性教育

人間の性差、性器、性行動や、それに関連する社会道徳、公衆衛生などに関する教育

性教育(せいきょういく、英語: Sex education)とは、性別や性器性交生殖妊娠避妊[1])、男女の体のしくみ、恋愛感情や性的指向、性自認等の自己の性にかかわる事柄に対する考え方、それによって影響される態度や行動の仕方等のセクシュアリティ全般、人間と性について行われる教育全般を意味する言葉である[2][3]

教育ツールの一例。性教育の際に避妊法を説明するために使われる小冊子 (オーストリア、ウィーン、ヨーゼフシュタット地区博物館)

概要 編集

狭義には家庭や学校における教育を指し、広義には仲間同士のコミュニケーションや学び合い、様々なメディアを通しての情報のやり取り等も含まれる[3]

Leepson は性教育を、性的な反応と生殖に関する生理学的、心理学的、社会学的な様々な側面についての指導と捉えている[4]。Kearney は性教育を、「人間としての個人と社会制度としての家族を最もよく守ることができるような社会的に望ましい態度・習慣・個人的行動を、子どもや大人に身に付けさせるよう計算されたものであり、学校による包括的な(目標達成のための)活動指針を含む」と定義している。よって性教育は「セクシュアリティ教育」とも表現され、家族計画、生殖(受精、受胎、胚・胎児の発育から出産まで)に関する情報に加え、身体イメージ、性的指向、性的快楽、価値観、意思決定、コミュニケーション、交際、人間関係、性感染症とその予防方法、避妊法など、セクシュアリティのあらゆる側面に関する情報も含めた教育が盛り込まれている[4]

性教育の様々な側面は、生徒の年齢やタイミングに合わせ、子どもたちの理解力に応じて、学校で教育が行われることが適切だと考えられている[5]。Rubin と Kindendall は、性教育とは、単に生殖の話やどのように赤ちゃんを妊娠し誕生するかを教えるだけではなく、むしろ、子どもたちが現在と将来の生活に性をより有意義に取り入れるのを助け、子どもたちが完全に成熟するまでに、性のほぼ全ての面について、ある程度の基本的な理解を与えるという、はるかに幅広い範囲と目標を持っていると述べている[5]

心理学者の青野篤子は、「性教育において最も重要なことは、知識を与えることではなく、自分の意志に基づいた行動選択ができるようにすることである。」と述べている[3]

性教育の方向性 編集

浅井春夫は、性教育を「セクシュアリティをめぐる社会の動向を反映し再生産するもの」と位置づけ、性教育の現状の方向性を3つ挙げている[3]

  1. 性道徳を教え込み性行動の抑制をめざす
  2. 罰則的対応で性行動の抑制をめざす
  3. 現状を踏まえて性的健康と性的自己決定の育成をめざす[3]

近年は 3 の方向性の性教育が求められているが、性について、セクシュアリティについて、何をどの年齢で教えるかについては議論が噴出している[3]。特に、「コンドームの装着方法、ピルの推奨、性的マイノリティに関する知識、快楽やコミュニケーションとしての性行為」などを性教育の中で教えることに対しては、「過激な性教育」「行き過ぎた性教育」という反発、性教育バッシングが少なくない[3]。日本、アメリカ、イギリスといった性教育に対する保守派の活動が盛んで、保守的な性教育が行われている国では、若者の性感染症や中絶が多いことが指摘されている[3]

性教育のフレーム 編集

現在行われている性教育には様々なフレームがある。福永玄弥によると、東アジアで用いられてきたフレームには「純潔教育」「道徳教育」「性教育」「人権教育」「包括的セクシュアリティ教育」「男女平等教育」「ジェンダー教育」「ジェンダー平等教育」等がある[6]。性教育のあり方は流動的で多様であり、こうした様々なフレームに基づいて多様な性教育が行われ、性教育をめぐる闘争が行われてきた[6]

開始年齢 編集

女子が思春期を迎える年齢は8歳から13歳、男子は9歳から14歳である[7]。保健の専門家たちは、どのような性教育が発達段階にふさわしいかについてコンセンサスを示しており、アメリカ疾病予防管理センターの思春期・学校保健部門のディレクター、キャスリーン・イーシアーは「どの年齢でも、自分の体に何が起こっているのかを理解することが大切」だと述べ、小学2年生までに、性器に関する用語を含め、医学的に正確な用語を使えるようにする必要があるという、コンセンサスに沿ったガイドラインを示している[7]ユネスコの『国際セクシュアリティ教育ガイダンス(2018年1月改訂)[8][9]』では性教育の開始は5歳からで、女性の性の保護や性的マイノリティの人権保護で世界的に先進的なオランダでは、性教育の開始は4歳である(初等教育は4-12歳)[10][11]

