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夏島 (敷設艇)

夏島(なつしま[28])は、日本海軍の敷設艇[3]。夏島型敷設艇の1番艇。艇名は夏島 (二等敷設艇)に続いて2代目[29]。夏島は横須賀軍港にあった島[29]。

夏島
新造時の「夏島」[1]
新造時の「夏島」[1]
基本情報
建造所 東京石川島造船所
運用者  大日本帝国海軍
艦種 (二等敷設艇[2] →) 敷設艇[3]
級名 夏島型
建造費 当初予算 1,235,000円[4]
母港 横須賀[5]
1940年以降 呉[6][7]
艦歴
計画 昭和6年度(1931年)[8]、①計画[9]
起工 1931年12月24日[10][11]
進水 1933年3月24日[10][11]
竣工 1933年7月31日[10]
最期 1944年2月22日沈没[6][注釈 1]
除籍 1944年4月30日[12]
要目
基準排水量 公表値 443英トン[10]
計画 450.00英トン[13]
新造時 475.8英トン[14]
公試排水量 新造時 538.3トン[15]
改造後 628トン[16] または668.7トン[17]
満載排水量 計画 615.50トン[13]
改造後 784.3トン[18]
全長 73.00m[13]
水線長 70.00m[13]
垂線間長 67.00m[13]
最大幅 8.00m[13]
水線幅 7.50m[14]
深さ 4.30m[13]
吃水 竣工時公試 1.954m[15]
工事後公試 2.841m(バラストキールを含む)[17]
工事後満載 3.130m(同)[18]
ボイラー ロ号艦本式混焼缶 2基[19]
主機 直立3気筒3段レシプロ 2基[19]
推進 2軸 x 325rpm[19]
直径1.850m、ピッチ2.170m[20]
出力 計画 2,300馬力[13]
新造時 2,380馬力[15]
速力 計画 19.0ノット[13]
新造時 19.398ノット[15]
燃料 重油：19トン、石炭：44トン[13](機雷搭載の場合)
重油：38トン、石炭：74トン[13](防潜網搭載の場合[21])
実際 石炭・重油計65トン[15]
航続距離 1,500カイリ / 12ノット[13](機雷搭載の場合)
2,500カイリ / 12ノット[13](防潜網搭載の場合)
または 2,500カイリ / 14ノット[14]
乗員 竣工時定員 39名[22]
1934年定員 74名[8][23]
1938年 94名[24]
兵装 8cm単装高角砲 2門[25]
13mm単装機銃 1挺[25]
八一式投射機2基、爆雷装填台2台[26]
八九式機雷 120個[26]
または爆雷 18個、一四式防戦網1組、四号大掃海具1組(機雷を搭載しない場合)[26]
搭載艇 6m内火艇1隻、6mカッター2隻、6m通船1隻[27]
工事後は性能改善工事後の値
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艦歴 編集

①計画艦[9]。1931年(昭和6年)12月24日石川島造船所で起工[10][11]。1932年(昭和7年)8月1日「夏島」と命名[28]。二等敷設艇とされた[2]。1933年(昭和8年)3月24日進水[10][11]、同年5月23日に敷設艇の等級が廃止され、類別は(等級無しの)敷設艇に改められた[3]。同年7月31日竣工[10]。横須賀鎮守府籍、横須賀防備隊所属(1936年時)[5]。

友鶴事件の後に復元性能改善工事を実施し、1939年(昭和14年)には船体補強工事を行い公試排水量は668.7トンに増加した[17]。

1938年(昭和13年)7月1日、支那方面艦隊の指揮下に入り[30]九江攻略作戦などに参加。

1940年(昭和15年)に本籍が横須賀鎮守府から呉鎮守府に移り、佐伯防備隊所属となる[7]。

太平洋戦争開戦時は佐伯防備隊に所属し[31]開戦後は同方面の対潜哨戒、防潜網や機雷の敷設、船団護衛などに従事する[6]。

1943年(昭和18年)4月1日鎮海警備府に派遣、旅順方面で行動する[6]。同年12月1日に所属を第八根拠地隊に変更[32]、5日佐伯に入港、10日出港して南東方面に進出した[6]。

1944年(昭和19年)2月1日に類別等級が(特務艇の)敷設艇から(艦艇の)敷設艇に移り[33]、改めて呉鎮守府籍となる[34]。

同年2月22日[注釈 1]、ラバウルに残っていた航空隊の整備員などを乗せトラックへ向かう途中ニューアイルランド島沖（またはニューハノーバー島北部海面[6]）でアメリカ駆逐艦「チャールズ・オースバーン」、「ダイソン」、「スタンリー」により沈められた[35]。

