいう[2]喀血を伴う湿ったものを湿性咳嗽(しっせいがいそう)と呼ぶ[2]。乾性咳嗽は、間質性肺炎異型肺炎胸膜炎過敏性肺炎など典型的な肺炎とは異なった肺炎を示唆する。また、湿性咳嗽は気道の炎症性病変や肺水腫を示唆する。

診断編集

急性咳嗽
感染性疾患と急性上気道炎(上気道感染症、つまり風邪)が多い[3]
慢性咳嗽
過敏性肺炎、慢性閉塞性肺疾患、咳喘息・喘息、アトピー咳嗽、副鼻腔管支症候群[3]。また、肺癌結核・肺塞栓症の初発症状である場合もある[3]

日本呼吸器学会の咳嗽ガイドラインによれば、1-2週間以上持続する咳嗽患者に対しては胸部X線撮影を推奨している(推奨グレードA)[3]

欧米に於いて慢性化した咳嗽の原因として多いものは、上気道咳嗽症候群(後鼻漏症候群)、気管支喘息咳喘息)、逆流性食道炎である[4]とされているが日本では多くない[3]

検査編集

胸部X線撮影、血液検査、喀痰検査、生理学的検査

治療編集

日本呼吸器学会ガイドラインによれば、乾性咳嗽に対する非特異的治療薬は中枢性鎮咳薬および気管支拡張薬(推奨グレードB)であり、また湿性咳嗽に対する非特異的治療薬は、去痰薬・小青竜湯・吸入抗コリン薬(推奨グレートB)などであった[5]

中枢性鎮咳薬編集

鎮咳薬は基本的に咳中枢に作用するが、必要な咳嗽をも止めるリスクがある[5]。 日本呼吸器学会ガイドラインでは、明らかな上気道炎などにとどめ、中枢性鎮咳薬の使用はできる限り控えると勧告されている(グレードD)[5]

  • リン酸コデインリン酸ジヒドロコデイン [5] - 麻薬性中枢性鎮咳薬であるので、副作用に注意する必要がある。
  • デキストロメトルファン臭化水素酸塩 [5] - 非麻薬性中枢性鎮咳神経刺激薬である(メジコン:ヒスタミン遊離作用がありアレルギー増悪に注意)。
  • チペピジンヒベンズ酸塩(アスベリン)[5] - リン酸コデインと同等の鎮咳作用を持つ非麻薬性中枢性鎮咳薬であると同時に、去痰作用も有する。
  • 車前草エキス(フスタギン)もチペピジンと同様の作用を有する(痰の粘稠度を低下させる去痰作用)。副作用が少ない。

気管支拡張薬編集

以下の気管支拡張剤(アドレナリンβ2受容体刺激)もよく使われる。気管支を広げ呼吸を楽にする。

  • 塩酸ツロブテロール(ホクナリン)[5] は、気管支拡張剤で唯一貼付剤がある。
  • プロカテロール塩酸塩(メプチン)[5] 等。

去痰薬編集

漢方薬編集

診療科編集

脚注編集

  1. ^ a b 日本呼吸器学会 2012, Chapt.II.
  2. ^ a b 日本呼吸器学会 2012, Chapt.III.
  3. ^ a b c d e 日本呼吸器学会 2012.
  4. ^ Benich JJ 3rd, et al. Evaluation of the patient with chronic cough. Am Fam Physician. 2011;84(8):887-92.
  5. ^ a b c d e f g h i j k 日本呼吸器学会 2012, Chapt.VI.

参考文献編集

外部リンク編集