エビデンス 編集

包括的性教育と避妊具を入手可能な環境を組み合わせることで、10代の若者の意図しない妊娠英語版の割合が減少することが実証されている[12]。包括的な性教育プログラムと禁欲主義性教育(純潔教育)のプログラムを比較したメタアナリシスでは、禁欲主義のプログラムは妊娠の可能性を減少させず、むしろ増加させた可能性があることが示された[13]。多くの研究が、コンドームや避妊に関する正確な情報を提供するカリキュラムは、意図しない妊娠や性感染症を減少させるだけでなく、若者の危険な性行動の減少につながることを示している[14]。一方、禁欲主義性教育の効果は示されていない[14]

国連人口基金(UNFPA)は「2010年のレビューでは、『ジェンダーに焦点を当てた』カリキュラム、つまりジェンダー平等を学習教材に組み込んだカリキュラムは、ジェンダーを考慮しないプログラムよりも、危険な性行動を減らす上で大幅に効果的であることがわかった」としている[14]。また、性交開始の年齢が後ろにずれること、コンドームの使用、避妊の実践は、若者がジェンダーの役割について平等主義的な考えを持った結果であることが、調査で示されており、このような人々は暴力的な性関係に陥る可能性が低く、HIVを含む性感染症や意図しない妊娠の割合が低いこともわかっている[14]

権利とジェンダーの問題に重点を置くことで、これらの教育プログラムは、ジェンダーに基づく暴力やいじめを減らし、学校をより安全な場所にし、若者が自らの権利を主張できるよう支援し、ジェンダー平等を促進するのに役立っている[14]

「性的健康への介入(支援)は、青少年の意見を取り入れてデザインされたものはほとんどない。青少年は、性教育は、解剖学や(こうしなければこんなひどい目にあうという)脅しを強調せずに、もっと肯定的であるべきであり、性的関係における建設的な話し合いのスキルやコミュニケーションに焦点を当てるべきで、青少年がよく訪れる場所(例えば、学校のトイレやショッピングセンターなど)で、性的健康の相談所の詳しい情報を伝えるべきだと提案している」[15]

また、アメリカのレビューは「圧倒的なエビデンスの重みは、避妊について議論する性教育が性行為を増加させないことを示している」と結論づけている[16][17]。2007年の調査では「包括的プログラムは、性行為の開始を早めたり、性行為の頻度を増加させることはなかった。」「包括的プログラムは、男女ともに、すべての主要な民族グループに対して、性的に未経験の10代と経験済みの10代に対して、様々な環境・コミュニティにおいて効果があった」ことを示した[17]

より包括的な性教育が行われることで、性感染症や妊娠率は低下する[18]。また、性教育の内容によって、子どもたちの意識が異なることもわかっている。オランダの性教育カリキュラムとアメリカの性教育カリキュラムの比較によると、(より包括的な性教育が行われている)ヨーロッパとオランダの10代の若者は、(あまり包括的な性教育が行われていない)アメリカの10代の若者よりも、平均して高い年齢で性交渉を行っている。オランダの10代の若者が積極的かつ同意の上で最初の性体験をしたと報告しているのとは対照的に、性的にアクティブなアメリカの10代の若者の66%は、最初の性体験をもっと待てばよかったと報告している[19]

オランダでは、10代の若者の10人に9人が初めての性体験の際に避妊をしており、これが妊娠率や性感染症の感染率の低下に寄与している[20]。小学校程度から始まるより包括的な性教育は、性の多様性への理解、デートや親密なパートナーからのDVの防止、健全な人間関係の構築、児童性的虐待の防止、社会的・情緒的な学びの向上、メディアリテラシーの向上につながった[21]

性教育の国際指針と包括的性教育 編集

インターネットの急速な普及で、子どもたちが性情報に曝されるようになり、各国が性教育の国際指針を取り入れた性教育実践を進めている[22]。1999年に世界性科学会(World Association of Sexology)が性の権利宣言を出し、これ以降、多様な国際機関が性や性教育に関する指針を出している[22]

