列車始発駅へ回送される185系電車 バスにおける一般的な回送表示(名古屋市営バス)
列車始発駅へ回送される185系電車
バスにおける一般的な回送表示(名古屋市営バス

回送廻送(かいそう)とは、鉄道車両バス自動車などを空のまま他の場所に移動させることである[1]。コンテナ輸送に用いるコンテナにも回送を用いる[2]

航空業界の場合、航空機の回送はフェリーフライトまたはフェリーと呼称される(en:Ferry flying)。また、航空業界では航空機乗務員の空港間移動も回送(デッドヘッド、deadhead)という[3]

交通機関編集

回送中の車両は回送車、鉄道車両の場合は特に回送列車と呼ばれる。

鉄道・バス編集

回送は無乗客のままで運行するので、当然旅客収入は得られない。回送が多いことはそれだけ運用効率が悪くなるため、交通事業者は回送をどれだけ減らせるかが課題になっている。以前回送だった列車を営業列車に変更した例もあり、実際にホームライナー上野駅に到着した特急列車東大宮操車場まで移動させる回送運用に客扱いしたのが始まりである。

車両に乗車できないことを旅客に示すために、行先表示器などに、「回送 Not in Service」、などと表示する。古くは「非営業」の表示も使われていた。早朝の営業運転前に、回送表示のバスが各営業所に職員を送迎することもある[4]

回送の英語表記は事業者によって異なり、JRの大多数や京王電鉄などは『Out of Service』だが、西武鉄道や小田急電鉄などは『Not in service』となる。東武鉄道は後者を採用しているが、駅構内の発車標では当駅止まりだと前者、回送電車だと後者を表示する。

回送表示の一例

 
「回送・試運転」表示のJR西日本221系電車の種別幕

吹田総合車両所奈良支所所属の221系電車では回送と試運転の2つの方向幕を一体化した「回送・試運転」幕が導入された[5]山陽電気鉄道でもごく少数の3000系が装備している。

一部のバスでは「すみません回送中です」や「ごめんなさい回送中です」などと表示される場合がある。「すみません回送中です」は、南部バス[6]岡山電気軌道[7]両備バス函館バス[8]などで使用されている。宮崎交通では、「すみません回送中です」を使用している中で1台だけ「すんません」と宮崎弁を用いているバスが存在する[9]。これらの表示は通常の「回送」表示とは別に用意されており、使い分けは運転手の判断に任せられている[10]。これ以外にも、回送表示を利用して広告・告知等の別表示を行うケースがいくつか存在している。

タクシー編集

タクシー業界では業務上の隠語として、「海藻」とかけて「ワカメ」と呼ぶ場合もある[11]

航空業界編集

航空業界では連続するフライトで構成される一つの勤務日程を任務(duty)とし、任務調整のために乗務員が空港間を移動することも回送(デッドヘッド、deadhead)という[3]

コンテナ編集

コンテナ輸送は輸送や荷役の規格化・効率化をもたらした一方、空コンテナの回送や保管は利益にならず費用負担が大きくなることから空コンテナのコストの最小化が課題となる[2]

脚注編集

[脚注の使い方]
  1. ^ 回送/廻送”. コトバンク. 2018年8月31日閲覧。
  2. ^ a b 柴崎隆一. “港湾背後圏における空コンテナの輸送問題”. 一般財団法人 運輸総合研究所. 2020年7月7日閲覧。
  3. ^ a b 花岡伸也. “航空機スケジューリング問題へのアプローチ”. 公益社団法人 土木学会. 2020年7月7日閲覧。
  4. ^ “「回送」のバスに乗客が? 都内の駅前で見られる謎の光景とは”. 乗りものニュース. (2017年10月3日). https://trafficnews.jp/post/78652 2018年8月31日閲覧。 
  5. ^ “221系に種別幕変更車が登場”. 鉄道ファン. (2015年2月17日). https://railf.jp/news/2015/02/17/175500.html 2018年8月31日閲覧。 
  6. ^ 「すみません回送中です」バス表示におわび デーリー東北:2010年4月10日
  7. ^ 回送バスが「すみません」と表示 岡山電気軌道、利用者に配慮 山陽新聞:2010年7月5日
  8. ^ 「すみません 回送中です」 函館バス、行き先表示におわび文 北海道新聞:2010年8月31日
  9. ^ 「回送バスに謝られた…」全国で目撃談 運転手の苦しい胸の内とは withnews:2015年9月15日
  10. ^ 神戸新聞|社会|回送車バス低姿勢で走行 表示に「ごめんなさい」” (2010年9月12日). 2018年10月2日閲覧。
  11. ^ タクシー業界用語辞典 - タクシーサイト、2009年9月20日閲覧

関連項目編集