4月30日艦艇類別等級表から削除[36]、同日附で除籍された[12]。

艇長 編集

艤装員長
  • 林田綱雄 大尉：1933年4月25日[37] -

同型艇 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ a b #写真日本の軍艦第14巻p.105では2月21日となっているが、#日本海軍護衛艦艇史(1996)p.86などその他の文献では1944年2月22日としている。

出典 編集

  1. ^ #写真日本の軍艦第14巻p.80上写真の解説
  2. ^ a b #海軍制度沿革8(1971)p.109、昭和7年12月10日(内令413)『特務艇類別等級別表敷設艇二等ノ項中「夏島」ノ下ニ「、猿島、那沙美」ヲ加フ』。「夏島」記載の内令は不明
  3. ^ a b c #海軍制度沿革8(1971)p.109、昭和8年5月23日(内令190)
  4. ^ #戦史叢書31海軍軍戦備1p.407
  5. ^ a b #S11.12.1内令提要原稿/艦船画像14、特務艇本籍及所属
  6. ^ a b c d e f 伊達久「『敷設艇・電纜敷設艇』行動年表」#写真日本の軍艦第14巻p.105
  7. ^ a b #S15.6.25内令提要原稿/艦船画像21、特務艇ノ本籍及所属では横須賀鎮守府籍、横須賀防備隊所属。#S15.6.25内令提要原稿/艦船画像16、特務艇ノ本籍及所属では呉鎮守府籍、佐伯防備隊所属。
  8. ^ a b #日本海軍護衛艦艇史(1996)p.86
  9. ^ a b #戦史叢書31海軍軍戦備1p.411
  10. ^ a b c d e f g #S11.12.1内令提要原稿/機密保護画像12、艦船要目公表範囲
  11. ^ a b c d #S8公文備考F艦船1/第313号8.2.23敷設艇夏島工事予定概括表変更の件画像22、敷設艇夏島工事予定概括表(昭和8年5月改)
  12. ^ a b #自S19.1至S19.7内令/昭和19年4月(2)画像30-33、昭和19年4月30日附内令第602号『呉鎮守府在籍 敷設艇 那沙美 敷設艇 夏島 右帝國敷設艇籍ヨリ除カル』(妙録)
  13. ^ a b c d e f g h i j k l m #一般計画要領書(敷設艇)p.2
  14. ^ a b c #海軍造船技術概要(1987)p.654
  15. ^ a b c d e #軍艦基本計画資料Sheet17
  16. ^ #軍艦基本計画資料Sheet47
  17. ^ a b c #海軍造船技術概要(1987)p.655
  18. ^ a b #海軍造船技術概要(1987)p.656
  19. ^ a b c #一般計画要領書(敷設艇)p.20
  20. ^ #海軍造船技術概要(1987)下巻p.1716
  21. ^ #一般計画要領書(敷設艇)p.36の註として「2) 括弧内ハ防潜網搭載セル場合ノモノヲ示ス」とある。
  22. ^ #海軍制度沿革10-2(1972)p.883、昭和8年6月28日(内令225)「敷設艇夏島、猿島、那沙美乗員標準」。士官1人、特務士官1人、准士官1人、下士官11人、兵25人。
  23. ^ #海軍制度沿革10-2(1972)pp.884-885、昭和9年2月10日(内令55)「敷設艇夏島、那沙美乗員標準」。士官1人、特務士官2人、下士官20人、兵51人。
  24. ^ #戦史叢書31海軍軍戦備1付表第四その二「昭和十三年三月調艦艇要目等一覧表 その二 潜水艦、水雷艇、特務艦、特務艇、新造艦船」
  25. ^ a b #一般計画要領書(敷設艇)p.5
  26. ^ a b c #一般計画要領書(敷設艇)p.8
  27. ^ #一般計画要領書(敷設艇)p.26
  28. ^ a b #海軍制度沿革8(1971)p.379、昭和7年8月1日達第106号『艦艇製造費ヲ以テ昭和六年度ニ於テ建造ニ着手ノ驅逐艦三隻潜水艦二隻水雷艇二隻掃海艇二隻敷設艇一隻ニ左ノ通命名ス(中略)敷設艇 石川島造船所ニ於テ建造 夏島(ナツシマ)』(妙録)
  29. ^ a b #銘銘伝2014pp.545-546
  30. ^ #写真日本の軍艦第14巻pp.80-81下写真の解説
  31. ^ #S16.12.31内令提要原稿巻2,3/艦船(1)画像22、特務艇の本籍及所属
  32. ^ #S18.11-12内令5巻/昭和18年12月(1)画像8-9『内令第二千五百六十一號 昭和十八年内令第千八百三十三號別表中左ノ通改正ス 昭和十八年十二月一日 海軍大臣嶋田繁太郎 佐伯防備隊ノ項敷設艇ノ欄「夏島(呉)」ヲ削ル 第八根拠地隊ノ欄「那沙美(呉)」ノ次ニ「夏島(呉)」ヲ加フ』
  33. ^ #自S19.1至S19.7内令/昭和19年2月(1)画像1『内令第二百七十一號 艦艇類別等級別表中左ノ通改正ス 昭和十九年二月一日 海軍大臣嶋田繁太郎 驅潜艇ノ項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ | 敷設艇 | | |燕、鴎、夏島、猿島、那沙美| | 敷設艇 | |測天型 | 測天、白神、巨済、成生、石埼、鷹島、済州、荒井埼、由利島、怒和島、前島 |』
  34. ^ #自S19.1至S19.7内令/昭和19年2月(1)画像35-38、昭和19年2月1日内令第280号
  35. ^ 日本水雷戦史、409ページ、The Official Chronology of the U.S. Navy in World War II、1944年2月22日の項
  36. ^ #自S19.1至S19.7内令/昭和19年4月(2)画像27、昭和19年4月30日附内令第597号
  37. ^ 『官報』第1894号、昭和8年4月26日。