パン・アメリカン保健機関英語版(PAHO)と世界性科学会(WAS)が WHO と共同で、2000年に『セクシュアル・ヘルスの推進・行動のための提言』を作成、行動戦略の一つに「包括的性教育をすべての人々に提供する」ことを挙げた[22]。包括的性教育(comprehensive sexuality education(CSE))は、アメリカではHIVの予防や10代の予期せぬ妊娠・中絶を減らすことを直接的な目的に始まった[22]

2009年には、UNESCO等が「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」を出しており、5-8 歳、9-12 歳、12-15 歳、15-18 歳の発達段階ごとに学習目標が設定された[22]。包括的性教育プログラムによる教育を受けた生徒と受けていない生徒の性行動調査の報告も掲載されている[22]。女子栄養大学の橋本紀子は、このガイダンスは、「「禁欲主義教育(純潔教育)」に対抗し、グローバルに性教育を普及させるために、広範な合意を得られる「性の不健康の防止」に重点を置かざるを得ない側面がありました。」と述べている[22]

2010年には、WHOヨーロッパ地域事務所(WHO加盟の欧州とイギリス、中央アジアを含む53カ国をカバー)とドイツ連邦健康啓発センターによって「ヨーロッパにおけるセクシュアリティ教育スタンダード 政策者、教育・健康機関および専門家のための枠組み」が出された。これはより「セクシュアリティの局面を全方位的にとらえ、セクシュアリティを誕生から人間の生涯にわたる「人格と性の成長・発達」として、とらえ、彼らの性教育プログラムを「Holistic Sexuality Education(ホリスティックな性教育) と表現」しており、「これまでより関係性の側面を重視し、人格的な結びつきを強調するもの」となっている[22]

この2つが国連諸機関の言う包括的性教育の普及に大きく貢献し、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、民主党政権の米国、南アフリカ共和国、東アジア、南アジアの国々(中国、台湾、韓国、タイ等)でも取り組まれるようになった[23]。 男女間での性に関する知識やスキルについてだけでなく、ジェンダー性的志向の多様性、人権、幸福を学ぶ概念としての包括的性教育が普及しつつある[1][24]

2009年のUNESCOらのガイダンスは2018年1月に改訂され、ジェンダーの理解や価値、文化などの側面が強化され、欧州のスタンダードに近づいた[22]。8領域の広い射程からセクシュアリティを捉え、性行為や避妊の方法だけでなく、友情や恋愛などに関する人間関係やジェンダー論まで、包括的な内容となっている[22][25]

国際セクシュアリティ教育ガイダンスにおける8つのキーコンセプト
  1. 人間関係
  2. 価値観、人権、文化、セクシュアリティ
  3. ジェンダーの理解
  4. 暴力と安全確保
  5. 健康とウェルビーイング(幸福)のためのスキル
  6. 人間のからだと発達
  7. セクシュアリティと性的行動
  8. 性と生殖に関する健康
— 『国際セクシュアリティ教育ガイダンス【改訂版】』[9]

国連人口基金(UNFPA)は2014年に「包括的性教育運用のためのガイダンス- 人権とジェンダーに焦点をあてて」を出しており[23]、包括的性教育を推奨している。UNFPAによると、包括的性教育とは次の通りである[26]

包括的性教育は、若者の発達に合わせて、年齢に応じた情報を提供しながら、数年間にわたり行われる。人間の発達、解剖学、妊娠に関する科学的に正確な、カリキュラムに基づいた情報が含まれる。また、避妊やHIVを含む性感染症に関する情報も含まれる。さらに、情報を与えるに留まらず、自信やコミュニケーション能力の向上も促す。カリキュラムは、文化的規範、家族生活、対人関係など、セクシュアリティと生殖を取り巻く社会的問題にも取り組むべきである。

人権問題、ジェンダーの平等、ジェンダーの役割は、こうした議論のあらゆる側面に組み込まれるべきであり、これには、人権の保護、充実、エンパワーメント、ジェンダー差別の影響、平等とジェンダーに対する配慮の重要性、ジェンダー役割の根底にある考え方が含まれるとしている。性的虐待、ジェンダーに基づく暴力、有害な慣習も議論されるべきである。これらにより、若者たちは自分自身の行動に責任を持ち、他者の権利を尊重するために必要なライフスキルを学ぶことになるという[14]

包括的性教育は、「若者が自分のセクシュアリティと健康について、十分な情報を得た上で決定できるようにするものである。これらのプログラムは、ライフスキルを身につけ、責任ある行動を促すものであり、人権の原則に基づいているため、人権、ジェンダー平等、若者のエンパワーメントの推進に役立つ。」[14]

