基本情報技術者試験の午前試験免除制度

基本情報技術者試験の午前試験免除制度(きほんじょうほうぎじゅつしゃしけんのごぜんしけんめんじょせいど、通称午前免除)とは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が認定した特定の講座を受講し、その後、修了試験(修了認定に係る試験)に合格した者が、国家資格の基本情報技術者試験(FE)の午前科目の受験が1年間免除されるという制度である[1]

基本情報技術者試験
英名 Fundamental Information Technology Engineer Examination
略称 FE・二種
実施国 日本の旗 日本
資格種類 国家試験
情報処理技術者試験
分野 情報処理
試験形式 筆記CBT方式
認定団体 経済産業省
認定開始年月日 2001年(平成13年)5月22日
根拠法令 情報処理の促進に関する法律
公式サイト 情報処理推進機構
特記事項 2009年4月より、初級システムアドミニストレータ試験の出題範囲の一部を吸収。実施はIT人材育成センター国家資格・試験部
2020年度以降は、CBT方式にて実施。
ウィキプロジェクト ウィキプロジェクト 資格
ウィキポータル ウィキポータル 資格
テンプレートを表示

概要編集

情報処理技術者試験の一区分である基本情報技術者試験(FE)には通常、午前試験と午後試験があり、2科目ともに基準点(満点の60%)以上の点数を取ることが合格の条件となっている。
しかし、試験を開催している情報処理推進機構(IPA)が認定した講座を受講し、その後、修了試験に合格することで、午前試験が免除される特典が存在する。午前試験が免除となるのは、原則、修了認定日から1年間(本試験2回分)である。
免除対象となる講座の多くは情報処理関係の専修学校専門学校)で開講されているが、一部の大学高等学校職業能力開発短期大学校企業などにも開講されている場合がある[2]
なお、この制度はあくまで講座を修了した者のみに与えられる特典であり、「本試験の午前で基準点以上だったが、午後が基準点未満だった」という場合の科目合格制度ではないという点に留意する必要がある。
午前試験免除制度は2005年度(平成17年度)から初級システムアドミニストレータ試験(初級シスアド)[3]基本情報技術者試験(FE)に導入された。

2023年(令和5年)4月から午前試験が科目A試験に名称変更されるのに伴い、午前免除制度は科目A試験の免除制度として引き継がれる予定である[4][5]

修了試験編集

修了認定に係る試験(しゅうりょうにんていにかかわるしけん)は6月第2日曜日・7月第4日曜日・12月第2日曜日・1月第4日曜日の年4回実施されるが、一つの講座を受講した後、修了試験を受講できるのは2回までである。2回とも合格できなかった場合は再度講座を受講し直す必要がある。
修了試験の形式は以下の通りである。本試験の午前とほぼ同じだが、本試験に比べて過去問からの出題が多いため、難易度は本試験の午前よりやや低いとされる。修了試験の問題はIPAが提供する[6]

試験時間150分。四肢択一式(マークシート使用)で80問出題され全問解答。素点形式で採点され60点以上で合格(満点は100点)。

民間資格の活用編集

以下の民間検定試験に合格した者も、FEの午前試験免除制度の講座を受講することができる。その際、履修する項目数は通常の講座よりも少なくなる[7]また、検定試験合格後に受講する講座を差分講習とも言う。なお、これは構造改革特別区域における特例処置として認められているものである。

このうち、サーティファイ情報処理技術者能力認定試験の2級または2級第一部の合格者は、IPAが提供する修了試験とは別に、サーティファイが提供する修了試験を受験することが可能である[10]
サーティファイ提供の修了試験は試験時間60分、問題数全30問となっており、通常の修了試験に比べて大幅に縮小されている。18問以上正解することで合格となる。

制度のメリットとデメリット編集

午前試験免除制度にはメリットもあるが、反面、デメリットも存在する[11]

メリット編集

受験者にとってのメリット
  • 先に午前科目の対策を片付けることで、修了試験合格後は午後科目の対策に集中することができる。
  • 修了試験は過去問からの出題が多いため、本番の午前科目よりも合格しやすい。
  • 午前科目が免除されることによって、本試験の試験時間が大幅に短縮される。
講座を開設する団体のメリット
  • 午前免除の講座を開設することで、FEの資格取得のモチベーションが上がり、合格率の上昇および資格取得実績のアピールに使える。

デメリット編集

  • 修了試験の講座は最低でも68時間以上は学習しなければならない[12]ため、人によってはかえって勉強時間が延長されてしまう。
  • 受験料とは別に講座の受講料がかかる。(社会人が通信講座を受講する場合など)
  • 受験する時期によっては、修了試験を受験できない可能性がある。
  • 修了試験に合格しただけでは履歴書に記載することができないため、本試験の午後科目までちゃんと合格する必要がある。

脚注編集

関連項目編集

外部リンク編集