参考文献 編集

  • 海軍省/編『海軍制度沿革 巻八』 明治百年史叢書 第180巻、原書房、1971年10月（原著1941年）。 
  • 海軍省/編『海軍制度沿革 巻十の2』 明治百年史叢書 第183巻、原書房、1972年4月（原著1940年）。 
    • 片桐大自『聯合艦隊軍艦銘銘伝＜普及版＞ 全八六〇余隻の栄光と悲劇』潮書房光人社、2014年4月（原著1993年）。ISBN 978-4-7698-1565-5。 
  • 『世界の艦船増刊第45集 日本海軍護衛艦艇史』、海人社、1996年2月、ISBN 4-905551-55-2。 
  • 福田啓二 編『軍艦基本計画資料』今日の話題社、1989年5月。ISBN 4-87565-207-0。 
  • 防衛庁防衛研修所戦史室『海軍軍戦備＜1＞ 昭和十六年十一月まで』 戦史叢書第31巻、朝雲新聞社、1969年。 
  • 牧野茂、福井静夫 編『海軍造船技術概要』今日の話題社、1987年5月。ISBN 4-87565-205-4。 
  • 雑誌「丸」編集部 編『写真 日本の軍艦 第14巻 小艦艇II』光人社、1990年9月。ISBN 4-7698-0464-4。 
  • 「敷設艇 一般計画要領書 附現状調査」。 
  • 木俣滋郎『日本水雷戦史』図書出版社、1986年
  • Robert Cressman, The Official Chronology of the U.S. Navy in World War II, Naval Institute Press, 2016, ISBN 9781682471548
  • アジア歴史資料センター(公式)(防衛省防衛研究所)
    • 『公文備考 昭和8年 F 艦船 巻1/第313号 8.2.23 敷設艇夏島工事予定概括表変更の件』。Ref.C05022835800。 
    • 『昭和18年11月～12月 内令5巻/昭和18年12月(1)』。Ref.C12070182600。 
    • 『自昭和19年1月 至昭和19年7月 内令/昭和19年2月(1)』。Ref.C12070194400。 
    • 『自昭和19年1月 至昭和19年7月 内令/昭和19年4月(2)』。Ref.C12070195100。 
    • 『昭和11年12月1日現在 10版 内令提要追録第1号原稿/巻1 追録／第6類 機密保護』。Ref.C13071968200。 (艦船要目公表範囲)
    • 『昭和11年12月1日現在 10版 内令提要追録第1号原稿/巻3 追録／第13類 艦船』。Ref.C13071969000。 
    • 『昭和15年6月25日現在 10版 内令提要追録第7号原稿/巻3 追録／第13類 艦船』。Ref.C13071990500。 
    • 『昭和15年12月25日現在 10版 内令提要追録第8号原稿/巻3 追録／第13類 艦船(1)』。Ref.C13071993800。 
    • 『昭和16年12月31日現在 10版 内令提要追録第10号原稿巻2,3/巻3 追録／第13類 艦船(1)』。Ref.C13072003500。 

関連項目 編集

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