性教育プログラムの検証 編集

オーストラリアやイギリス、アメリカの一部の学校では、10代の妊娠を防ぐ目的で、子育ての実際を教えるために、生徒がリアルな赤ちゃんロボットを預かり、ミルク、おむつなどの世話するプログラムが行われているが、それが実際に期待通りの効果を上げたかについての研究はほとんどなく、10代の妊娠の減少という目的に効果があるという証拠はほとんどない[27][28]。ランセット誌に掲載された2016年のオーストラリアでの研究では、プログラムに参加した女子の10代での妊娠率は17%、参加しなかった女子は11%で、わずかではあるが統計的に有意な差が見られ、目的とは逆の結果が示された[27][29]。サリー・ブリンクマン准教授は、「10代の若者は脆弱な集団であり、彼らを対象とした介入ベースのプログラム、特に人生に影響する可能性のある10代の妊娠のようなものに対処するプログラムは、常に確実な証拠に裏付けられるべきである」「私たちの研究が示したのは、たとえ非常に善意に満ちたプログラムであっても、予期せぬ結果をもたらす可能性があるということだったと思う。だからこそ、研究は非常に重要なのだ。オーストラリアは10代の妊娠率がOECD加盟国21カ国の中で6番目に高く、この問題の一因となるプログラムに資金を提供すべきではない。」と述べ、赤ちゃんロボットを世話するプログラムは生徒たちにとって魅力的でやりがいを感じていると思われ、赤ちゃんロボットを返却する際に非常に動揺し、中にはカウンセラーが必要になる女子もいたと指摘している[27]。こうした研究結果にもかかわらず、このプログラムを引き続き行っている学校もあり、赤ちゃんロボット RealCare Baby の製造元によると、2019年時点でアメリカの学区の3分の2で使用されている[28]

イギリスでは、10代の妊娠、薬物使用等の減少のための青少年育成プログラムの有効性を評価するため、専門家によって10代の妊娠、薬物乱用、学校からのドロップアウトのリスクがある、または脆弱であるとみなされた13-15歳の若者を対象に、54の青少年サービス施設で、介入性・薬物教育を含む集中的で多要素の青少年育成プログラム(Young People's Development Programme:YPDP)と標準的な青少年教育との前向き比較研究が行われた[30]。主なアウトカム指標は18ヵ月後時点での、妊娠、週1回の大麻使用、月1回の飲酒などで、結果は、介入群の女子は比較群の女子よりも妊娠を報告することが多く(16%対6%)、介入群の女子はまた、早期の異性間の性体験(58%対33%)および10代で親になるという予測(34%対24%)をより多く報告しており、介入が異性経験の遅延や妊娠、飲酒、大麻使用の減少に効果的であるという証拠は認められなかった[30]。悪影響が示唆された結果もあった[30]。方法論的な限界によって結果の一部は説明できるかもしれないが、それらしい原因としては、参加者がよりリスクの高い仲間と出会い、問題児というレッテルを貼られたと感じたことが考えられる[30]。プログラム内の性教育は比較的小規模で施設により実施内容にはばらつきがあり、また、性教育から生じる害のエビデンスは少なく、性的な行動に関する結果がプログラム内の性教育に起因する可能性は低い[30]。この実証プログラムは 2004 年から 2007 年まで実施された[31]

各国の性教育 編集

アメリカ 編集

キリスト教と純潔教育 編集

アメリカ合衆国では1980年代半ばから、性病やエイズ感染症の予防からコンドームの使用指導をしていた。しかし1990年代初めより、キリスト教右派の「絶対禁欲性教育英語版」が導入された。結婚するまで絶対にセックスをしてはならず、妊娠の医学的仕組み、避妊の仕方も教えてはならないというもの。ブッシュ政権は莫大な資金援助をしたが、避妊を教えた場合は助成金を打ち切った。その結果、一部の州で未成年者の性病罹患と妊娠が急増した[32][33]

アメリカ心理学会の研究では、「包括的性教育」の有効性が示されているとした[34]。包括的・総合的な性教育の有効性は、査読誌の記事の複数によって明白であるとする一方、「絶対禁欲性教育」は深刻な危険があるとの指摘がなされている[35]

ハーバード大学の18-25歳を対象にした「思いやりの常識化」調査では、若者の3分の1が性的同意について親と話し合ったことがない。一方、コロンビアの大学調査ではセックスの誘いを断ることを学んだ学生はレイプの被害が半数になる。小児から体のつくりを教わり触れられることの自己決定や他者尊重を学ぶ性教育は、加害者化も被害者化を防ぐことに有効であることが分かっている。しかし1990年代以降、性教育を行う際の性的自己抑制を義務づける法律が28州で成立したことで包括的性教育に取って変わられた問題がある。ポルノが非現実的なものとして理解していく「ポルノリテラシー」教育も新しい教育方法として試みられている[36]

イギリス 編集

イギリスでは中等学校(11歳から16歳)での性教育が1994年より義務化された[37]。イギリスの10代少女の妊娠数は1960年代終わりから1970年初頭にかけて正式統計で年間13万件以上、実数は20万とも30万とも言われるほど多く、学業の継続困難から安定した職業に就くことも出来ず、貧困問題とも結びついて社会問題化していた[38]。また1980年代後半におこった性感染症とエイズの問題が性教育の必要性を後押ししたとされ、その後10代の妊娠は少しずつ減っていった[38]

フランス 編集

フランスではどのような相手でも体の大切な部分を触らせない教育の重要性を説いている[39]

北欧 編集

2007年のTIME誌によると、デンマークでは性教育を特定のクラスに限定せずに、必要な際には授業のあらゆるカリキュラムにおいて話し合われるとしている。スウェーデンでも同様で、性教育は1956年以降必修であり、7歳から10歳のときに始まるとしている。フィンランドでは15歳時に学校でパンフレットやコンドームなどの入ったパッケージを渡されるという。スウェーデンでは通常、17歳で処女を失うとされ、それは15年前と変わらないとしている。[40]

日本 編集

日本の性教育の概説 編集

文部科学省では「性教育」という言葉を避け、「性に関する指導」という用語を使っている[41]が、本記事においては「性教育」という語で統一して記載する。

日本では、体育・保健体育の授業で小学校4年生で「体の発育・発達」、同5年生で「心の発達及び不安、悩みへの対処」[42]、中学校1年生で「身の機能の発達と心の健康」[43]として性教育を受ける。初めて学ぶ小学校4年生では、思春期初来の平均年齢[注釈 1][44]の関係上、男子は思春期前に学ぶ者が多いが、女子は思春期初来(Thelarche)後に学ぶ者が多くなる。

小学校では体や心の変化を中心に取り上げ、自分と他の人では発育・発達が異なり、いじめなどの対人トラブルを起こしやすいことから、発育・発達の個人差を肯定的に受け止めることを特に取り上げる。また、発育・発達を促すための食事運動、休養・睡眠なども取り上げる。中学校では体や心の変化に加えて生殖も取り上げられるが、受精・妊娠までは取り上げられても学校や教師によっても違うが妊娠の経過は取り上げられない事が多い。これに対し、義務教育で性交を教えないのは刑法に定める「性的同意年齢13歳」と矛盾するのではないかとの指摘がある[45]

性行為について取り扱わない理由は、学習指導要領に「妊娠の経過は取り扱わない」とする一文があるためである[46]。これは通称「歯止め規定」と呼ばれている。歯止め規定に関して文部科学省は、決して教えてはならないというものではなく、全ての子供に共通に指導するべき事項ではないが、学校において必要があると判断する場合に指導したり、あるいは個々の生徒に対応して教えるということはできるものと国会で答弁している[47]。なお「歯止め規定」が学習指導要領に初めて記載されたのは1998年と文部科学省は述べているが、NHKが行政文書の開示請求を行ったのに対し、文部科学省は「はどめ規定が記載されるまでの経緯の詳細を示す文書はございません」と回答した[46]

「歯止め規定」については2018年に東京都足立区立の中学校で性の正しい知識を教えるため避妊や中絶等も盛り込んだ授業を行ったところ東京都議会で紛糾し、「課題があった」と答弁があったため教育現場が委縮する状況になった[48]

一方で初経の授業はあっても、ブラジャーについては学ぶ機会はほとんどなく、思春期の乳房が成長中(途中で初経を挟む約4年間)にジュニアブラを着用せずにノーブラだったり、大人用のブラジャーをつけたりとした問題が起きている[49][注釈 2][50]

トランクス着用の小中学生が増加したことで一部の自治体では小中学生にブリーフの着用を勧める活動が組織的に行われるようになった。2000年代前半頃より東京都足立区の一部の小中学校では性教育活動に熱心に取り組んでいる女性養護教諭が性教育の一環で小中学生の下着指導を行い、その活動の輪が足立区全体で拡がったことによるものである。養護教諭は男子生徒に体育の授業でトランクスでは陰部が見えるとの理由でブリーフの着用を提唱し、男子生徒にブリーフの着用を実践させている[51]

一方、統一教会系の新聞「世界日報」は「過度な性教育は子供たちに大きな影響を及ぼしかねない」と紙面で批判を行っている[52]。2005年には自民党が「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」を安倍晋三を座長に、事務局長は山谷えり子参議院議員で発足させた。養護学校で性教育に使われていた性教育人形を「セックス人形」と呼び批判を行った。このほか統一教会による学校現場での性教育批判も行われたという、性教育啓発活動を行う医師の証言が報道されている[53]。また教団が作成した「新純潔宣言」と題した信者向けの冊子の冒頭には性解放思想に基づく性器・性交・避妊教育の性教育に反対することが掲げられており、その姿勢が性教育バッシングの発火点につながったと立教大学浅井春夫は語っている[54]

また、児童を対象とした性犯罪や父母、兄姉による児童性的虐待が問題となっており、これらに被害児童の性に対する無知につけこんだ物が多い事から、思春期前のより早期からの性教育によって、子供に自身が性的搾取から保護されるべき権利主体である事を認識させようとする動きが見られる。子供への性虐待の研究では、加害者の中には多くの子ども達の中から拒否できない子を瞬時に見出す能力を持つ人間がいるため、アメリカ合衆国での小学校2年生女子へのレイプ事件をきっかけに生まれた子どもに対する暴力防止CAPプログラム(Child Assault Prevention)の受講や被害拡大することを防ぐために知識を得る性教育が有効としている[55]

2019年3月28日、東京都教育委員会は教員向けの指導書「性教育の手引」改訂版を公表し学習指導要領の範囲を超えた授業の実施を初めて容認した。手引は小中高校、特別支援学校での性教育の考え方をまとめ、コンドームピルでの避妊や、人工妊娠中絶できる時期がかぎられていること、性交相手の過去は分からないため性感染症の危険があること、SNSで性的な画像を送ると削除できないことを伝える。性の多様性にも初めて言及し性同一性障害や性的指向などへの配慮を明記した[56]。一方、ピルは、機能性月経困難症の痛みを放置すると将来的に子宮内膜症になるリスクが約2.6倍となり不妊症にもつながる状況を予防や治療する薬でもあるが、性に関する正しい知識が大人にも備わっていない実態がある[57][58]

2020年度より、幼稚園中学校高校大学で「生命の安全教育」という新しい教育を始める方針があるが、引き続き性行為や避妊は取り扱わない予定とされている[59]

日本産科婦人科学会では、各年代の女性が正しい性と健康の知識を得るために2014年に『HUMAN+』という冊子を作成して公開している[60]。日本産婦人科医会でも、公式サイトにて若年層の2016 年の年齢別出生・中絶統計で20再未満の半数以上が中絶を選択する現状を示し、中学校で性交や避妊を取り上げるべきではないと悠長なことを言えず、義務教育が終わる中学校卒業までに教えないと間に合わないとの危機感を表している[61]

2017年頃には時期尚早との意見もあるが、日本では小中学生に性的少数者の教育をするところもある[62][63]

2011年の警視庁の「電車内の痴漢防止に係る研究会の報告書について」では、被害者のうち高校生が36.1%と最多数を占めているが、被害者の多くが被害に遭っても声を上げることができず、「相談する場所が分からない」「啓蒙活動が足りない」などの声を寄せている[64]。また加害者の性的犯罪依存を治療する識者も、痴漢は99%を占める男性の問題であり痴漢撲滅の予防行為として、予防教育、性教育や啓発活動が必要だと語っている[65]。痴漢は未成年者の被害者が多いにもかかわらず被害時の相談先など具体的に教わることがなく、また自分も相手の体も大切にする性教育が不足することで認知のゆがみが生まれているのではと問題を提起している[66]

2023年1月、日本弁護士連合会は、日本の学校教育における性教育について国際的標準から極めて遅れていることを憂い、成人向け性情報の氾濫による誤った認識や価値観の植付けから起こる性被害や予期せぬ妊娠などの問題対応と人権保障の観点から、国及び地方公共団体が包括的性教育を実施するとともに、SRHRを保障する包括的な法律の制定及び財政的裏付けを伴う制度の創設が必要であると提言した[67]

2023年には男子校の灘高等学校が、近隣の甲南女子大学生を招き女性の生理やデートDV、性的同意について学ぶ性教育授業を行った。7月に刑法改正で性的同意が盛り込まれ、不同意性交罪ができたこと、性交同意年齢は13歳から16歳に引き上げられたことを含め議論を交わし理解を深めた[68]。この授業に対し、成人男性からのツイートでは卑猥な揶揄やからかいの発言が起こり、参加した実際に授業を受けた灘高生に反感を買っている[69]。アメリカにおいては、高校で女生徒に対する痴漢・セクハラ発言で学校に訴えられた男子生徒は停学処分となり自殺念慮を抱え、大学推薦も得られず訴訟になった事件も起こっている現状がある。米国性教育基準の指導では少年達が性暴力を犯すリスクを抑制する目的も包括しているが2019年時点で公立校で性教育義務づけの州は全米の29州に留まる[70]

日本の性教育の歴史 編集

明治中期から昭和初期にかけて

第二次世界大戦前の性教育学者たちの言説には、明治以前の性的卓越性という男らしさの尺度を禁じつつ、男としてのアイデンティティを保持するために「学生時代は禁欲し、立身し然るべき時期に結婚して一家を成す」という、新しい「男性としてあるべき姿」像が含まれていた[71]

1890年(明治23年)頃から学生間での風紀の乱れと花柳病の蔓延がメディアを通じて社会問題となり、1900年代頃から学生の性の扱いに打つ手を持たない教育界を医学界がリードする形で、医学者と教育者との議論によって性教育が形成されていった[71]。初期の性教育の使命は、若者の自然で健全な性欲を衛生的かつ倫理的に適った方向に誘導する、というものであり、議論のポイントは「手淫の害」と「花柳病の害」の予防法だった。しかし、科学に基づいた性知識の普及が学生の性的悪行を刺激し手助けする、という批判から、花柳病の具体的な予防法は教授せずに、若年の性交や恋愛は危険であり学生の間は学業に専念し禁欲せよ、という強制禁欲主義の教育がなされるようになった[71]

山本宣治大正から昭和初期にかけて性教育についての啓蒙活動を行い、1922年(大正11年)に来日した産児制限で著名なマーガレット・サンガーの講演の通訳を務めるなどした[72]星野鉄男は昭和初期に『性教育に就いて』(1927年)などを著し、性教育は単に性欲についての知識を与える性欲教育ではなく、「社会を構成する男と女の全部」に必要な、今で言うところの生涯教育であると主張した[72]羽太鋭治は大正期においてドイツの性科学を下敷きに性教育についての著書をいくつか書き、昭和初期に大衆向けのハウツー本を多数出版した[72]。太田武夫(太田典礼)は避妊リングの考案や1936年(昭和11年)に雑誌『性科学研究』を創刊するなど、性の研究を通じて社会問題に取り組んだ[72]梅原北明エログロの先駆となる雑誌『グロテスク』を1928年(昭和3年)に創刊するなどした[72]

純潔教育から性科学への変化

日本の性教育の始まりは、1945年(昭和20年)の第二次世界大戦敗戦直後から国が主導してきた「純潔教育」に遡る。風俗対策や治安対策の一環としてスタートした[73]性科学者で京都精華大学ポピュラーカルチャー学部教授の斎藤光によると、1947年(昭和22年)にGHQの支援を受けて婦人民主クラブが創立され、発起人の一人である救世軍士官牧師)の山室民子は、「一夫一妻結婚の貫徹」「男女ともに婚前性交の禁止」「男性の買春への批判、女性の人格を認め、女性の性の商品化と決別する」などの主張をした。これは日本キリスト教婦人矯風会等の性 ・ 結婚思想の基軸となってきたもので、戦前から存在する思想である[74]

1972年(昭和47年)、日本性教育協会が設立され、純潔教育から性科学を主軸にする性教育へと転換した[73]

性教育元年

1992年平成4年)、学習指導要領が改訂され、性に関する具体的な指導が盛り込まれたことで「性教育元年」と呼ばれた[73]

学習指導要領の改訂で、思春期の成長は「男子=声変わり」から「精通」と定義され、これにより男女が名目上は平等に性教育を受けられるようになり、教育現場では射精をどこまで掘り下げるかなど試行錯誤をしていた[75]

エイズが社会問題化し、HIV教育の重要さがフォーカスされたことで、小学校6年の理科で扱う人体の学習が3年生に前倒しされ、5年生に『人の発生と成長』が位置づけられるなど、性教育に発展の兆しが見られるようになった[73]

性教育の後退

2005年3月4日の参議院予算委員会では、山谷えり子参議院議員が「ペニスヴァギナなどの用語を使いセックスを説明するのは過激で、とても許せない」と批判し、小泉純一郎元首相も同意した。自民党の安倍晋三を座長とした「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」が設置され、性教育は余計に性を乱すと批判した[73][75]。山谷えり子は「性なんて教える必要はない」「オシベメシベの夢のある話をしているのがいい」「結婚してから知ればいい」と主張した[75]。これにより学習指導要領が変更され、「受精」は扱うが「受精に至るプロセス」は扱わず「性交」という言葉も削除されるなどした[75]。元一橋大学非常勤講師の村瀬幸浩は、日本は性教育後進国となったと評している[75]

日本における性教育を巡る論争 編集

  • 七生養護学校事件:東京都立七生養護学校(当時)が取り組んでいた障害児への性教育を2003年に東京都議会議員らが非難し、複数の都議らが学校に乗り込んで教材を持ち去り、東京都教育委員会が教員らを処分した事案[76]。七生養護学校の教員や保護者、関係者は人権侵害を訴えて提訴し、2008年に東京地方裁判所は東京都教育委員会の裁量権乱用を認め処分取り消しを命じる判決を言い渡し、2013年に最高裁は都議らの行為を教育基本法で禁じる「不当な支配」にあたると認定し、都議側が原告に賠償金を支払う判決を下した[73][77][76]。原告の一人で教員であった日暮かをるによると、おおむね勝訴の結果となったが、事件を機に性教育の現場が萎縮する影響があった[76]
  • 『思春期のためのラブ&ボディBOOK』回収・絶版:性行動の低年齢化や人工妊娠中絶、不測の事態の対応について書かれた冊子『思春期のためのラブ&ボディBOOK』が中学校に無料で配布されたが、内容の一部が過激だとして批判され、2002年に回収・絶版となった[78]。2002年に国会の議論の対象になった[79][80]

男子の性教育 編集

女子は妊娠・出産に備え親や学校が月経のメカニズムを教えるが、男子には「別に教える必要はない」という風潮が続いた。思春期になれば性的な欲求や関心が高まり、メディアや友達を通じ、様々な性情報にアクセスするようになるが、科学的に正しい知識ではなく、誤解や偏見によって理解や認識が歪むことも少なくない[81]。高1男子100人に「射精や性器についての相談相手は?」をアンケートした際は、誰にも相談できないが70%、友達が20%、家族・親戚が9%だったとし、誰にも相談できず、悩んでいる子供が多い実態を指摘した[82]

津田塾大学講師の村瀬幸浩は「レイプが女性の人格を切り裂く殺人的行為だなんて考えたこともなかった。セックスのバリエーションのひとつと思っていた」などの認識や、望まない妊娠や中絶において彼氏の「他人事感」が問題となる場合、無知ゆえにリアルな想像や共感ができなかったことも原因だとし[75]、性教育は大人が子どもに対して果たすべき責任だとしている[81]

埼玉大学教育学部教授の田代美江子は、「性をいやらしいと考えている大人」や「性と真正面から向き合わない大人」は、極めて個人的な感覚に端を発するタブー意識を拠りどころに性を捉えており、大人たちが体系的な性教育を受けていないことから、「小学生には早い」「中学生に避妊なんて教えてどうするんだ」という価値観がストッパーになってしまうとしている[73]

男性器の包茎に羞恥心を抱き、美容整形クリニックの過剰な宣伝文句につられて意図せず高額な手術を受けてしまう被害もある。また包茎は不潔で、感染症のリスクが高いという不正確な情報が流布していると専門家は警鐘を鳴らしている[83][84]。生殖については、思春期男子が気にするペニスの大きさより、精巣睾丸)の大きさが重要であり未発達の場合、乏精子症または無精子症などで不妊の原因になる。男性器の相談は泌尿器科であると学生に性教育の講演を行う専門家もいる[85]

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 男子は約11歳6ヶ月で小学校5・6年生頃、女子は約9歳9ヶ月で小学校3・4年生頃[44]
  2. ^ ブラジャー着用率はstep1(思春期初来(乳首の成長開始)から初経の1年以上前)で31%、step2(初経前後)で56%、step3(初経の1年以上後から成人型乳房になるまで)で90%(大人用のブラジャー57%)[50]

出典 編集

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参考文献 編集

外部リンク 編集